ピアノ教室の月謝の話 〜あるお母さんの不満〜

あなたが今すでにピアノのレッスンに通っているとして、失礼ですが月謝(レッスン料)はいかほどでしょうか。

そして、その金額に納得していらっしゃいますか?

今日は、そんなお金のお話を少々。

 

❇︎1レッスン制のお教室もありますが、ここでは一般的なピアノ学習者向きの制度である「月謝」という言葉を用いています。

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あるお母さんのご不満「ピアノのお月謝は高すぎる!」

セピア色の鍵盤

過去記事「ピアノの先生の選び方・良い先生と上達の遅れる先生の見極め方とは?」でも記した通り、ピアノ教室を探すにあたって「お月謝の金額」はなかなか重要な要素です。

ピアノのレッスンは普通、何年にもわたって続きますので、先生と生徒さん、どちらかの側に納得のいかない感覚があるとお互いにとってプラスになりません。

 

以前、私の生徒さんではない、あるお子さんのお母さんから、非常に率直なご意見を聞いたことがあります。

その方は私がピアノ教師であることをご存知の上で、このようにおっしゃっていました。

 

お母さん「ピアノのお月謝ってお高いんですよね〜。水泳やダンスに比べてなんであんなに高いのかしら」

私 「は、はあ。でっでもピアノは個人レッスンですし‥グループレッスンのダンスとかとちょっと違」

お母さん 「でもやっぱり高いですよ。たった30分とか40分とかで1ヶ月7000円とか8000円とか。水泳なら1時間くらい見て下さるし、空手なら週に2、3回通っても4〜5000円とかですよ」

私 「え、ええ、でもピアノは一対一でじっくり1人ずつ見ていきますし、時間あたりの密度は濃いとおm」

お母さん 「いや〜とにかく高いと思います。ホントに高いわ〜。イヤになっちゃう。あ〜あ」

私 「」

 

‥いわゆる「釣り」ではありません。実話です😅😅

とにかくも私は、その先生がお気の毒でたまりませんでした。

 

月謝に対してこれほど強いご不満を保護者の方がお持ちだということは、あまりレッスンがうまく運んでいない事を意味します。

そして、そんな保護者の方の気持ちは、先生に伝わってしまうものなのです。

また、金額に納得いかないままその不満を先生にお伝えする事が出来ず、他人の私にぶつける事で気を紛らせながら支払い続けるそのお母さんもまたお気の毒。

正直、それなら先生に掛け合ってお安くして頂いたらどうですかと言いたくなりました。(言いませんでしたが)

 

もう十数年以上も前の上記の一件は、私に大切なことを教えてくれました。

お金を頂く側と、お支払いする側の感覚の違いを見誤ると、このように不幸な事例に至ってしまうということです。

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ピアノの月謝に対する先生方の考えと生徒さん側の感覚のズレ

グランドピアノのイメージ

 

もちろん上記は極端な例であって、保護者様全員がこのような感覚をお持ちとはとても思えません。

でも、ピアノの月謝を「習い事の経費」として捉えた時に、どうしても割高に感じてしまう要素があるのは事実です。

 

実は私も、我が家の子供達が学齢に達する頃、幼稚園ママの仲間の1人に上記のお母さんと似たようなことを言われたことがあります。(もう少しソフトな口調でしたが)

何よりも私自身、自分の2人の子どもにピアノを習わせようと思った時、他所の先生ではなく私自身が教えようと思った事がその表れです。

「習いに行かせると8000円とかしちゃうしな。私が教えればタダだしな〜」と思いましたとも。ええ。

 

おそらく、自分自身も含め、習わせる立場の保護者の方は、

レッスン時間の長さと月謝の金額を他の習い事と秤にかけて、ピアノは「時間あたりで割高」という結論を出しているような気がします。

普段、人様に教えている立場の人間にしてこれです。

一般的な感覚としては「ピアノは割高」となっても致し方ありません。

 

ところがピアノの先生仲間で話をすると、上に挙げたような金額の月謝はごく普通のレベルです。

くだんの先生が特別お高いわけではありません。

この、月謝に対する著しい感覚の違いはどこから出てくるのでしょうか。

私は、先生方と生徒さんたちとの「時間軸のズレ」が原因ではないかと推測しています。

どういうことでしょうか。

 

 

一般的に、ピアノ教師になるのにはかなり時間がかかります。

5〜6歳でピアノを習い始めて、音楽大学を卒業するのはその約17年後。

そしてその間、膨大な時間をかけてひたすら練習を重ねます。

遊びたい盛りに友達の誘いを断ってひたすら練習。

本来部活で汗を流し、青春を満喫するような時期にもひたすら練習。

ピアノはある意味孤独な楽器です。

人に教えられるほどに弾けるようになるためには、諦めなければならないものは多いのです。

 

当然お金もすごくかかります。

公立の音楽学校というのは非常に少なく、いきおい私立の音楽専門の大学で学ぶことになります。

学生の総数が少ないため、学費は一般大学よりずっと高額になりますし、まして海外留学などした時は、気が遠くなるほどの費用がかかります。

 

そして、晴れてピアノの先生としての仕事を始めようとする時、どうしても今までに投じた「経費」—— 単にお金だけではなく、膨大な時間、たゆまぬ努力といったものを評価してほしいという心理が働くのではなかろうか。

自分も含め、周りの先生方の意見をも聞きつつ、私が考える推論です。

つまり、人に教えられるレベルになるのに高額な費用と長い時間がかかり、それらを少しでも回収しようという気持ちが、

「あくまで今現在、子どもの習い事として考えられる選択肢の一つ」として捉える保護者の方々との感覚のズレとなって表れる事があるのではないかと考えています。

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月謝の金額についてお互いに納得するために

電子ピアノを弾く子供の両手

それでは、このようなズレは埋められないものなのでしょうか。

そんなことはありません。

 

昔も今も、ピアノを習いたいとして教室の門を叩く生徒さんがいなくなることはありませんし、いったんやめていた大人の方が子育てを終えて再び習い始めるケースも増えています。

私は、何よりも両者のコミュニケーションが大切だと考えています。

 

次記事では、様々な要素によって変わってくる、実際のお月謝の金額についてお話しして参ります。

 

お読み頂いてありがとうございます。

 

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