インヴェンション第3番の演奏のポイントは?おすすめの弾き方と版による違いを解説【J.S.バッハ】
「インヴェンション」第3番(J.S.バッハ作曲)の演奏のコツやおすすめの弾き方について解説します。
この記事でわかることは以下の通り。
- インヴェンション第3番の概要
- 演奏のポイント
- おすすめの弾き方
- 版による微妙な違い
一般的なピアノ学習者にとって無理のないテンポと弾き方、装飾音の入れ方などは、プロのピアニストの演奏とは違うハズ。
本記事の内容を、インヴェンションを学ぶ際のひとつの提案ととらえていただければ幸いです。
【J.S.バッハ】インヴェンションとは?難しい理由|必ず弾くべきor弾かなくて良い?その判定方法
目次
インヴェンション第3番とは【J.S.バッハ】
概要
- 曲名:インヴェンション第3番 BWV 774(Inventio 3)
- 拍子:3/8
- 小節数:59小節
- 調性の変化:ニ長調→イ長調→ロ短調→イ長調→ニ長調
インヴェンション第3番は、軽快な舞曲のリズムで書かれています。明るく意気揚々と、ニ長調らしく華やかに演奏しましょう。
装飾音符の数は多いですが、しっかりと拍と数を連動させて弾きたいものです。
インヴェンションの練習順序についてのおすすめはこちらの記事からどうぞ↓
2声のインヴェンション 曲ごとの難易度は?全曲の練習順序と取り組み方のコツ
演奏のポイント
数多くの装飾音で彩られた舞曲風の作品なので、明るくクリアな音色が合うでしょう。
主題が始まるポイントをしっかりと意識して弾きたいもの。装飾音符は基本的に全て演奏します。
ちょうどチェンバロで弾いているかのようなイメージを持つと良さそう。
またこの曲は「ヘミオラ」の練習にもなります。各カデンツをよく練習して調性の変化を感じ取りましょう♪( ´▽`)
市田版の推奨テンポは8分音符=135/1分間となっています。
実際にこれ以上速いテンポだとバタバタして舞曲らしい優雅さが出にくいはず。もう少しだけゆっくりめでも大丈夫です。
楽譜
インヴェンションの楽譜は各社から出ていますが、当ブログでは全音楽譜出版社の市田義一郎氏解説のものをおすすめしています。
インヴェンンションのおすすめ楽譜についての記事はこちら↓
バッハ インヴェンションの楽譜はどれがおすすめ?5冊を厳選!特徴と選び方を解説/一般学習者向け
また比較対象として以下の版を参考にしています。
うちハンナ社「バッハインヴェンション 分析と演奏の手引き」は楽譜に直接装飾音やフレージングが書かれており、こちらもわかりやすくおすすめです。
- バッハインヴェンション 分析と演奏の手引き(ハンナ社)
- バッハ・インヴェンションとシンフォニア(カワイ出版)
- バッハ インヴェンションとシンフォニア 高木幸三校訂・解説(全音楽譜出版社)
- J.S.バッハ:2声のインヴェンション(ヘンレ版)
インヴェンション第3番の弾き方【J.S.バッハ】
第1提示部(1〜11小節)
この曲にはバッハ自身の手によるスラーが、1小節に1本ずつ律儀に書き込まれています(ハンナ社版は違いますが)。
ココは作曲者の指示に従って、素直に拍の頭に軽いアクセントを置くのが良さそう。軽快な舞曲らしい雰囲気になります。
3、4小節右手の装飾音は各社微妙な違いが。
動画はハンナ社版、高木版に倣いました。市田版はちと弾きにくいと感じます。
またカワイ出版は4小節目のトリルを上から弾くように指示。この方が演奏は容易になりますのでそれもアリです。
5、6と7、8小節は同じですので当然強弱の変化が必要。
10〜11小節はイ長調に転調するヘミオラでしっかりと終止感を出します。
11小節2拍目のトリルは付いている版とない版が。市田版は[ ]にて提案。華やかになりますのでぜひ入れましょう。
第2提示部(12〜23小節)
12小節、市田版、ハンナ社版、ヘンレ版は1拍目ウラからのフレーズの始まりをはっきりと指示しています。
14、16、18小節も同じように演奏。
ロ短調に転調し、ヘミオラで終止します。
23小節、市田版では1拍目にターンを[ ]にて追加していますので動画はその指示に従って弾いています。
第3提示部(24〜42小節)
原曲の26-27小節右手、28-29小節左手、30-31小節右手のタイ音には装飾音の指示がありません。
ですがやはり様式上は必要であり、補うのが通常の解釈。その場合は上隣接音から32分音符で弾きます。
ただし、トリルに気をとられて流れが止まったりバランスを失うようであればあえてカットするのもアリと各版の先生型はおっしゃっています。
トリルを無くすことによって表現に幅が出るならそれも良しとの解釈ですねl。
36-37小節、イ長調に着地するヘミオラ。市田版にはその記載がありませんが、ココは他の版の解釈に倣いました♪(´ε` )
39、40小節の右手に現れるターンは、1拍分に4音ずつ上から下の音に引っ掛けるように弾きます。
第4提示部/コーダ(43〜59小節)
正確には43〜53小節までが第4提示部。54〜最後まではCoda(コーダ)になります。
市田版46小節目2拍目には、あまり見かけないカッコ型のような装飾音の指示が。
ヘンレ版含む他社では全て4小節2拍目と同じ装飾音としているのでそれに倣いました。
52-53小節はヘミオラかつニ長調の偽終止。
54小越からのコーダは徐々にテンポ落として終わりを印象付けるのが適当です。
58小節2拍目の[ ]で補充されたトリルは、最後に相応しく数を増やすなどしてOKです。
フェルマータは十分伸ばして堂々と締めくくりましょう。
インヴェンション第3番まとめ【J.S.バッハ】
バッハインヴェンション第3番の概要と演奏のポイント、おすすめの弾き方を、パートごとに分けて具体的にお伝えしました。
インヴェンションの演奏の仕方については、実際のところ多くの先生方のおっしゃっていることが一致していません。
弾き方も解釈の仕方も諸説あり過ぎて、正直どうすれば良いのか途方に暮れる人も多いのが現状。
従って本記事でご案内したことは、読む人によっては必ずしも正しいとは感じられないかもしれません。
「私が習ったことと違う」「ココはむしろこう弾くべきなのでは?」「主題だけでなくこっちも大切なのでは?」など、色々なご意見があることでしょう。
本記事では、一般的なピアノ学習者の方々を念頭に、インヴェンションを演奏する際に弾きやすいテンポや装飾音の入れ方などをご案内する ことに留意。
少しでもわかりやすいと感じられるよう、特に大切と思われることだけに的を絞ってご案内することにしました。
本記事によって、少しでも多くの方がバッハのインヴェンション に親しむことができたなら、とても嬉しいです。
インヴェンション第1番、4番、8番、10番の弾き方は?こちらからどうぞ↓
【J.S.バッハ】インヴェンション第1番の演奏のコツは?おすすめの弾き方を解説|版ごとの比較も
インヴェンション第4番の演奏のポイントは?おすすめの弾き方について解説【J.S.バッハ】
インヴェンション第8番の弾き方は?演奏のポイントと版による微妙な違いを解説【J.S.バッハ】
インヴェンション第10番の演奏のポイントは?おすすめの弾き方と版による違いを解説【J.S.バッハ】
ピアノの先生マッチングサービスが利用できるようになりました!
簡単な質問に答えると、AIがあなたにぴったりのピアノの先生を5人ほどマッチングしてくれます。↓
ご相談までは無料なので、気軽に入力してみると楽しいですよ!(^○^)