ピアノ初中級〜中級者の練習のコツ・ソナチネアルバムを例に

 

さて、あなたがピアノを習い始めて5年くらいは経ったでしょうか。

かなり難しい曲にも挑戦できるように上達してきました。

もう立派な中級者と言ってよいでしょう。

 

——そんな学習者の多くが手にする教材。

それは多分「ソナチネアルバム1」ではないでしょうか。

ここでは、そんなソナチネを例に練習のコツを説明して参ります。

 

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ピアノ中級者が必ず学ぶ教材・「ソナチネ」とは何か

まず、「ソナチネ」とはどういう種類の音楽なのでしょうか。

 

「『ソナチネ Sonatina』という言葉は『ソナタ Sonata』の縮小形である。ピアノ・ソナタでは、第1楽章がソナタ形式による楽曲であることが多い。ソナタの小型版ソナチネも、第1楽章はソナタ形式が基本である」

(音楽之友社 ソナチネアルバム1より 解説:秋山徹也)

 

はい、のっけから難しい説明来ました。

要するに、ソナチネというのは小さいソナタということのようです。

ではソナタとは?

「クラシックに音楽における器楽曲、室内楽曲の一つ」(ウィキペディアより)

 

‥どうにも、わかった気にならない説明ですよね。(笑)

実際のところ、ソナタという言葉を説明するのは容易ではありません。

それだけで一つのカテゴリーができるほどに複雑な過程を経て定着してきた楽曲です。

なので、ここでは簡単に、

「古典期(1730年〜1820年代)に多く書かれ、ハイドンやモーツァルトによって形式が確立された器楽曲」

と定義することに致します。

そして、ソナチネとはつまり、そんなソナタのミニバージョンということ。

 

「こどものソナチネ 新編1」 校訂・解説 伊能美智子、  Gakken

ソナチネアルバム1  New Edition   秋山徹也 解説   音楽之友社

の解説をもとに説明していきます。

 

 

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ソナチネを演奏する際は曲を分析してみる

生徒さん達の成長を待ちながらゆったりのんびり進む我が教室では、ソナチネアルバムに進む子ども達の多くは小学校高学年〜中学生という年齢です。

この年齢になると、子ども達は抽象的な思考回路を持つようになります。

具体的な事象、例えばブルグミュラーで学んだ「つばめ」や「貴婦人の乗馬」のようなイメージの湧きやすい言葉でなく、「ソナタ形式」という新しい概念を理解できるようになるのです。

 

ソナチネを学ぶ上で何よりもまず理解しなければならないのは、「ソナタ形式とは何か」ということです。

ソナチネは通常2つか3つの「楽章」という曲の組み合わせでできていますが、第1楽章がこの「ソナタ形式」で書かれていることが多いからです。

 

ソナタ形式。

① 主題提示部  ②主題展開部  ③主題再現部

の3つの部分から成り、

① 提示部では、第1主題、第2主題と2つの主題(テーマ)が提示される。第2主題は通常第1主題の属調(5度上の調)

② 展開部では、2つの主題を自由に展開、発展させる

③ 再現部では、第1主題は元のまま、第2主題も第1主題と同じ調で再現され、終結部(終わりの部分)に至る

 

 

‥なにぶんこんな風ですので、小学校低学年くらいのお子さんが理解するのはなかなか難しいです。

実際、私は当時師事していた先生の方針で小学校2年生の時点でほとんどソナチネが終わりかけていましたが、上記のような説明を受けた記憶もなく、また曲の構成などを理解して弾いていたとは思えません。

ただ最近は小学生にもソナタ形式をわかりやすく解説した教材がいくつか出版されています。

前述の「こどものソナチネ 新編」などがその例です。

 

ソナチネアルバムを学ぶ大きな目的の一つは、「自力で曲を分析する力をつけること」です。

・曲中から2つの主題を探す

・2つの主題の性格の違いを弾き分ける

・展開部では、主題がどのように使われているかを理解して弾く

・再現部では、第2主題が第1主題の調整に歩み寄っているのを確認する

 

これらを、最初は先生のお力を借りて、だんだんと自分でできるようになっていくのが理想です。

そのためにも、ソナチネに入ったら、あるいはその少し前の段階からでも、曲の構成を理解し、分析する目を養っていくことが重要です。

 

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当時のヨーロッパの社会情勢を理解する

もう一つ、ソナチネを学習する際には、当時のヨーロッパの社会情勢を簡単に学んでおく必要があります。

西洋音楽であるクラシック音楽は、特に西洋史と密接な関係があるからです。

 

1789年のフランス革命勃発と前後して、ヨーロッパ社会の在りようはこの時期大きく変化します。

それまでは音楽は一部の貴族階級のたしなみでした。

マリー・アントワネットに象徴されるような、華麗なロココ調のサロンでの小規模な演奏会が主でした。

 

18世紀後半になると市民階級が力を持ち、それまで王侯貴族のものだった音楽という芸術を、一般市民も耳にする機会が増えていきます。

ロココ調の優美で装飾的なバロック音楽から、シンプルで合理的な、わかりやすい「形式」に則った音楽が好まれるようになっていったのです。

 

ソナチネアルバム 1 に収められている2人の作曲家、

・M. クレメンティ (1752〜1832)

・F. クーラウ  (1786〜1832)

は、まさにこの時代を生きた芸術家です。

彼らの創作した多くのソナチネは、これからハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンの作品を演奏しようとするピアノ中級者にとって、避けては通れない課題なのです。

 

 

いかがでしたでしょうか。

とかくソナチネといえば、「金太郎飴みたいにどれも似たようで退屈な教材」😅と、一部学習者にはあまり評判がよろしくありません。

でも、ソナチネアルバムに収められた曲は、どれもピアノの基礎・基本を学ぶ上で欠くことのできない要素がいっぱいです。

一つ一つの曲も、よく聴いて学べばバラエティに富んだ美しい曲ばかりなのに気付かれるのではないでしょうか。

 

この文章を読んで下さったあなたが、ソナチネという優れた教材を活用され、日々の練習に役立てて頂けるならこんな嬉しいことはありません。

そして、今よりほんの少しだけでも、ソナチネという楽曲を好きになって頂けたなら、それだけでサイトを立ち上げた甲斐があったというものです。

 

 

最後までお読み頂きましてありがとうございます。

あなたの素晴らしい旅がもっと長く続きますように。

 

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