ピアノの月謝が値上げされる時

前記事「ピアノのお月謝の金額に込められた深いワケ」では、それぞれのご事情やお住いの地域によって様々な月謝のあれこれについてお伝えしました。

 

この項では、特に保護者の方から質問の多い「月謝が上がっていく仕組み」についてお伝えします。

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ピアノの月謝が上がるタイミングとは

月謝の値上がりには2パターンあります。

A. 教室全体の月謝の改定により、ほぼ全員の金額が上がるケース

B.  個々の生徒さんの年齢やレベルが上がることによって金額が変わるケース

このうち、多くの保護者の方が不安や疑問を感じやすいのは何と言ってもB. の方です。

A. については、私の教室では月謝の改定時に印刷物としてプリントし、お渡ししていますが、特に質問やクレームが来たことはありません。

「全員の金額が上がる」方が、私たち日本人のメンタリティとして受け入れやすいのかもしれませんね。

 

でもB. はそうはいきません。

 

「ついこの間入会したばかりなのにもう値上げ‥?」

「お友達のところの先生は○円なのに‥」

「このままどこまでお高くなるのかしら‥」

などの疑念が沸き起こり、Yahoo!知恵袋などに質問を投稿されて安心したり、また不安になったりされているようです。

6月17日アップの記事「ピアノを習う上で避けては通れないお月謝の話① 〜あるお母さんの不満〜」でもお伝えした通り、

とかくお金のことは先生には質問しにくいもの。

私の経験と、周囲の先生方との情報交換などで入手した情報を元にご説明します。

 

B. については、

・年齢によって金額が決まる

・教材のレベルによって金額が決まる

・上記の組み合わせ・混合型

などが考えられます。

 

大手の楽器店は年齢が低い間は入会時の年齢、小学生以上になると教材のレベルによって月謝が変わってくる混合型のシステムを採用しています。

これは、年齢が低い間はグループレッスン、年齢が上がると個人レッスンを選べるようになるためで、子どもの発達を考えると合理的にできています。

また、これらの楽器店は使用テキストごとの月謝の金額がはっきりと決まっていて、わかりやすいシステムとなっています。

疑問や不安などは起きにくいと思われます。

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「ピアノの教材のレベルアップによる値上げ」は分かりにくい

何といっても本題はこちらでしょう。

「〇〇のテキストが終わって●●に入ります。つきましては△円値上げさせて頂きます」

といったアナウンスが先生からあったとして、多くの保護者の方には〇〇と●●の違いがよくわかりません。

テキストのレベルが上がったとしても、突然上手に弾けるようになるわけではないからです。

 

しかも、この「テキストのレベル」というのが、各先生方によって基準がバラバラです。

したがって「C子ちゃんのところでは同じテキストでもっとお安いのに‥」といった不満が生じる可能性があります。

実際には、同じ地域であってもお月謝はレッスン時間の長さや回数によって微妙に変わってくるため、比較してもあまり意味はないのですが。

 

ちなみに、私が若い頃勤めていたピアノ教室では、

入会したての4歳児であっても、

10年以上習っていてショパンを弾いている子であっても、

レッスン時間は一律に30分でした。

そして、レッスン時間は一緒なのにお月謝はテキストによって上がっていく仕組みでした

 

おおむね、

「バイエル」またはそれに準じる初歩者用の教材レベル‥6000円/月

「ツェルニー100番」「ブルグミュラー」レベル‥7000円/月

「ツェルニー30番」「ソナチネ」レベル‥8000円/月

「ツェルニー40番」「ソナタ」レベル‥9000円/月

のように決まっていました。

 

すべて、レッスン時間は30分です。

働き始めた時、ずいぶんと大雑把なくくりだなあとびっくりしましたが、何しろ若かったですし、そんなものかと特段に疑問を感じることなく自分のペースで教えていました。

 

そんなある日のこと、同じ教室の他の先生と話をする機会がありました。

 

先生 「一番最初のレベルの教材は半年くらいでさっさと終わらせて、とにかく『ツェルニー』をさせれば、2番目のレベルの月謝が頂けるので、私はそうしています。」

私 「え。でも半年でツェルニー100番って無理じゃないでしょうか」

先生 「もちろん。なので私は『ツェルニーリトルピアニスト』を使っています。これなら100番よりずっと易しいですから」

私(内心)『‥そんなんアリ?』

 

はいよくわからないですよね。

「ツェルニー100番」と「ツェルニーリトルピアニスト」。

なんだか「リトルピアニスト」の方が難しそうに感じませんか?

でもそうでもないのです。

 

実際のテキスト上の、No.9がわかりやすいので比べてみましょう。

 

いかがでしょうか。

ちょっと不鮮明ですが、たとえ楽譜が読めなくても、どちらがより難しいかお分かりと思います。

左側の「100番」の方が、右の「リトルピアニスト」よりずっと難しいです。

「100番」は、左手が重音(和音)での伴奏で、右手は加線(五線に収まりきれない音を書き表す時に使う短い線)を伴う読みにくい譜面で、音域も広いです。

一方、右側の譜面は、左手は単音のみ、右手も高音部のド〜ソの音域を出ることがありません。

 

両者を「同じレベル」とするのはいささか無理があります。

「100番」に入るのはそれなりに時間がかかりますが、「リトルピアニスト」ならば習い始めて程なく入れそうです。

‥ということは、「100番」を弾く力がなくても、「リトルピアニスト」を採用されますと、上のレベルのお月謝がかかってしまう訳です。

これって、どうなんでしょう。

習う側の立場としては、不公平を感じたりはしないものでしょうか。

 

私はここでその先生の批判をするつもりはまったくありません。

同じように30分間のレッスンをするのなら、できるだけ早く上のレベルのテキストを使わせたくなるのは人として自然なことです。

 

それよりも、ここで申し上げたいのは、

テキストのレベルによって月謝の金額が決まるシステムは、各先生方の恣意的な裁量に任される

ということです。

これこそが、一部の保護者様から疑問や不安、場合によっては不信感が生じる原因なのではないでしょうか。

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レッスン時間の長さによって月謝が変わるシステムも

上のような経験をして、私は自分なりに月謝のシステムを考えました。

それは、上記の音楽教室とは逆に、

生徒さんのレベルに関わらず、レッスン時間の長さによって月謝が変わるシステムです。

 

つまり、習い始めの初心者であっても、何年も習っている中級者であっても、

4歳児であっても大人であっても、

30分枠であれば7000円/月

40分枠であれば8000円/月

45分枠であれば9000円/月

50分枠であれば10000円/月

となります。

もちろん時間枠はいつでも変更できます。

 

これは別に私の専売特許ではなく、シンプルで合理的なため、最近は採用する教室が増えてきている印象です。

私の教室では、このシステムを採用してから、お月謝の値上げに関するネガティブな反応はまったくなくなりました。

他の教室でも、採用するところがこれからだんだんと増えていく可能性もありますね。

月謝の金額に関しては特にコミュニケーションが重要

これからピアノを習おうとしている方、お子さんに習わせようとしている保護者の方は、

入会を考える時点で「月謝が上がるタイミング」についてよく確認されることをお勧めします。

 

とかく習い始める時の金額は確認しても、後々のことまでは考えずに入会する方が多いです。

実際に師弟関係になると、例に挙げたお母さんのように不満が募っても確認しづらく、すっきりしない気持ちのまま支払いを続けるハメになりがちです。

そんなことにならないように、最初が肝心です。

 

そして、今すでにお教室に通われている方も、

もし月謝について納得がいかない点があればやはりきちんと確認された方が良いと思います。

お金のことは先生に伺いにくいとは思いますが、この点ですれ違いがあると結局は長続きせず、お互いにとって残念な結果につながりかねません。

 

せっかく習い始めたピアノをできるだけ長く続けていくために、

先生と生徒さんがより良い関係でピアノと向き合っていくために、

結局はコミュニケーションが何よりも重要でなのです。

 

お読み頂いてありがとうございます。

 

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