【J.S.バッハ】シンフォニア 全曲の難易度順は?おすすめの練習順序と楽譜を紹介【ピアノ】
バッハのシンフォニアは別名「3声のインヴェンション」とも呼ばれます。3つの声部による対位法の作品ということですね。
「インヴェンションでさえ難しかったのに、これは大変。ところで易しい順に並んでいるわけではないよね?どんな順番で練習すれば良いの?」と感じたのではないでしょうか。
シンフォニアは、曲ごとの難易度にかなり差のあった2声のインヴェンションと比べると実はそれほどの難易度差はありません。
要はどれも難しいということ( ´∀`)また当然ながら、装飾音の入れ方やテンポ設定によっても変わってきます。
本項では、ピアノ学習者であるあなたが、どんな順番で練習していけばスムーズに進めるか、その練習順序を提案するものです。
2声のインヴェンションの練習順序を解説した記事はこちらから↓
【J.S.バッハ】2声のインヴェンション 曲ごとの難易度は?練習順序と取り組み方のコツ
目次
【J.S.バッハ】シンフォニアの難易度判定の基準

バッハのシンフォニアは、前述のように2声のインヴェンションほど各曲の難易度に差がありません。
そこで以下の基準を考慮しました。
- 各声部の弾きやすさ
- テンポ設定
- 装飾音の複雑さ
シンフォニアは左右2本の手で3つの声部を弾き分けなければなりません。
それぞれの曲における主題の現れ方は様々で、比較的弾きやすいものから手の交差や無理な指使いが必要な難儀なものまで。
よって音の並びがシンプルなものは難易度が低め、弾きにくい作品は高めに設定しました。
またテンポが速いテクニカルな曲、黒鍵の多い曲、譜読みが大変な曲も難易度が上の方に設定しています。
バッハ作品において装飾音符は極めて重要な要素。この装飾音をきれいに弾くのがシンフォニアではなかなか大変なのです。
なので装飾音の多い曲は難易度が高めとしました。
なお本記事の対象者は、日本でピアノを学ぶ人々、あるいは趣味としてピアノを練習する学習者です。
例えばコンクールで上位入賞を狙ったり海外留学などを考えている人々は想定していません。
そういった方々は本ブログなど読まず高名な先生に師事しておられると確信しているからです♪(´ε` )
それゆえ、ピアノ学習者が現実的に演奏可能なテンポ・装飾音の入れ方をした場合の難易度を設定してみました。
【J.S.バッハ】シンフォニア 全曲の難易度順

おすすめの練習順序
シンフォニア全15曲はどのような順番で練習するのが適切でしょうか。
あくまで一案ですが、比較的取り組み易いと思われる曲から難しい曲へと難易度順に並べてみました。
私が生徒にシンフォニアを練習させるならこのような順番になるであろうということです。
- 1→6→4→3→7→2→11→13→10→8→12→9→15→14→5
わかりやすいように調性も書き出してみると以下のようになりました。
比較的シンプルな曲から徐々になんとなく複雑になり演奏技術が必要に。譜面も混雑していくのがお分かりかと思います。
なおリンクはYouTubeに飛びます。私が演奏しています(*´∀`*)
1. 第1番 ハ長調
2. 第6番 ホ長調
3. 第4番 ニ短調
4. 第3番 ニ長調
5. 第7番 ホ短調
6. 第2番 ハ短調
7. 第11番 ト短調
8. 第13番 イ短調
9. 第9番 ヘ短調
10. 第8番 ヘ長調
11. 第12番 イ長調
12. 第15番 ロ短調
13. 第9番 ヘ短調
14. 第14番 変ロ長調
15. 第5番 変ホ長調
最も易しいというか弾きやすいのはやはり第1番ハ長調。ラスボスは5番と認定しました。
この5番、複雑な装飾音符で譜面が埋め尽くされ見た目が真っ黒(^^;)シンフォニアのラストを飾るに相応しい優雅にして華麗な作品です。
バッハ推奨の練習順序
ところで、作曲者である大バッハ先生は、曲ごとの難易度をどのように考えておられるのでしょうか。
春秋社版のJ.S.バッハ「シンフォニア」を校訂した園田高弘氏によれば。バッハ自身が推奨した練習順序は以下のようになります。
- 1→4→7→8→10→13→15→14→12→11→9→6→5→3→2
- 第1番ハ長調
- 第4番ニ短調
- 第7番ホ短調
- 第8番ヘ長調
- 第10番ト長調
- 第13番イ短調
- 第15番ロ短調
- 第14番変ロ長調
- 第12番イ長調
- 第11番ト短調
- 第9番ヘ短調
- 第6番ホ長調
- 第5番変ホ長調
- 第3番ニ長調
- 第2番ハ短調
ちなみにこの推奨順序はインヴェンションと同じです。
この順序の規則性は以下の通りです。
- 白鍵だけで主和音が弾ける調をハ長調から順に上昇していく ドミソ=ハ長調、レファラ=ニ短調、ミソシ=ホ短調・・・例外:シレファ#=ロ短調
- 残りの調を順に下降していく シ♭レファ=変ロ長調、ラド#ミ=イ長調、ソシ♭レ=ト短調・・・ドミ♭ソ=ハ短調
バッハの考えた指導(練習)順序は、どちらかというとテクニックや譜読みの複雑さではなく、調性の理解に重きを置いています。
すると、自然に黒鍵の多い曲は難易度が上の設定に。私の感覚・感触と大きなズレはないことがわかります!♪(´ε` )
こちらの方の難易度順で練習して見るのもアリだと思います。
園田高弘氏推奨の練習順序
それでは園田高弘氏自身はどのような練習順序をおすすめしているのでしょうか。
園田高弘校訂版「シンフォニア」から引用します。
このように、はじめに着想されて書かれた順番と、曲集としてまとめられた配列を比べることによって、例えば、変ホ長調やハ短調といった曲が、バッハ自身かなり難しい曲と考えていたことが判るのである。
そこで私自身の提案としては、次の順序で勉強することが望ましいものと考える。
- 1→2→3→6→8→10→12→15→4→5→7→9→11→13→14
テクニカルな15番、装飾音符に彩られた5番が真ん中あたり。
比較的素直と(私が)考える4番や7番が後ろの方に来ています。
このことから、園田先生は技術的な難しさよりも声部の表出のあり方などに重きをおいて難易度を判定していらっしゃるようにお見受けします。
確かなことは、大バッハ先生と園田先生のお考えからしてまったく違うということf^_^;
シンフォニアはこれほどに、曲ごとの難易度判定が難しい教材であると言えるでしょう。
【J.S.バッハ】シンフォニアのおすすめの楽譜

日本でピアノを学ぶピアノ学習者におすすめの楽譜として、私は国産のものを推奨しています。
当然ながら日本語の解説がついており、しかもかなり詳しいものも多いからです。
- J.S.バッハ インヴェンションとシンフォニア/市田義一郎編(全音楽譜出版社)
- J.S. バッハ シンフォニア/園田高弘校訂(春秋社)
- バッハ インヴェンションとシンフォニア/高木幸三校訂・解説(全音楽譜出版社)
- バッハ・インヴェンションとシンフォニア(解説付)(カワイ出版)
- バッハ シンフォニア 分析と演奏の手引き/小鍛冶邦隆・中井正子著(ハンナ社)
当ブログでは、特にインヴェンションとともに市田義一郎編の楽譜をおすすめしています。その理由は以下のとおりです。↓
バッハ インヴェンションの楽譜はどれがおすすめ?5冊を厳選!特徴と選び方を解説/一般学習者向け
園田高弘氏が校訂した楽譜は、解説はありませんがフレージングや運指がすべて楽譜上で指示されていて使いやすいのが特徴。
いわゆる「高木版」は、解説が詳しくわかりやすい。楽譜上に弾き方が書いてあるので独学向きです。
カワイ出版の楽譜は運指が優れています。日本人の手をよく研究されていると感じます。財布に優しいお値段も好印象(^_^)
ハンナ社「分析と演奏の手引き」は非常に詳しい解説と解釈が秀逸。ただし趣味で弾く人にはやや難解かも。
文字通り「手引き」として辞書のように使うのが良いと思います。
まとめ

J.S.バッハ シンフォニア(3声のインヴェンション)全15曲。
曲ごとの難易度と練習する際のおすすめの順番、趣味でピアノを学ぶ学習者向きの推奨楽譜についてお伝えしました。
シンフォニアは難しい教材です。
慣れないうちは、インヴェンションと比べてワンランクどころか急に2ランクも難易度が上がったように感じるかもしれません。
インヴェンションを終わった時点ですぐに挑戦するのは厳しいと感じるかもしれません。
それでも、多少時間がかかってもやるだけの価値はあると断言します。
ひとつひとつ階段を登るつもりで取り組んでみて下さい。
他の教材、練習曲、曲集では学ぶことのできない、音楽の真髄に近づくための鍵をあなたは手に入れることができるでしょう。
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