「真夜中の火祭」のイメージは?難易度の比較と弾き方のコツを解説|何年生で弾くのがおすすめ?
「真夜中の火祭(火まつり)」は、発表会やコンクールでよく演奏されるソロピアノ曲。
平吉毅州(ひらよし・たけくに,1936-1998)による子供のためのピアノ曲集「虹のリズム」(1979年発行)、全25曲中24曲目に収録されています。
力強い雰囲気と独特なリズム感を持った情熱的な曲で、男の子にも人気があります。
テンポが速く、広いホールでも聴き映えのするこの曲、果たしてどれくらい難しいのでしょうか。
また、うまくまとめるコツはあるのでしょうか?
挑戦しがいのあるこの曲を、力み過ぎることなくカッコよく演奏できれば、発表会では目立つこと請け合い。
本記事がご参考になれば嬉しいです。(^○^)
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目次
「真夜中の火祭」解説
概要
- 作曲者:平吉毅州
- 調性:ニ短調
- 小節数:60小節(約4頁)
- 演奏時間:1分30秒〜40秒程度
- 収録曲集:こどものためのピアノ曲集『虹のリズム』(カワイ出版)
頁数は3ページですが、D.C.(ダ・カーポ、曲の最初に戻る)があって1頁目を繰り返すので実質4ページの曲です。
テンポが速く、演奏時間は1分30秒から40秒程度。この曲が弾きこなせる子のステージ用の曲としてはやや短いです。
余裕があれば、別のゆっくり目の曲と組みあわせても良いかもしれません。
楽譜は「虹のリズム」のほか、「先生が選んだピアノ名曲集④」にも収録されています。
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イメージ
「真夜中の火祭」は、ダイナミックな曲調と特色あるリズム、激しさと不安定さを兼ね備えた不思議な魅力を持っています。
短調でありながら暗さや寂しさはなく、エキゾチックで野生的。
闇夜に灯される篝火(かがり火)のように聴く人の心をとらえます。
闇夜に浮かび上がる炎の周りで何かの儀式(祭り)が行われているよう。
風にあおられて勢いよく燃えていた炎が途中消えそうになり、それでも残った火種が再び激しく燃え盛る。
火の周りでは特異な衣装をまとった人々が集まり、炎に赤々と照らされながら独特のリズムに合わせて踊っている。
そんな幻想的な光景を想像しながら弾いてみて下さいね。
「真夜中の火祭」の難易度
他曲との難易度比較
「真夜中の火祭」の難易度は、初中級〜中級レベル。
ブルグミュラーの終わりごろからソナチネアルバムあたりの子供が弾くのに適当です。
曲の難易度を27段階にレベルわけした「ピティナ・ピアノ曲辞典」では、「応用7」から「発展1」と定義されています。
「真夜中の火祭」の「応用7〜発展1」というのは、「応用5〜7」の「チューリップのラインダンス」より難しいということ。
「チューリップのラインダンス」を解説!難易度と弾き方のコツ|何年生で弾くのがおすすめ?
そして、初級〜初中級の「貴婦人の乗馬」よりも難易度としてはずっと上です。
実際、音の並びが素直な「乗馬」よりも譜読み・テクニック共に手強く、可愛らしい「チューリップ」よりも弾きにくく感じます。
平吉毅州の、子供のための曲とはいえ「芸術的に妥協しない」部分が強く出た名曲といえるでしょう。
何年生で弾くのがおすすめ?
「真夜中の火祭」はかなり難しい曲。特に、手の小さい子供にとっては難曲です。
とはいえ、作曲者自身が「こどものためのピアノ曲集」の一部として発表しているため、あまり年齢の高い子にもふさわしくありません。
コンクールなどでは小学校低学年で弾くのが主流です。
YouTubeで見られる優秀なお子さんたちの演奏も、ほとんどが3年生くらいまで。
ただ発表会などではそれほど年齢を気にせず、ある程度の力量を持つ人が弾くと良いのではと感じます。
「真夜中の火祭」は、ダンパーペダルを使わないのでごまかしが効きません。
なので力量不足の学習者が弾くとやや残念な結果になる恐れが‥。
個人的には、小学生のうちにある程度の速さで人前で弾ければ、趣味としてピアノを学ぶ上では順調と判断しています。
「真夜中の火祭」の弾き方
「真夜中の火祭」は6/8拍子ですが、優雅さとは無縁。
短く切れ切れのフレーズと共に、たくさん配置されたアーティキュレーション(スラー、スタッカート、テヌートなど)に注目しましょう。
力強くドラマティックに盛り上がりつつ一瞬で消えてしまう、そんな不安定さが出せると良いと思います。
1〜12小節
イントロはなし。唐突に始まります。
1、2小節目の6/8拍子と3/4拍子が混在したリズムが印象的。この2小節のテンポや弾き方で演奏がガラッと変わります。
小さなピアニストたちも緊張する、ちょっぴりこわい出だし。
2小節目の右手にテヌートが付いていますが、この3つの音はスラーでつなげずに一音一音切り離して弾きます。
左手の和音の音量が右手のメロディを超えないようにしましょう。
3、4小節目は同じリズムを繰り返しますが、4小節目はクレッシェンド(crescendo)が付いています。
7小節目でまた3/4拍子っぽくなった後、音域を上げつつ弱まっていきます。
この9〜12小節目の左手はとても難しいので、この部分だけ取り出してゆっくりたっぷり練習することをおすすめします。
13〜20小節
再びmfでテーマに戻ります。13〜16小節目までは最初と同じ。
17、18小節目は左右の掛け合いを意識。
曲中唯一の16分音符で速いパッセージを弾く19〜20小節目は聴かせどころ。涼しい顔でサラッと弾けたらカッコ良し。
21〜30小節
左右の手による掛け合いが続きます。ここは左手も頑張るところ。
やがて、23小節目の右手の長い「ミ」音の下で左手が火の勢いの弱まりを表現します。
この「ミ」ですが、なんと7小節分、42拍+フェルマータの間は押さえっぱなし。
本来ピアノの音は減衰していくのでこれほど伸びませんが、左手の動きによりかすかに響きが残りますのでよく聴きながら弾いて下さい。
31〜52小節
右手でそっとテーマが奏された後、同じリズムで徐々にクライマックスに向かいます。
40小節目からのユニゾン(左右同じ動き)は目立つので頑張ってそろえましょう。
49小節目からの左手は9〜12小節と同じパターンの難しい箇所ですがテンポは遅くならず、そのままD.C.(ダ・カーポ)で最初に戻ります。
53〜60小節
テーマと同じリズムを刻みながら祭りは終幕を迎えます。
音域を上げながら音が細く弱まっていくことで炎の勢いが弱まっていくのを表現します。
58、59小説の休符が短くならないようにしっかりと待ちましょう。
最後にffでもう一度テーマのリズムが奏された後、ppの2つの音と共に炎が消え、始まった時と同じように火祭りは突然終わります。
あたりが再び暗闇に包まれるところを想像しながら曲を締めくくって下さい。
まとめ
平吉毅州による子供のためのピアノ曲「真夜中の火祭」について解説してみました。
‥ところで、突然ですがこの曲の題名、謎だと思いませんか?
なぜ「真夜中」にお祭りが行われているんでしょう?普通に「夜の火祭」じゃダメなんでしょうか。
そもそも、「こどものためのピアノ曲」とうたいながら、「真夜中」とは何事ですかしらん。
子供が真夜中に出歩くのはいかがなもんでしょうか!?σ(^_^;)
今となっては作曲者に聞くすべもありませんが、私はこう考えます。
この「火祭」は、本来普通の人間の子供がみてはいけない、秘密の儀式だったのかも。
おとぎ話などに時々あるではありませんか。決して開けてはいけない扉とか見てはならない誰かの姿とか。
でも「見ちゃダメ」「開けちゃダメ」と言われると余計にやりたくなりますよね。
そして主人公は大抵困った目に合うわけですが。σ(^_^;)
この曲が魅力的なのは、そんなちょっぴり怖いおとぎ話の雰囲気をまとっているからではないでしょうか。
火の祭りが終わったあと、それを見た人はどう思ったのかな?そしてその後どうしたのかな?
そんなことまで想像しながら弾くのも良いのではと感じました。
ぜひ、色々な方法でこの曲の魅力を感じながら演奏してみて下さいね!
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