ピアノを弾く時の適切な手の位置とは?
こんにちは、福耳です。
お読み頂いてありがとうございます。
ここでは、初心者の方から経験者の方にも共通する重要事項である「鍵盤上の手の位置」について書いていきます。
「適切な鍵盤上の手の位置」とは、ピアノを弾く時、最もスムーズに演奏できる鍵盤上のポジションだとお考え下さい。
目次
「最適解」を探すのは難しい
この「鍵盤のどこに指を置けばスムーズにピアノを弾くことができるか」は、実に悩ましい問題です。
これについては万人に共通する最適解を探すのはなかなか大変です。
手の形については俗に「卵をつかんだ時の形」が良いとされますが、弾く時に手鍵盤上のどの位置に置くかは、
・年齢や性別、手の大きさ、体格、骨格、筋肉の発達が一人一人違う
・曲の難易度によっても変わってくる
ために、「すべての学習者にとっての正しい位置」というものが存在しないからです。
特に子供の場合は個人差が大きく、例えば同じ7歳の子供の手であっても驚くほど違います。
大柄で手の大きい子、背が高いのにやたら指が細い子、小柄で手が小さい子、ぽっちゃり体型で指も太めな子など、子供の数だけの様々な体格と手の大きさとの組み合わせが存在します。
また、体の成長が先行して手先の器用さは後からついてくるタイプの子や、逆のケースもありますし、男の子と女の子ではやはり骨格に違いがあります。
まして、子供の生徒さんの場合は日々成長していきますので、毎週同じコンディションということはまずありません。
年末年始のお休みを挟んで、久しぶりにレッスンに来たのを見ると急に身体が大きくなっていて、イス高さの設定から姿勢まで変わっていることはしょっちゅうです。
大人の方なら変化がないかといえばそうでもありません。
練習に波があるケースが多いため、あまりピアノに触れなかった時にはおっかなびっくりな弾き方になっていて、もう一度「脱力」から始めることもあります。
このように、人は同一人物であってもその日その日でコンディションが変わるのが普通であり、毎回レッスンのたびに指の位置についてチェックする必要があるものです。
それでは、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
初心者や慣れていない人に共通する間違った弾き方
というわけで、ここでは逆に、すべての学習者に共通する 「正しくないポジション」 をお伝えします。
それは、「人差し指・中指・薬指(②、③、④指)の3本の指が『白鍵の手前のあたり』を打鍵する」ポジションです。
おわかりでしょうか。
長い指が白鍵の手前側(体に近い側)に位置するということは、短い親指と小指(①、⑤)は鍵盤に乗り切らず中に浮いているということになります。
このような位置で弾こうとすると、親指と小指を使う際には極端に手首を回さないと鍵盤に乗らないままだったり、長い指の第一関節が外側に曲がったりといった不具合が起こります。
すると手首が下に下がって余分な力が入り、指の指紋の部分で弾こうとしたりしてますます正しい打鍵からは遠ざかってしまいます。
また、手首が下がらないケースであっても、①、⑤指を使うたびに手全体が鍵盤上でムダな前後運動を繰り返し、テンポが出なかったり音が荒れたりします。
いささか残念なこの形になってしまうのは、初心者の方でどうしても力が入りすぎてしまう時期によく起こります。
また、かなり弾ける方でもたまに見られます。
引っ越しなどで他の教室から移って来られる生徒さんの中には、指がすごい勢いで動いていて上手なのですが、手の位置が今ひとつなため余分な動きが多く、指の動きをコントロールしきれず雑音が混じる方がいます。
せっかくよく指が動いても、演奏全体の印象が雑に感じられてもったいないことです。
かなり難しい曲を弾く段階でこのような形で弾く曲がついてしまうと、なかなか直りにくくやっかいですので、ぜひ初歩の段階からできるだけ適切な位置で弾くことを心がけて頂ければと思います。
鍵盤の両はしを弾く時は
もう一つ注意すべきことは、鍵盤の両はしを弾く時に起こります。
通常のピアノや電子ピアノは88枚の鍵盤を10本の指で操って音を出していくわけですが、人間の身体の構造上、特に鍵盤の両はしの部分、すなわち最高音部と最低音部の鍵盤を弾く時、どうしても指が鍵盤の向きに対して斜めに入っていく形になりがちです。
鍵盤は縦に並んでいて、それと平行になるように指を置く必要があるのですが、特に小さいお子さんにはこれが難しいのです。
腕が短いために体の正面から手を鍵盤に置くことができないためで、どうしても斜め向きに弾くことになります。
良いパフォーマンスが得にくいため、私はあまり小さいお子さんには鍵盤のはしを使う曲は出さないことにしています。
それでも発表会などの時はあえて聞き映えの効果を狙ってそんな曲にチャレンジすることもあるでしょう。
その時は、足を使って体重移動をコントロールします。
足がまだ床に届かないお子さんに足台が必要なのはこのような理由によるものです。
この体重移動については、また別の機会に詳しく書きたいと思っています。
無理のない演奏のためには指を適切な場所に落とせるように、手の位置を工夫しなければならないことがお分かり頂けたのではないでしょうか。
ピアノの鍵盤は狭いようで案外広いです。
繰り返し練習して、それぞれにとって最適な位置を探してみて下さい。
お読み頂いてありがとうございます。