【J.S.バッハ】インヴェンションとは?難しい理由|必ず弾くべきor弾かなくて良い?その判定方法
J.S.バッハ作曲「インヴェンション」。ピアノ学習者ならその名を知らない人は少ないはずですね。
習っているピアノの先生から「次はバッハのインヴェンションをやりましょう」と言われたら、あなたならどんな反応をするでしょう。
「いよいよここまで来た。頑張ろう!」
「‥面倒くさそう。別にいらないんだけど‥」
「難しいらしいじゃないですか。私に弾けるかなあ」
そもそも「インヴェンション」とは何なのか?
難しいとは聞き及ぶもののそれはなぜなのか、学習者がどうしても弾かなければならないモノなのか??
それらの疑問にお答えしたいと思います。
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目次
【J.S.バッハ】インヴェンションとは
噂に聞く「バッハのインヴェンション」。果たしてその正体とは? 以下のようにまとめられます。
- インヴェンションの意味は「発想・着想」
- バッハが息子の教育のために書いた学習教材
- 2声・3声のクラヴィーア小曲集の総合タイトルで特に2声の15曲を指す
『インヴェンション』の語源はラテン語。「着想・発想」「良い思いつき/アイディア」といった意味です。
もともとは、J.S.バッハが長男フリーデマンの音楽学習のために書いた教育用の作品集『ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』に収められていました。
のちに独立した曲集としてまとめられ、バッハの弟子たちも使用するようになりましたが、その目的はあくまでも「手引き」。
要は「練習曲集」だったというわけなんですね。
「インヴェンション」は、2声・3声それぞれ15曲ずつ、合わせて30曲のクラヴィーア小曲集に付けられた総合タイトル。
特に2声の15曲の方を「インヴェンション」、3声の方は「シンフォニア」と呼ばれます。
バッハの生きた18世紀にはピアノという楽器はまだ存在しなかったので、クラヴィーアという鍵盤楽器(チェンバロorクラヴィコード)のために作曲されました。
J.S.バッハ「インヴェンション」についての詳しい説明はこちらからどうぞ↓
ピティナ・ピアノ曲辞典/バッハ:インヴェンションBWV772-786
インヴェンションが難しい理由
J.S.バッハの「インヴェンション」は、ピアノ学習者にとってある種の関門であり壁です。
バロックの作品になれていないピアノ学習者が、ソナチネなどの傍らいきなりインヴェンションに突撃すれば、多くの場合あえなく撃沈するハメに。
そう、インヴェンションは難しいのです。そう簡単には弾けません(断言)。
たとえあなたがショパンのワルツを上手に弾いていたとしても、もしかしてインヴェンションには苦労するかも!?
なぜでしょうか。
インヴェンションは、独立した複数の旋律が同時に進行して行きます。これを「ポリフォニー(多声音楽)」と呼びます。
ブルグミュラーやソナチネを弾いていたときは、右手がメロディ、左手が伴奏(逆のケースもあり)を担当することが多かったハズ。
ところがインヴェンションでは、左右の手が同時に別のメロディを弾いていくことになります。
要は一人の演奏者が二人分の働きをする必要があるわけで、脳はひとつなのでフル回転。
二つのメロディを、それぞれフレージングやアーティキュレーションに気を配りつつ歌い上げるという芸当が要求されるというわけです。
その他にも、見開きわずか2ページのなかに様々な創意工夫が盛り込まれていて、それらが一斉に学習者に対して挑んで来ます。σ(^_^;)
何しろ、大作曲家であるバッハがやはり天才的な息子のために書いた教育的練習曲集。難しくて当たり前です。
今までの教本とは一味も二味も違うのですね。
インヴェンションは必ず弾くべき?
というわけで、なかなか厄介なインヴェンション。
「なんかすごくめんどくさ‥コレどうしても弾かなきゃダメな感じ?(;´д`)」という誰かの心の声が聞こえてきそう。
あなたがインヴェンションを弾くべきか、できたら弾いた方が良いのかそれともムリに弾かなくて良いのか?
それはあなたのピアノとの関わり方・向き合い方によって答えが出ます。ご自身が以下のどの項目に当てはまるか、ちょっと考えてみて下さい。
必ず弾くべき人
バッハのインヴェンションを、必ず弾くべきなのは以下のような方々です。
- 将来ピアニストを目指す人
- 音楽大学でピアノを学びたい人
- 比較的レベルの高いコンクールに出場する人
- ショパンが大好きな人
上から3つ目までの項目についてはお分かりかと思います。
要は、本格的にピアノを学びたいならインヴェンションは絶対に必須というわけ。逃げられません。
4つ目に関して。ショパンはバッハをこよなく尊敬していました。
作曲の傍ら、普段の練習にもよく弾いていましたし、演奏会の前にも愛奏したと伝わっています。
意外に思われるかもしれませんが、ショパンの作品はバッハから大きな影響を受けています。「雨だれ」で有名な前奏曲集はその典型。
もしもあなたがショパンを上手に弾けるようになりたいなら、必ずバッハ・インヴェンションを弾くべしと断言します。
できたら弾いた方が良い人
インヴェンションを、できれば練習した方が良い人は以下のような方々です。
- 中級レベル以上でピアノが上手になりたいすべての人
‥なんだ、ほぼ全員じゃん、と思われましたね。その通りです。
J.S.バッハが、音楽史に残した功績は多大なものです。
上記のショパンだけでなく、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、さらにはドビュッシーなど、ほとんどすべての作曲家が大きな影響を受けました。
インヴェンションは、そんなバッハ作品群の入り口。
あなたが趣味としてピアノを学んでいて中級以上のレベルになっていれば、できれば弾いた方が良いに決まっています。
ピアノの難易度レベルについて解説した記事はこちら↓
無理に弾かなくて良い人
インヴェンションを、無理に弾かなくても良いと思われるのは以下のような方々です。
- ピアノの練習に時間をかけられない人
- ピアノの練習があまり好きではない人
- 派手で上手そうに聴こえる曲が好きで弾きたい人
ココを読んで深くうなずいているあなたは、もしやこんな感じでは?♪(´ε` )
「ピアノはただの趣味だし‥他にやりたいコトも多いし‥」
「部活と塾で忙しくて、手間とか時間かかる曲はムリなんだよね」
「ピアノは好きだけど練習はちょっと‥弾くのに苦労するようなのはイヤだなあ」
「ペダル踏まないしチョー地味?あんま上手に聞こえない感じがする。好みじゃないのよね。」
もちろんOKですとも!
あなたにとってピアノはあくまで趣味。
インヴェンションに取り掛かったはいいものの、そのあげくピアノが楽しくない、練習がツライ、となってしまっては元も子もありません。
弾いていて楽しい、やる気の出る曲を弾くのが一番です。(^○^)
【J.S.バッハ】インヴェンションについて・まとめ
J.S.バッハの「インヴェンション」について。
その言葉の意味、難しさの理由、どんな学習者が弾かなければならないのか、弾かなくて良い人はいるのか?またその判定法などについてお伝えしました。
J.S.バッハは「音楽の父」と呼ばれています。
バッハはクラシックの世界だけでなく、西洋音楽を祖とするありとあらゆる音楽の礎となりました。
もしもバッハが存在しなかったなら、世界の音楽は全く違ったものになっていたでしょう。
モーツァルトやベートーヴェン、ショパンも生まれなかったことでしょう。
18〜19世紀のヨーロッパは世界の中心。様々な意味で非常に強い時代でした。
従って、その時代のヨーロッパの音楽が、世界に与えた影響もまた多大なもの。
もしもバッハがいなければ、音楽だけでなく、歴史すらも変わっていたかもしれないのです。
インヴェンションとは「発想・着想」のほか「発明」という意味もあります。
J.S.バッハは、文字通り西洋音楽を「発明」したのかもしれませんね。
というわけで、あなたがピアノが好きで上達したいと願うなら、ぜひともインヴェンションに挑戦して頂きたいと思います。
バッハ先生も「よくぞここまで参った」と、あなたを迎えて下さっていますよ(^_−)−☆
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