「ピアノの叙事詩/ロリン」は大人の初中級者におすすめ！曲の解説と難易度一覧

キャサリン・ロリンのピアノ曲集「ピアノの叙事詩」についてお伝えします。

「ピアノの叙事詩」は、初級終わり頃から初中級レベルのピアノ学習者向けの作品集。

子どもの初心者向け教材「ビーニー動物園」で知られているC.ロリンですが、この「ピアノの叙事詩」はそれと比べると明らかに年齢層の高い学習者に向けて書かれています。

ややポピュラー調、ロマンチックかつ叙情的な雰囲気の作品がほとんどで、普段のレッスンのほか、イベントやピアノ発表会、ストピでの演奏などにも活躍しそう。

『難しくないけれど子どもっぽくない』ピアノ曲集を探すあなたにおすすめです。

「ピアノの叙事詩/ロリン」とは

楽譜 キャサリン・ロリン ピアノの叙情詩（リリック・モーメンツ） ／ 全音楽譜出版社

「ピアノの叙事詩」は、アメリカの作曲家キャサリン・ロリンによる初中級〜中級者向けのピアノ曲集。

原題は”Lyric Moments” 16  Expressive Solos for Intermediate pianists（中級ピアニストのための16の表現力豊かなソロ曲集）。

Book1とBook2を1冊にまとめたもので、Book1はロリンの愛娘サマーさんに、Book2は恩師であり友人でもあったW.ギロックに捧げられています。

『for Intermediate  pianists』とうたってはいますが、中には初級レベルで弾ける作品もあり、長く使える曲集となっています。

 

特徴

C.ロリン「ピアノの叙事詩」は、以下のような特徴を持っています。

 

「ピアノの叙事詩」は、初級終わり頃から中級者向き。

左手伴奏の音域が広く、小さな子どもの手では届かないことも多いため大人や中高生など年齢の高めの学習者を想定しているようです。

ロマンチックでエモーショナルなタイトル、ポピュラー風の曲調、独特の物語性を持つ作品が多いのが特徴。

普段のレッスンのほか、発表会などに取り入れるとプログラムに変化をつけることができます。

こんな人におすすめ

 

C.ロリン「ピアノの叙事詩」は、初級レベルから使用することができますが、初中級くらいの力量があった方が演奏を楽しめるでしょう。

全16曲には難易度差があり、比較的易しい曲からやや難易度の高い作品まで様々です。

全曲ペダルは必須。左手伴奏の音域が広く、またある程度の人生経験が必要と思われる作品がほとんどなため、大人の学習者におすすめ。

解説がないのが難点ではありますが、自身で考えて演奏する練習ととらえることもできます。

「ピアノの叙事詩/ロリン」の曲目一覧と難易度レベル

以下、C.ロリンのピアノ曲集「ピアノの叙事詩」全16曲をご紹介します。リンクはYouTubeへ。私が演奏しています。

なお、この曲集はの曲順は必ずしも難易度順ではありません。よって、ざっくりとした難易度の目安を添えました。

当ブログの、曲の難易度の設定方法を説明する記事はこちら↓

ピアノ曲の「難易度」とは？レベル設定と基準について解説！入門から最上級まで

曲順	題名/原語タイトル	難易度
1	心のスペシャル・プレイス/A Special Place in My Heart	初中級C
誰もが心の奥底に持つ秘密の場所。揺れ動くテンポは気持ちの移ろいを現すかのよう。自由に想いを歌い上げましょう。
2	スウィート・メモリーズ/Sweet Memories	初中級A
甘い思い出を誰かに語りかけるように、あるいはひとり思いだすように。人生経験を積んだ人だけの特権です。
3	サマーの夢/Summer’s Dream	初中級B
作曲者の愛娘サマーさんを想って作られた曲。左手の分散和音の上に優しいメロディが紡がれます。暖かい気持ちが溢れるような作品。
4	やさしさにつつまれて/Tender Moments	初中級B
♭が5つも付いていることを除けばそれほど難しくはありません。愛らしく繊細な雰囲気で。
5	あなたへの歌/A Song for You	初級C
比較的音域が狭く、弾きやすい曲。「あなた」とはやはり娘のサマーさんのことかもしれません。フェルマータを大切に扱いましょう。
6	サマーのノクターン/Summer’s Nocturne	中級A
17〜20小節の右手の16分音符は極力繊細に、柔らかい音色で。全体的にテンポの緩急をしっかり表現しましょう。
7	子もり歌と夢の国/Lullaby and Dreamland	中級A
母の子もり歌で眠りについた子どもは、夢の中の国で勇者となって冒険の旅に出ます。二つの世界を弾き分けましょう。
8	サマーを思う/Thinking of Summer	初中級A
文字通り、愛娘サマーさんを想って作られた作品。付点音符が荒々しくならないようていねいに。
9	ときめき/A Heart Takes Flight	中級B
さて誰が何に向かってときめいているのでしょうか？気持ちの高揚が伝わってきます。心臓の鼓動が聞こえるようにしっかりしたリズムで。
10	空想/Daydream	初中級B
「夢」や「夢想」はピアノ曲定番のジャンル。たゆたうような不思議な浮遊感が欲しいところ。転調する箇所では大いに高揚してみては。
11	ほんとうの喜び/Simple Pleasures	初中級C
さわやかに流れるような音の動きが魅力的です。やや速めのテンポがおすすめ。中間部、右手のメロディをしっかり表現しましょう。
12	愛のテーマ/Love Theme	初中級A
シンプルに歌い上げる愛のテーマ。細かいテンポの指示に従うと自然に表情豊かな演奏になるので、あえて歌いすぎなくても大丈夫。
13	悲歌/Lament	初中級A
lamentとは嘆き、悲哀、哀悼を表す言葉。悲歌は他に「挽歌」などとも訳されます。去ってしまった誰かに向かって呼びかけるように。
14	大草原のような愛/Prairie Love	中級A
穏やかな祈りの曲です。「大草原のような愛」とは、慈悲にあふれた無償の愛でしょうか。大地のような力強さをも感じさせます。
15	すてきな気持ち/A Lovely Mood	初級C
唯一のニ長調。シンプルな曲調ながら、明るく華やいだ気分が伝わってきます。はやる心を抑えきれない様子が出せたら素敵です。
16	初めての悲しみ/First Loss	初級B
幼い子が味わう、初めての喪失。そっと寄り添うように、あるいは悲しみを共にするように。左手の和音を揃える良い練習曲でもあります。

 

以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓

ピティナピアノステップ課題曲検索

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「ピアノの叙事詩/ロリン」まとめ

C.ロリン「ピアノの叙事詩」についてお伝えしました。

 

ロリンといえば、日本では「ビーニー動物園」でおなじみ。かわいい動物のぬいぐるみのイメージが強く、幼い子どもたちに人気の教材です。

しかしながらこの「ピアノの叙事詩」は、全く違うコンセプトの作品集。

タイトルからうかがえるように、子ども時代を卒業した若者や、あるいは大人が我が子を慈しむような目線で描かれた作品が多いのです。

 

最近は大人になってからピアノを学び始める学習者の方が増えてきました。

彼らの悩みは「大人向きの初級〜初中級レベルの曲が少ない」こと。

普段のレッスンでも発表会などでも、いかにも子ども向きの可愛らしすぎる作品には食指が動かないものです。

 

「ピアノの叙事詩」は、そんな悩める人々にとって一つの解答となるはず。

必ずしも易しい曲ばかりではありませんが、大人がじっくりと取り組むにふさわしい作品ばかりです。

ぜひ挑戦してみて下さいね。

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