インヴェンション第10番の演奏のポイントは?おすすめの弾き方と版による違いを解説【J.S.バッハ】
「インヴェンション」第10番(J.S.バッハ作曲)の演奏のコツやおすすめの弾き方について解説します。
この記事でわかることは以下の通り。
- インヴェンション第10番の概要
- 演奏のポイント
- おすすめの弾き方
- 版による微妙な違い
一般的なピアノ学習者にとって無理のないテンポと弾き方、装飾音の入れ方などは、プロのピアニストの演奏とは違うハズ。
本記事の内容を、インヴェンションを学ぶ際のひとつの提案ととらえていただければ幸いです。
【J.S.バッハ】インヴェンションとは?難しい理由|必ず弾くべきor弾かなくて良い?その判定方法
目次
インヴェンション第10番とは【J.S.バッハ】
概要
- 曲名:インヴェンション第10番 BWV 781(Inventio 10.)
- 拍子:9/8
- 小節数:32小節
- 調性の変化:ト長調→ニ長調→ト長調
インヴェンション第10番は、テンポの速い快活な舞曲「ジーグ」のスタイルで書かれています。
転調の少ないシンプルな構成ですが、的確なテクニックが必要となります。
インヴェンションの練習順序についてのおすすめはこちらの記事からどうぞ↓
2声のインヴェンション 曲ごとの難易度は?全曲の練習順序と取り組み方のコツ
演奏のポイント
左右の手に頻繁に現れる装飾音符には苦労するかも。特に左手に現れるトリルは弾きにくいはずです。
速く弾くことにこだわって急ぎすぎるとバタバタした印象に。かといってスローテンポではこの曲の持つスピード感が出せません。
弾きやすく、それでいて活気を失わないテンポ設定が鍵となります。
市田版の推奨テンポは付点四分音符=100/1分間となっていますが、この速さではトリルを上隣接音から弾くのは大変。
動画は付点四分音符=90程度で弾いており、これでも十分勢いは出ますのでおすすめです。
楽譜
インヴェンションの楽譜は各社から出ていますが、当ブログでは全音楽譜出版社の市田義一郎氏解説のものをおすすめしています。
インヴェンンションのおすすめ楽譜についての記事はこちら↓
バッハ インヴェンションの楽譜はどれがおすすめ?5冊を厳選!特徴と選び方を解説/一般学習者向け
また比較対象として以下の版を参考にしています。
- バッハインヴェンション 分析と演奏の手引き(ハンナ社)
- バッハ・インヴェンションとシンフォニア(カワイ出版)
- バッハ インヴェンションとシンフォニア 高木幸三校訂・解説(全音楽譜出版社)
- J.S.バッハ:2声のインヴェンション(ヘンレ版)
インヴェンション第10番の弾き方【J.S.バッハ】
この曲の8分音符は全て軽いノンレガートで弾きます。
第1提示部(1〜13小節)
市田版、ハンナ版、高木版ではトリルは上隣接音から弾くように指示があります。
一方カワイ出版では「テンポが速いのでその音からが適切」と。こちらの方が易しい(優しい)のはいうまでもありません。
頑張って上隣接音からとる場合、左手が(1212)の指では弾きにくい。動画では(2312)と弾いています。この方が小回りがききます。
7、8、11、12小節の右手モルデントは付いている版いない版、色々なバージョンあり。
ヘンレ版、ハンナ社販、カワイ出版では7、11、12小節に付いて8は無し。高木版は7、8小節には付かず11、12には付いている。
市田版では全てカッコで括り「あえて奏するほどのこともない」とバッサリσ(^_^;)お言葉に甘えて私は外しました。テンポが速いので、この方が確かにスッキリします。
11、12、13小節、ニ長調のカデンツに向かう場面。pからmf、fとクレシェンドして華やかに盛り上げましょう。
第2提示部(14〜26小節)
左右に現れる、長〜いトリルとその着地点に難儀するはず。
カワイ版はその音から、ハンナ版は下の音から始めて上2音と変則的に、市田版と高木版は上の音から弾くことをそれぞれ推奨しています。
ここは普通に上から弾き始めて、24、26小節それぞれ1拍目のタイに繋げるのが良いと思います。左手はちょっと大変ですが‥
この曲の最大の難所はおそらく26小節右手。右手のトリルとモルデントが左手とズレやすいのです。
バラバラになるとかなり目立つ箇所なので、ゆっくりじっくり練習してうまく合わせましょうd( ̄  ̄)
コーダ(27〜32小節)
右手に主題が再現され、偽終止ののち完全終止で終わり。13小節に対応していますが左手にはモルデントが入ります。
ところでハンナ社版だとなぜか31小節でディクレシェンドしてmfで終わるべしとの表示が。
ココでわざわざエネルギーを減らす必要ないんじゃあ‥?最後まで勢いよく突っ走りたいような気分なので動画ではそのようにしています(笑)
5冊とも終止線にフェルマータ。音が消えた後の余韻を楽しましょう。
インヴェンション第10番 まとめ【J.S.バッハ】
バッハインヴェンション第10番の概要と演奏のポイント、おすすめの弾き方を、パートごとに分けて具体的にお伝えしました。
インヴェンションの演奏の仕方については、実際のところ多くの先生方のおっしゃっていることが一致していません。
弾き方も解釈の仕方も諸説あり過ぎて、正直どうすれば良いのか途方に暮れる人も多いのが現状。
従って本記事でご案内したことは、読む人によっては必ずしも正しいとは感じられないかもしれません。
「私が習ったことと違う」「ココはむしろこう弾くべきなのでは?」「主題だけでなくこっちも大切なのでは?」など、色々なご意見があることでしょう。
本記事では、一般的なピアノ学習者の方々を念頭に、インヴェンションを演奏する際に弾きやすいテンポや装飾音の入れ方などをご案内する ことに留意。
少しでもわかりやすいと感じられるよう、特に大切と思われることだけに的を絞ってご案内することにしました。
本記事によって、少しでも多くの方がバッハのインヴェンション に親しむことができたなら、とても嬉しいです。
インヴェンション第1番、4番、8番の弾き方は?こちらからどうぞ↓
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