【J.S.バッハ】2声のインヴェンション 曲ごとの難易度は?全曲の練習順序と取り組み方のコツ

「バッハの 2声のインヴェンションがピアノを学ぶ上で大切なのはわかった。ところでこの全15曲、どんな順番で練習すれば良いの?」と悩む方は多いもの。

インヴェンションの曲ごとの難易度判定には諸説あり、これといった決め手がありません。

また装飾音の入れ方やテンポ設定によっても変わってきます。

本項では、ごく普通のピアノ学習者であるあなたが、現実的に演奏可能な弾き方でインヴェンションを学ぶ際の難易度と練習順序を考慮してみました。

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2声のインヴェンション 曲ごとの難易度

ベルサイユ宮殿内

難易度判定の基準

バッハの作品に限らず、曲ごとの難易度の判定は演奏の仕方によって変わってきます。

そこでインヴェンションの難易度を考えるに当たり、以下の基準を考慮しました。

  • 弾きやすさ
  • 譜読みのしやすさ
  • 一般学習者が実際に演奏可能なテンポ設定

 

ここでの「難易度」は、単純に「弾きやすさ」と「譜読みのしやすさ」を主にその根拠としています

よってテンポが速く装飾音が入れにくい曲、黒鍵の多い曲、譜読みの難しい曲は難易度が上の方に設定しています。

 

そして本記事の対象者は、あなたのような「ごく一般的なピアノ学習者」です。(^_^)v

例えば、音大を目指したり将来はピアニストになろうなどの野心を持たず、趣味として純粋にピアノを楽しむ人を想定しました。

忙しいあなたとしては毎日ピアノだけ弾いているわけにはいかないし、中でもインヴェンションだけに時間をかけてはいられないのでは?

それゆえ、一般的なピアノ学習者が現実的に演奏可能なテンポ・装飾音の入れ方をした場合の難易度を設定してみました

インヴェンション 曲ごとの難易度

私の40年を超える指導経験と、実際に弾いてみた際の感触により、インヴェンション全15曲を以下のように等分にレベル分けしました

Lv.1からLv.5に向かって難易度が上がります。

Lv.1 1、4、8
Lv.2 7、10、11
Lv.3 3、13、14
Lv.4 2、5、15
Lv.5 6、9、12

 

実際のところ、ほぼ白鍵で弾ける曲や弾きにくい装飾音符の少ない曲が取り組み易いハズ。

また同レベルであっても、テンポの速い曲はゆっくりの曲よりランクが上と認定しました。

経験上、インヴェンションに取り組む人が一番苦労するのが譜読みです。特に混雑した譜面を見ると拒否反応を示す学習者は多いもの。

よって「黒鍵が多く」「譜読みしにくく」「テンポが速め」の曲は難易度が高めと判定しています。

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2声のインヴェンションの練習順序

チェンバロ

おすすめ練習順序

上の表では3曲ずつレベル分けしていますが、同レベルと認定した曲であっても微妙に難易度差は存在します。

そこで、全15曲を取り組み易い曲から難しい曲へと、おすすめの練習順序になるように並べてみました。

  • 1→4→8→10→7→11→13→14→3→15→5→2→9→6→12

 

‥数字だけだとピンとこないですよね。σ(^_^;)

わかりやすいように調性も書き出してみると以下のようになりました。

白鍵中心に弾ける曲から、徐々になんとなく調号のシャープやフラットの数が増えていくのがお分かりかと思います。

  1. 第1番ハ長調
  2. 第4番ニ短調
  3. 第8番ヘ長調
  4. 第10番ト長調
  5. 第7番ホ短調
  6. 第11番ト短調
  7. 第13番 イ短調
  8. 第14番変ロ長調
  9. 第3番ニ長調
  10. 第15番ロ短調
  11. 第5番変ホ長調
  12. 第2番ハ短調
  13. 第9番へ短調
  14. 第6番ホ長調
  15. 第12番イ長調

 

最も易しいのはやはり1番のハ長調。そして、栄えあるラスボスは12番と認定しました。

悩んだのは臨時記号が多く譜読みのややこしい6番と、技術的に難しい12番。

どちらが難しいと考えるかですが、やはりテンポの速さと、左手にも複合的に装飾された長いトリルが出てくる点を「評価」。

聴き映え、キラキラ感、弾けたときの爽快感などから、12番をインヴェンションのラストを飾るにふさわしい曲と断定します♪( ´▽`)

バッハ推奨の練習順序

ところで、作曲者である大バッハ先生は、曲ごとの難易度をどのように考えておられるのでしょうか。

新潟大学非常勤講師でチェンバロ奏者八百板正巳氏のレポートによると、バッハ自身の推奨した練習順序は以下のようになります。

  • 1→4→7→8→10→13→15→14→12→11→9→6→5→3→2

 

  1. 第1番ハ長調
  2. 第4番ニ短調
  3. 第7番ホ短調
  4. 第8番ヘ長調
  5. 第10番ト長調
  6. 第13番イ短調
  7. 第15番ロ短調
  8. 第14番変ロ長調
  9. 第12番イ長調
  10. 第11番ト短調
  11. 第9番ヘ短調
  12. 第6番ホ長調
  13. 第5番変ホ長調
  14. 第3番ニ長調
  15. 第2番ハ短調

 

バッハ自身によるインヴェンション(全15曲)の指導順序

この順序の規則性は以下の通りです。

  1. 白鍵だけで主和音が弾ける調をハ長調から順に上昇していく ドミソ=ハ長調、レファラ=ニ短調、ミソシ=ホ短調・・・例外:シレファ#=ロ短調
  2. 残りの調を順に下降していく シ♭レファ=変ロ長調、ラド#ミ=イ長調、ソシ♭レ=ト短調・・・ドミ♭ソ=ハ短調

バッハの考えた指導(練習)順序は、どちらかというとテクニックや譜読みの複雑さではなく、調性の理解に重きを置いています。

すると、自然に黒鍵の多い曲は難易度が上の設定に。私の感覚・感触と大きなズレはないことがわかります!♪(´ε` )

こちらの方の難易度順で練習して見るのもアリだと思います。

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2声のインヴェンション 取り組み方のコツ

ピアノを弾く両手

2声のインヴェンションは、どのように練習に取り組むのが良いでしょうか。

インヴェンションは全て見開き2ページに収まっていますが、バッハ初心者がこれを一度に譜読みしようとするのは無謀。

必ずいくつかのパートに分けて、片手ずつゆっくりと練習していきましょう

 

おそらくソナチネのようにすらすらと簡単に弾けるようにはならないと思いますが、諦めず片手ずつの練習を続けてみて下さい。

左右別々に完全に弾けるようになったら、ゆっくりと両手で合わせてみます。

最初はスムーズにいかなくても、やがてパズルのピースが合うように少しずつ弾けるようになってくるハズ。

 

譜読みが終わったら、フレーズの切れ目の確認や細かい装飾音の練習を重ねていきます。

インヴェンションを練習するのは、他の曲よりも時間がかかります。腰をすえてじっくりと取り組んでみて下さい。

まとめ

バッハの銅像

J.S.バッハ 2声のインヴェンション全15曲。曲ごとの難易度と練習する際のおすすめの順番、取り組み方についてお伝えしました。

 

実のところ、インヴェンションは曲ごとにかなり難しさに差があります。

シンプルで弾き易い1番と最難関と思われる12番が、同じ教本として一つにまとめられているのは果たしてどうなのかと思うほど。( ´∀`)

それでも、多少時間がかかってもやるだけの価値はあると断言します。

ひとつひとつ階段を登るつもりで取り組んでみて下さい。

音数が多く派手に聴こえる曲しか弾かない人には決して得ることのできない、音楽の真髄に近づくための鍵をあなたは手に入れることができるでしょう。

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