クラシックピアノの先生がジャズピアノに挑戦する話

こんにちは、福耳です。

お読み頂いてありがとうございます。

このカテゴリーでは、普段とは逆に初心者として習う立場での様々な経験などを書いていこうと思います。

その前に、そもそもクラシックピアノの大学を出て何十年もピアノ教師をやっている私が、なぜジャズピアノなのか?についてお話します。

 

広告

音大付属高校時代に私が受けた「衝撃」

今を去ること40年の昔。

私は大学までつながった音楽高校の生徒でした。

自分で言うのもナンですが、私はかなり真面目なタチです。

特別な能力や才能などはないため、毎日コツコツ練習することで当該音楽高校に潜り込み、アップアップしながらなんとか授業やレッスンについていく日々でした。

さて、音楽を専門に学ぶ高校ですので、各教室にはもれなくアコースティックピアノが置いてあります。

聴音や音楽理論の授業で使うためですが、休み時間や放課後は生徒達が思い思いに音を出すことが許されていました。

たいていは各自が今練習している曲や弾いてみたい曲などをチャカチャカ弾いて、それを聴いた他の生徒が適当に意見を言ったり、転じてそれぞれの先生に怒られた話をしたりしてワイワイ盛り上がるのが常でした。

 

ある日、友人の一人が何気なく有名な「タラのテーマ」を弾き始めました。

映画「風と共に去りぬ」の主題曲で、美しいメロディが印象的な曲です。

調性もオリジナル通り、和声進行もバッチリ決まっていたため、てっきりどこかの出版社が出している譜面を暗譜して弾いていると思い、「その譜面はどこで買ったの?」と彼女に聞きました。自分でも弾いてみたいと思ったからです。

ところが彼女はあっさりと

「え?テキトーだけど?」と答えたのです。

その時の頭を殴られたような衝撃は今でも忘れられません。まさに『ガ〜ン』という感じです。

『譜面なしで、テキトーに、こんなの弾けるんだ!私は譜面通り弾くのが精一杯なのに!』

今で言う耳コピですが、まだ当時はネットもなくそんな言葉もなく、それまでの人生で(15〜16年ですが)そんな芸当を見る機会もなかった私にとって、まさに青天の霹靂。

それまでの自分の中にあった常識

「ピアノは譜面通りに弾くもの」と言う認識をひっくり返す出来事なのでした。

広告

心に生まれた願望・自由にピアノを弾きたい!

一部の例外を除けば、クラシックピアノはやはり楽譜を重視する音楽です。

音楽史に残る偉大な天才たちの作品を記した楽譜を手掛かりに、彼らの功績を研究し、意図されたメッセージを読み解き、その音楽を正確に再現することがまずは求められます。

多少のアレンジを加えることはあるかもしれませんが、それにしてもやはり楽譜を忠実に読みこむことが必要です。

 

私は大学に進学する前から近所のお子さんを教え始め、卒業してからはとある音楽教室で講師として働き、自宅でも教えていました。

ピアノ科の卒業ですので当然クラシックを教えることになります。

初心者の生徒さんがきた時は、「練習のコツ」カテゴリーのところでも書きましたが、まずは譜面の読み方からです。

将来モーツァルトやショパンを弾けるようにさせるには、複雑なピアノの楽譜を読み取れるように指導していく必要があります。

とにかく口を酸っぱくして「譜面を見よう、譜面を見よう」と言い続けてきました。

 

でも、高校時代の経験により、心の中には、「譜面を見ずに自由に弾く」ことへの憧れがずっとありました。

「自由に弾く」とは、もちろんいい加減にちゃらんぽらんに弾いていいということではなく、昔の友人のように

・好きな曲、耳で聴いただけの弾きたい曲を楽譜に頼らず自分なりに鍵盤上で再現できる

あるいは、

・コードだけの簡単な楽譜を見て伴奏などをその場で付けて演奏する

・即興演奏をする

・既存曲を自分なりにアレンジして弾く

などといったことです。

 

今、You Tubeやツイッターでは、耳コピや独自アレンジの曲がたくさん投稿されて、まさに花盛りといった趣です。

素晴らしいことだと思うし、実に羨ましくもあります。

私がもう少し若ければな〜、いやいや年齢のせいにしちゃいかん、色々やってみるべきだ。ん〜でもこのトシじゃな〜、もともと不器用だしやってもできるようにならないんじゃないのかな〜、

などと思いつつ、時間ばかりがどんどんと経っていく有様でした。

 

広告

ジャズピアノなら「習える」!

そんなある日、何気なくピアノ関係の記事をネットサーフィンしていると、ジャズピアノの教室の記事が目に止まりました。

個人のお宅で、大人の初心者にジャズピアノを教えます、という内容の記事でした。

そこでピンときたんです。

「そーだ、ジャズだ!ジャズは即興で色々弾くらしいし、コードネームも勉強できる。うまくいけばアレンジとかもできるようになっちゃうかも!しかもなんだかカッコいい。コレだ、コレしかない!」

頭の中に突如としてこのような思考が駆け巡り、居ても立ってもいられなくなりました。(単純)

時は子②が大学に入学して落ち着いたあたり。仕事は順調でしたが忙しすぎることもなく、まだ本格的な介護は発生しておらず、ある程度は勉強に時間が取れそうです。

コレはもう、「やれ」と神様が背中を押してくれているに違いありません。

少なくとも私はそう信じることにしました。

ジャズ。

薄暗い灯りの中にほのかに浮かび上がる古いピアノ。艶のあるベース、ドラム。

お酒とタバコの香り、グラスや皿のぶつかる音。人々の笑いさざめく声。その中を歩き回るウェイターたち。

やがて始まった演奏は自由気ままで、普段着の演奏者自身も笑ったり、歌ったり。

客席も賑やかに反応して、曲の途中でも拍手が起こる。

‥カッコいい‥(ハート)

映画などから想像したイメージですが、きっとこんな感じでしょう。

 

クラシックはやはり違いますよね。

ドレスコードはなくても、サントリーホールなどにカジュアルすぎる服装は、若い人ならともかくこの歳では痛い雰囲気。

きちんと座って、曲が終わった時だけに拍手をする。

慣れ親しんだ風景です。

 

どちらが良いとか、好きとかではありません。

ただ、無性に今までとは違く世界に身を置いてみたくなった自分を発見してしまったんです。

あと何年、自分や周りが健康で自由に動き回れるかわかりません。

人生100年時代ですからまだまだいける気はしますが、明日のことは誰にもわかりません。

歳をとるというのは、残り時間が減っていくことを意味します。

それなら、ずっと心に秘めていた願望を叶えるために「今」動くしかない。

 

もちろん不安もありました。

ジャズとクラシックピアノはタッチや弾き方が違います。

クラシックピアノを教えながらジャズピアノの勉強ができるものなのか?この不器用な私に。

 

そこで心に決めたことは、

絶対に生徒さんファースト。仕事に手を抜かない。

今まで以上にツェルニーやバッハの練習をする。

ジャズの弾き方やタッチを仕事にひきずらない。

ことです。

 

クラシックピアノは先生として、ジャズピアノは生徒として。

二つのピアノの世界を行き来する「デュアル・ピアノライフ」の始まりです。

どんな経験をすることになるのか、少し緊張しながらもワクワクしています。

 

お読み頂いてありがとうございます。

広告