「プレ・インベンション」とはどんなピアノ教本?使い方と難易度/練習順序|いつからはじめる?

「プレ・インベンション」(全音楽譜出版社)をご紹介します。

「プレ・インベンション」は、初級レベルからポリフォニー(多声音楽)を学べるピアノ教本。

スカルラッティやテレマン、J.S.バッハなど、バロック音楽の基礎を学びながら多声音楽に慣れることができます。

通常のピアノレッスンのほか、発表会に取り入れることもできて活躍すること間違いなし。

本記事では、「プレ・インベンション」はいつから始められるのか、難易度レベル、効果的な使い方についてお伝えして参ります。

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「プレ・インベンション」とは

プレ・インベンション J. S. Bachインベンションのまえに [ 日下部憲夫 ]

概要

「プレ・インベンション」(全音楽譜出版社)の概要は以下の通り。

 

J.S.バッハを中心とするポリフォニー音楽(多声音楽)の初期段階のピアノ教材として知られています。

曲数が多く、比較的難易度の低いものから難しい作品まで網羅されていて学習者の日頃のレッスンに向いています。

また発表会のプログラムに変化をつけるために使うこともあります。

本教材を終えればJ.S.バッハ「インヴェンション」に入ることも可能です。

 

  • 楽譜タイトル:プレ・インベンション(precede invention)
  • 編・校訂者:日下部憲夫
  • 出版社:全音楽譜出版社
  • 曲数:56曲
  • 総ページ数:93頁
  • 定価:1760円(税込み)

 

特徴

「プレ・インベンション」は、以下のような特徴を持っています。

  • 初級後半〜中級レベル対象
  • バロック期の鍵盤楽器曲を集めた曲集
  • ポリフォニー(多声音楽)が学べる

 

「プレ・インベンション」は、初級後半、初中級〜中級者向きのピアノ曲集です。

バロック期(16世紀後半〜18世紀後半)の鍵盤楽器、ハープシコードやチェンバロなどのための曲を集めたもので、主にJ.S.バッハを中心とする作曲家たちの作品が収められています。

特にポリフォニーに慣れていない学習者を念頭に、2声(2つの声部)で書かれている曲がほとんど。

いずれJ.S.バッハ「インヴェンション」に進むための準備段階の教本ともいえます。

こんな人におすすめ

  • 初級終わり頃〜中級者
  • あらゆる年齢のピアノ学習者
  • ポリフォニーについて学びたい人
  • 本格的なクラシックピアノのレッスンを望む人

 

「プレ・インベンション」は初級レベルの終わり頃から使用することができます。

全56曲には難易度差があり、易しい曲から比較的難しい曲までレベルは様々。

J.S.バッハの小品のほかテレマンやL.モーツァルト(W.A.モーツァルトの父)、スカルラッティ、ラモー、ヘンデルなどの作品が採り入れられているのでバロック期の鍵盤楽器曲を学ぶには最適です。

 

「プレ・インベンション」では、左右の手を均等に使い、各声部を聴きながら別の声部を弾くという技量を学ぶことができます。

ピアノ学習者のうち、比較的練習時間の取れる人、趣味であっても基礎基本からしっかりと学びたい人、いずれJ.S.バッハの「インヴェンション」に進みたいと考える学習者におすすめです。

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「プレ・インベンション」の使い方

チェンバロの鍵盤

「プレ・インベンション」はいわゆる『教本』『教材』として、日常のピアノレッスンで使用するのが普通。

いわゆる「バイエル」の後半〜レベルになった学習者のうち、比較的順調に進んでいる人が対象になります。

練習曲や「曲」として使うというより、ポリフォニーを学ぶための副教材としてレッスンを補完する形で使うのにぴったり。

 

別の使い方として、ピアノ発表会のプログラムに変化をつけるために取り入れることも。

「プレ・インベンション」に収録されている作品には、バロック期の鍵盤楽器曲の基本的な特徴がよく出ています。

発表会で他のロマン派や近・現代の曲と組み合わせて演奏すれば、演奏効果が得られるでしょう。

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「プレ・インベンション」曲目と難易度

以下、「プレ・インベンション」全56曲をご紹介します。リンクはYouTubeへ。私が演奏しています。

なお、この曲集の巻末には難易度の目安と練習順序が掲載されていますが、曲番のみで曲名が分かりづらいのが難点。なので最初から曲名と共に並べてみました。

また楽譜の指定する「練習順序」と、当ブログの難易度の判定がズレている部分もありますσ(^_^;)

ご参考になれば幸いです。

当ブログの、曲の難易度の設定方法を説明する記事はこちら↓

ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで

第1過程

練習順 曲番 題名/原語タイトル 作曲者 難易度
1 34 スケルツォ/Scherzo ミュラー /A.E.Müller 初級A
2 11 スケルツィーノ/Scherzino テレマン/Telemann 初級B
3 32 カンツォネッタ/Canzonet ネーフェ/Neefe
4 2 小フーガ第2番/Miniature Fugue 2. ローリー/Rowley
5 1 小フーガ第1番/Miniature Fugue 1. ローリー/Rowley
6 4 小フーガ第4番/Miniature Fugue 4. ローリー/Rowley
7 21 シュヴェービッシュ/Schwäbisch J.C.F.バッハ/J.C.F.Bach
8 38 マーチ/Marcia クラーク/Clarke
9 36 アリエッタ/Arietta テュルク/Türk
10 28 ブレ/Bourrée L.モーツァルト/L.Mozart
11 30 メヌエット/Menuet W.A.モーツァルト/W.A.Mozart
12 37 ガヴォット/Gavotte ヴィットハウアー/Witthauer
13 3 小フーガ第3番/Miniature Fugue 3. ローリー/Rowley
14 5 小フーガ第5番/Miniature Fugue 5. ローリー/Rowley
15 12 アレグレット/Allegretto テレマン/Telemann
16 33 スケルツァンド/Scherzando ネーフェ/Neefe 初級C
17 17 メヌエット/Menuet BWV.Anh.114 ✳︎J.S.バッハ(ペツォルト) 初級B
18 18 メヌエット/Menuet BWV.Anh.115 ✳︎J.S.バッハ(ペツォルト) 初級C
19 35 メヌエット/Menuet クリーガー/Krieger 初級B
20 31 アレグロ/Allegro W.A.モーツァルトW.A.Mozart 初級C
21 8 小さなカノン/Kleine Kanon Op.14-106 クンツ/Kunz
22 9 小さなカノン/Kleine Kanon Op.14-126 クンツ/Kunz
23 13 ジグ/Gigue テレマン/Telemann
24 14 アレグロ/Allegro テレマン/Telemann
25 39 スケルツァンド/Scherzando スカルラッティ/Scarlatti
26 40 メヌエット/Menuet ラモー/Rameau

✳︎バッハ作曲と伝わっていますが、同年代のオルガニスト、ペツォルトの作品と修正されています。

第2過程

練習順 曲番 題名/原語タイトル 作曲者 難易度
27 15 リゴドン/Rigaudon テレマン/Telemann 初中級A
28 16 ポロネーズ/Polonaise BWV. Anh .119 J.S.バッハ/J.S.Bach
29 27 アングレーズ/Anglaise L.モーツァルト/L.Mozart
30 29 アントレ/Entrèe L.モーツァルト/L.Mozart
31 41 メヌエット/Menuet ベーム/Böhm
32 43 バレエ/Ballet キルンベルガー/Kirnberger
33 46 古いドイツの踊り/Old German Dance 作曲者不詳/Anonymous 初中級B
34 52 インパーティネンス/Impertinence ヘンデル/Händel
35 47 ロンド/Rondo 作曲者不詳/Anonymous
36 6 小さなカノン/Kleine Kanon Op.14-82 クンツ/Kunz
37 7 小さなカノン/Kleine Kanon Op.14-92 クンツ/Kunz
38 10 小さなカノン/Kleine Kanon Op.14-52 クンツ/Kunz
39 20 メヌエット/Menuet BWV. Anh. 116 J.S.バッハ/J.S.Bach
40 24 ブルレスカ/Burlesca W.F.バッハ/W.F.Bach 初中級C
41 42 メヌエット/Menuet ロカテッリ/Locatelli
42 49 サラバンド/Sarabande コレッリ/Corelli
43 53 ブレ/Bourrée ヘンデルHändel
44 19 メヌエット/Menuet BWV. Anh. 120 J.S.バッハ/J.S.Bach
45 22 アングレーズ/Anglaise J.C.F.バッハ/J.C.F.Bach
46 23 アレグロ/Allegro C.Ph.E.バッハ/C.Ph.EBach
47 26 春/Frühling W.F.バッハ/W.F.Bach
48 44 バレエ/Ballet キンデルマン/Kindermann
49 48 カプリッチォ/Capriccio ヘスラー/Hässler 中級A
50 50 フィナーレ/Finale ヒュルマンデル/Hüllmandel
51 45 フーガ/Fugue パッヘルベル/Pachelbel

 

第3過程

練習順 曲番 題名/原語タイトル 作曲者 難易度
52 51 主題と変奏/Theme-Variations ハッセ/Hasse 中級A
53 25 ブレ/Bourrée W.F.バッハ/W.F.Bach
54 55 サラバンド/Sarabande ヘンデル/Händel
55 54 プレリュード/Prelude ヘンデル/Händel
56 56 主題と変奏/Theme-Variations ハイドンHaydn 中級B

 

以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓

ピティナピアノステップ課題曲検索

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「プレ・インベンション」まとめ

チェンバロの鍵盤

「プレ・インベンション」についてお伝えしました。

 

「プレ・インベンション」はとても優れた教材・教本です。とはいえ、必ずしも使う学習者ばかりでもないと思われます。

ピアノ教室によっては、ポリフォニーはこの段階では難しいからと特に取り上げないこともあるかもしれません。

それでも将来バッハのインヴェンションを弾きたい、ショパンを弾けるようになりたいなど、本格的にクラシックピアノを学ぶ意欲がある方はぜひ挑戦してみて頂きたいものです。

できれば、いわゆる「バイエル」後半くらい、すなわち初級レベルも中盤に差しかかった頃に始めると効果が高いでしょう。

健闘を祈ります!(^○^)

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