「お人形の夢と目覚め」の難易度は?ストーリーに合った弾き方のコツを解説|発表会におすすめ!

「お人形の夢と目覚め」(エステン Oesten ,1813-1870)はピアノ発表会の定番曲。

発表会では必ずと言っていいほどよく演奏される人気曲です。

そして実は、「お人形の夢と目覚め」というピアノ曲を知らなくても、多くの人が耳にしている曲でもあります。

 

2021年3月、給湯器メーカーの「(株)ノーリツ」は、「お風呂が沸きました」という言葉とともにこの曲の一部を商標登録。

クラシック音楽を含む音声では初めてのことで、話題を呼びました。

ピアノ曲に全く縁のない人でも、日本の総人口の3人に一人は聞いたことがあるほどに浸透しているこの曲、いかに日本人によって愛されているかが分かります。♪( ´▽`)

 

本記事では、そんな「お人形の夢と目覚め」を徹底解説。

難易度レベル、演奏に必要なテクニック、弾き方のコツまでバッチリお知らせして参ります。

レッスンに、発表会に、お役に立てれば幸いです!

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「お人形の夢と目覚め」の難易度

ピアノと花束

難易度比較

初級〜初中級

いわゆる「バイエル」終了からブルグミュラー25番練習曲の中ほどレベル。

ブルグミュラー「アラベスク」より難しく、「貴婦人の乗馬」よりは易しいです。

「貴婦人の乗馬」についての解説記事はこちらから↓

「貴婦人の乗馬」の難易度レベルと演奏のコツ

 

また音の並びが素直なため、平吉毅州、湯山昭、三善晃などの邦人作曲家の作品よりは弾きやすいでしょう。

平吉毅州「チューリップのラインダンス」についての解説記事はこちら↓

「チューリップのラインダンス」を解説!難易度と弾き方のコツ|何年生で弾くのがおすすめ?

 

ただ、やや曲が長いため幼稚園生など低年齢の子には少々大変かも。小学校低学年で弾ければ順調と言えるでしょう。

要求される技術

  • 右手の3度重音のレガート奏法
  • 左手低音2分音符の保持と重音奏
  • 6つの音の和音連打
  • 右手16分音符の速いパッセージ

 

右手の3度重音でのレガートはちょっとやっかい。

「お風呂が沸きました」部分の左手も、低音を保持した上で重音のスタッカートを弾かねばならず、このレベルとしてはやや難しいです。

6つの和音をつかんでの連続打鍵もやや難。

 

「お人形の踊り」部分では、右手の16分音符を軽やかに弾くのがこの曲のキモ。

ある程度指が動くタイプの学習者におすすめです。

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「お人形の夢と目覚め」の概要

バレリーナの人形

  • 曲名:お人形の夢と目覚め(Dolly’s Dreaming and Awakening)
  • 原題:Kinderscenen(子供の情景)Op.202, No.4  Püppchens Träumen und Erwachen
  • 作曲者:エステン(Oesten, Theodore),1813-1870
  • 作品スタイル:ロマン派小品
  • 調性:ハ長調
  • 演奏時間:約3分

 

「お人形の夢と目覚め」はよく単独で演奏されますが、もともとは6曲からなる組曲「子供の情景」の第4曲として発表されました。

 

作曲者は19世紀の作曲家、テオドール・エステン。

ベルリン出身のピアニストであり作曲家・ピアノ教師で、英語風にオースティンと呼ばれることもあります。

ショパンよりも3歳年下で、ロマン派と呼ばれる作曲家たちの一人。

ピアノ曲の他に声楽曲や弦楽器のための曲など、親しみやすい旋律と華やかで聴き映えのする曲を多く作曲しました。

 

「お人形の夢と目覚め」は、全体が3つのパートに分けられ、それぞれに英語でサブタイトルが付けられています。

曲想は子供や初級者にもイメージしやすく、また全体を通して練習することで技術の向上が図れるように作曲されており、エステンのピアノ教師らしい一面を伺うことができます。

 

収録楽譜は数多く存在しますが、「先生が選んだピアノ名曲集」③は使える曲が多く、おすすめ。

全音ピースから一曲のみ購入することもできます。

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「お人形の夢と目覚め」の弾き方解説

ピアノの置物

「お人形の夢と目覚め」は、全体が大きく3つの部分でできています。

  • 人形への子守歌
  • 人形の夢
  • 目覚めた人形の踊り

 

「人形が子守歌によって眠りに落ち、幸福な夢の中で遊ぶ。やがて目覚めて幸福感のまま楽しく踊り出す」

このストーリーを、場面ごとに弾き方を変えて表現するのがこの曲の課題です。

 

本記事は「IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー」のパブリック・ドメイン楽譜を使用しています。

IMSLPメインページ

子守歌(Cradle song)

3/4拍子, Andante con moto(やや遅く、動きをもって)

左手でゆりかごの揺れる様子を、右手で誰かの歌う子守歌を表現します

人形の夢と目覚め冒頭部

冒頭の速度指示は、「先生が選んだピアノ発表会名曲集」ではcon moto、このパブリックドメイン楽譜では付点2分音符=48となっています。

どちらにしてもあまり遅すぎず、ゆりかごにゆらゆら揺られているイメージ。

 

右手の3度の重音でのメロディ奏は、4小節ずつのスラーに従い、レガートで一息に。

3小節目の付点2分音符はsostenuto(音を十分に保って)を意識して、4小説目の4分音符の「ドミ」にそっと着地しましょう。

「子守歌」なので、各フレーズは人の呼吸で歌える程度の長さ。

実際に歌いながら練習してみると良いですね。

 

24小節目に「Dolly sleeps(お人形は眠る)」という発想の指示があります。

子守歌から単調な同音の連続になって、「眠りに入るイメージ」を表現。

26小説からは右手が左手を超えて低音を弾くことで、深い眠りに落ちていく様子を表します。

人形の夢と目覚め 人形の眠り

dim. e rall.(次第に弱く、遅く)と指示があることがほとんど。

全休符につけられたフェルマータを強調し、長めに「間」を取りましょう

お人形の夢(Dolly’s dream)

4/4拍子,  Moderato(中ぐらいの速さで)

ご存知、「お風呂が沸きました」の部分。

ユニバーサル化が浸透する中、目が不自由な方のお風呂沸かしの不便さを解消するため、音で沸き上がりを知らせるアイディアを形にした製品でした。同メロディーは聞き飽きないよう、流行りすたりのないクラシック音楽に絞り、お客さまにこれからおふろに入る高揚感と幸福感を感じてほしいという思いを重ね、ドイツの作曲家テオドール・エステン(オースティン)のピアノ曲「人形の夢と目覚め」の第2部「夢を見ているところ」を選定しました。

ノーリツ プレスリリース

上は(株)ノーリツの2021年プレスリリース。

やはりこの部分は幸福感や、暖かく満たされた様子を表現できると良いです。♪( ´▽`)

人形の夢と目覚め 人形の夢

最初のうちは4小節を一単位として、人形の夢が描かれます。

右手のメロディは上下しながらなだらかに高い音域へと移っていきます。これが「高揚感」ですね。

同時に幸福な夢によくある浮遊感も感じられて、この曲をお風呂の曲に使った(株)ノーリツのセンスの良さに脱帽です。

 

この部分の左手は、「ピアノ発表会名曲集」ではスタッカート、パブリックドメイン楽譜ではダンパーペダルの指示があります。

ペダルを踏むとぼわ〜んと音が響きすぎるので私はここでは使いません。

またスタッカートもやりすぎると次の「踊り」部分との差がつきにくくなるので、あくまでも「夢」であることを忘れず穏やかに。

イ短調後の42小節目のrit.とフェルマータは長めに伸ばすとまどろむ雰囲気が出ます。

 

再び同じメロディが出てきたのち、今度は短いスパンで同じフレーズを3回繰り返し、人形の目覚めが近いことを表現します。

 

ここを3回とも同じように弾くと単調になるので工夫が必要。

だんだんと意識がクリアになっていくように、左手のスタッカートは徐々に歯切れよく。

また楽譜の指示にはありませんが、テンポを上げていっても良いかもしれません。

人形の夢と目覚め

50小節目からの「お人形の目覚め(Dolly awakes)」は聴かせどころ。

付点8部休符を意識してやや長めに、16分音符は短めにすると勢いの良さが表現できます。

フェルマータは音符ではなく休符についているので、しっかりと間合いを取りましょう

お人形の踊り(Dolly dances)

2/4拍子, Allegretto moderato(やや早く、中庸さをもって)

人形が踊り出します。優雅なワルツではなく、元気なギャロップ(2拍子の軽快な踊り)。

今までとはうって変わった快活さ、活発さを表現しましょう

人形の夢と目覚め 人形の踊り

たまにものすごく速く弾く人がいますが、速度指示はAllegrettto Moderatoなのでそれほど急速ではありません。

scherzando(たわむれるように)の指示があるので、楽しさと軽やかさが出ると可愛らしいです。

 

曲の終盤に近づく77-78小節はfで歯切れ良く元気に、79-80小節目のp部分は急に弱く。

この部分の強弱の幅は大きいほど演奏にメリハリが出ますが、fを頑張りすぎて右手の6度の和音が乱暴にならないように注意しましょう。

人形の夢と目覚め 後半

 

84小節からはコーダ(終結部)。ここからの左手に注目です。

 

人形の夢と目覚めコーダ

 

84小節目以降、左手はV7(属七・ソレファ)-I(1の和音・ドミ)と、V(5の和音・ソシレ)-I(1の和音・ドミ)の2種類の進行しか出てきません。

シンプルで力強さを感じさせる部分なので、アクセントのついた最初の音を目立たせ2つ目の音は軽く。

 

その上で右手のくるくる回るような16分音符群がなめらかに演奏できるとカッコ良いです。

最大の山場なのでよどみなく弾けるようによくおさらいしましょう。

メトロノームに合わせてゆっくり練習するのがおすすめです。

 

最後は16分音符によるハ長調のスケールのあと「踊り」のテーマを繰り返し、「目覚め」部分と同じリズムで堂々と終わります。

最後の音のフェルマータはあまり長すぎない方が「眠り」や「夢」との差を表現できるのでおすすめ

長い曲のラストにふさわしく、晴れやかに締めくくって下さいね。(^○^)

まとめ

人形

多くの日本人に愛され、発表会でも大人気の「お人形の夢と目覚め」について、曲の難易度や必要なテクニック、概要、演奏のコツをお伝えしました。

 

この記事を書くにあたり、悩んだことがあります。

それは曲の題名を「人形の夢と目覚め」とするか「お人形の夢と目覚め」で統一するか。「お」の有無で悩んだ訳です。

最終的に「お人形」で書くことにしたのは、日本で流通されている楽譜の英語の題名が「Doll’s Dreaming and Awakening」ではなく「Dolly’s Dreaming and Awakening」だったから。

yが付くことで「人形」ではなく「お人形さん」といったニュアンスになるからです。

 

幼い子が大好きな「お人形さん」が、子守歌によってねんねして、夢の中で遊んだり、目が覚めてからはからは楽しそうに踊ったり。

そんな風に、この曲自体が小さな子供の可愛らしい「夢」であり「願い」であったら素敵ですよね。

 

もちろんこれは私の勝手な解釈。

そもそもパブリックドメイン楽譜では「Doll’s」になってますし、作曲者はそこまで考えてなかったかもσ(^_^;)

 

それでもこの曲、そんな想像をかき立てる優しげで幸福な雰囲気にあふれています。

ぜひ、あなたやあなたのお子さんだけの素敵な「お人形の夢と目覚め」のストーリーを考えてみてくださいね!

 

「お人形の夢と目覚め」の楽譜は数多くありますが、こちらの「先生が選んだピアノ発表会名曲集③」はおすすめ。

全音ピースで1曲から購入することもできます。

 

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