「ショパン ピアノ遺作集/全音楽譜出版社」は初級者にもおすすめ|発表会のレパートリーに!
「ショパン ピアノ遺作集」(全音楽譜出版社)をご紹介します。
「ショパン ピアノ遺作集」は、文字通りショパンの遺作(死後出版された作品)だけを集めた珍しい作品集。
作曲家が出版を望まなかったこれらの遺作品の中にはショパンらしい哀愁や繊細な美しさにあふれたものも多く、知られざるショパン作品の魅力を伝えています。
「ショパン ピアノ遺作集」には、初級レベルから使えるような平易な作品も含まれており、発表会などのレパートリーに最適。
講師演奏などにもおすすめです。
初級レベルから挑戦できるやさしいショパン作品についての記事はこちら↓
初級〜中級レベルで弾けるやさしいショパン作品一覧|「初めてのショパン」におすすめ!
目次
「ショパン ピアノ遺作集」とは
概要
ショパン ピアノ遺作集 (全音ピアノライブラリー) [ 関 孝弘 ]
「ショパン ピアノ遺作集」の概要は以下の通り。
世界中で愛され親しまれているショパンのピアノ曲ですが、死後発見・出版された遺作にはあまり知られていない作品も存在します。
特に20世紀に入ってから発見された作品の数は意外に多いもの。
この「ショパン ピアノ遺作集」に納められた曲の多くは1900年に入ってから発見されました。
聴き慣れない曲も多いですが、紛れもなくショパンによる作品群です。
- 楽譜タイトル:ショパン ピアノ遺作集
- 出版社:全音楽譜出版社
- 発行日:1998年8月初版発行
- 校閲:関孝弘
- 曲数:31曲
- 総ページ数:103頁
- 定価:1980円
特徴
「ショパン ピアノ遺作集」は、以下のような特徴を持っています。
- 難易度:初級後半〜中上級以上
- ショパン作品のうち遺作だけを集めた楽譜
- 20世紀に入ってから発見された作品が2/3を占める
- 詳しい解説と資料としての価値
- 異稿(ヴァリアント)の記載が豊富
難易度の幅は広く、初級の後半から中上級レベル以上。上級に近いものまで含まれます。
楽譜タイトルの通り、ショパン作品のうち遺作だけを収録した楽譜で、全33曲中20世紀に入ってから発見された作品が2/3を占めるという珍しい曲集です。
全ての曲が関孝弘氏による詳しい解説付き。
それぞれの作曲年、出版年と出版社、曲の来歴や献呈された人物名、発見された場所、曲の構成までが記録され、知られざるショパン作品の資料となっています。
知られているようにショパン作品には出版社により多くの異稿(ヴァリアント・楽譜の下などに小さく書かれた弾き方のバリエーション)があります。
ことに遺作では自筆譜が失われていることが多く、写譜されたものもひとつひとつ微妙に違うなど長年研究者の悩みの種になってきました。
ショパン本人が色々悩んで発表したのちに書き換えたもの、弟子に教える時に楽譜に書き加えたものも含めると異稿はさらに膨大なものに。
この「遺作集」ではそれらの問題を解決するための方策として、様々な出版社の音や装飾音符の入れ方などの採用状況を克明に記しています。
楽譜に書いてあることをそのまま弾くのも良いし、好みによっては他の版の解釈を取り入れるも良し。
演奏者が自由に判断することができるのが本書の最大の特徴といえるでしょう。
こんな人におすすめ
- 初級〜中上級者
- 初めてショパン作品に挑戦する人
- 知られていないショパン作品を弾いてみたい人
- 発表会曲を探す人
「ショパン ピアノ遺作集」は、初めてショパン作品に挑戦する人におすすめです。
一番易しい曲は初級後半レベルからいけます。
初中級くらいの実力があればより楽しめるでしょう。また中級レベルなら弾ける曲が多いと感じること請け合いです。
まだあまり知られていない作品がほとんどで、ショパンを弾いてみたいけれど有名な曲はちょっと自信が‥などと思う人にもおすすめ。
遺作とはいえショパン様の作品なので、多くの曲は演奏効果が高く優雅あるいは華やか。発表会などイベントで活躍しそうです。
‥ただし!
この曲集、なかには学習者にとってかなり難しいものや、やたらと弾きにくいものも含まれる模様‥なにせ作曲家として初心者だった頃の作品が多いからです。
あまりに難しい曲に頑張って挑戦するくらいなら、普通に作品番号の付いたショパン作品を練習する方が合理的かもしれません。σ(^_^;)
「ショパン ピアノ遺作集」曲目と難易度一覧
以下、「ショパン ピアノ遺作集」全31曲をご紹介します。
リンクはYouTubeへ。私が演奏しています。✳︎の付いた曲は別記事で解説しました↓
初級〜中級レベルで弾けるやさしいショパン作品一覧|「初めてのショパン」におすすめ!
なお、この曲集はの曲順は必ずしも難易度順ではありません。よって、ざっくりとした難易度の目安を添えました。
また、私の独断による学習者へのおすすめ曲は曲順を赤い数字で表しました。
当ブログの、曲の難易度の設定方法を説明する記事はこちら↓
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
曲順 | 題名/原語タイトルyぱん | 難易度 |
1 | パガニーニの思い出/Souvenir de Paganini | 中上級〜上級 |
ショパン19歳の作品。パガニーニの有名な主題が華麗に変奏されていきます。難しいです。 | ||
2 | アレグレット&マズール/Allegretto & Masur | 初中級 |
作曲年不明。1975年にショパンの作品と発表されました。完全なオリジナルではなくポーランド民謡のメロディから採られています。 | ||
3 | ✳︎カンタービレ/Cantabile | 初中級〜中級 |
4 | ✳︎春/Wiosna[Printemps] | 初級C |
5 | 2つのブーレ/Deux Bourrées | 初級 |
1846年の作曲とされます。2曲とも正直あまりショパンらしいとはいえない、ごくシンプルな作品。 | ||
6 | ✳︎ワルツ イ短調/Valse | 初中級C〜中級 |
7 | ワルツ 変ホ長調/Valse | 中上級 |
8 | ワルツ 変イ長調/Valse | 中上級 |
上の2曲はショパン17歳の作品。作曲のお勉強中という感じ。 | ||
9 | ワルツ ホ長調/Valse | 中上級 |
ワルシャワ音楽院を卒業する年の作品。ショパンらしい魅力が感じられる、素敵なワルツ。 | ||
10 | ヘクサメロン変奏曲/Hexameron Variation | 中上級 |
慈善演奏会用にとショパンはじめリスト、ツェルニーなど6人の人気作曲家が変奏曲を合作した際の作品。左手が弾きにくい。 | ||
11 | ラールゴ/Largo | 初中級〜中級 |
12 | ✳︎ソステヌート,<ワルツ?>/Sostenuto[Valse?] | 中級 |
13 | マズルカ 変ロ長調[ヴォロフスカ]/Mazurka [for A.Wolowska] | 初中級〜中級 |
22歳時の作品。友人のヴォロフスカ夫人のアルバムから発見。有名なマズルカOp.7-1を思わせる軽快な曲。 | ||
14 | マズルカ 変イ長調[シマノフスカ]/Mazurka [for M.Szymanowska] | 中級 |
24歳の作品。ポーランドの女性ピアニスト、M.シマノフスカのアルバムに記されていたとのこと。 | ||
15 | マズルカ ニ長調/Mazurka | 初中級〜中級 |
ショパン10歳の時の作品とされています。 | ||
16 | アレグレット 嬰ヘ長調/Allegretto | 中級 |
作曲年不明。マズルカのリズムで描かれていますがマズルカとは題されていません。偽作を主張する学者もいるとか。 | ||
17 | ✳︎コントルダンス 変ト長調/Contredanse | 中級C |
18 | フーガ イ短調/Fuga | − |
31〜32歳。ショパンが作曲した唯一のフーガ。以後フーガは書かれていないところを見るとお気に召さない出来だった模様( ´ ▽ ` ) | ||
19 | 葬送行進曲 ハ短調(a,b,c)/Marche funèbre | 中上級 |
17歳。後のソナタ第2番の葬送行進曲の先駆けとなった作品。妹エミリアの死が影響していると思われます。 | ||
20 | モデラート[アルバムの一葉]/Moderato[Feuille d’album] | 中級 |
33歳。失われたアルバムに記されていたので「アルバムの一葉」と呼ばれます。静かで美しい、大人の曲。 | ||
21 | ✳︎ポロネーズ ト短調/Polonaise | 初中級B |
22 | ポロネーズ 変ロ長調/Polonaise | 初中級〜中級 |
上のト短調とともに、7歳(!)時の作品です。 | ||
23 | ポロネーズ 変イ長調/Polonaise | 中上級 |
11歳。最初の教師となったジヴニーに献呈されました。明るく流麗な作品で、かつそれほど難しくはないかも。 | ||
24 | ポロネーズ 嬰ト短調/Polonaise | 中上級〜上級 |
12歳。こちらは華麗にして難しいです。というか、12歳でコレを作曲したショパン様はやはりケタ外れの天才です。 | ||
25 | 別れのポロネーズ 変ロ短調/Polonaise “Adieu” | 中上級〜上級 |
16歳。ワルシャワ音楽院に入学した年です。親友のために作曲した作品。 | ||
26 | ポロネーズ 変ト長調/Polonaise | 上級 |
19歳、ウィーンに出発する直前に書かれたと伝わります。長くてかなり難しいです。 | ||
27 | 前奏曲 変イ長調/Prélude | 中上級〜上級 |
24歳。リストの友人のピアニストに献呈されました。確かに難しく、弾きにくい‥(;´д`) | ||
28 | ノクターン ハ短調/Nocturne | 中上級 |
27歳ごろ。ノクターン の習作という感じ。それでも11連譜、14連譜などショパンらしさがたっぷりです。 | ||
29 | ✳︎ノクターン 嬰ハ短調/Nocturne Lento con gran espressione|初稿譜 | 中上級A |
30 | ✳︎ギャロップ・マルキ/Galop Marquis | 初級B〜C |
以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓
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「ショパン ピアノ遺作集」まとめ
「ショパン ピアノ遺作集」(全音楽譜出版社)についてお伝えしました。
ショパン作品の数は、実はあまり多くありません。
短命だったせいもありますがそれだけでなく完璧主義で、作品番号を付けた曲も何度も推敲してから世に送り出していました。
そして自身の眼鏡に叶わなかった作品に関しては、死後焼き捨てるよう親友に遺言を残したほど。まあその約束は守られず、あの「幻想即興曲」などの名曲も遺作として世に出ているわけなのですが‥。
この「ショパン遺作集」に収められた作品はどれもそれほど有名ではなく、20世紀になってから発見されたものが中心。
まだほとんど知られていない作品、ショパンが子どもから大人に向かう時期の作品が多く、彼の成長過程を垣間見ることができます。
なかで比較的易しい「春」や「ギャロップ・マルキ」、マズルカなどは、初級から初中級くらいの学習者にも手の届く難易度。
ぜひショパンの音楽世界の入り口をのぞいてみて頂きたいと思います。
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