初級〜中級レベルで弾ける易しいショパン作品一覧|「初めてのショパン」におすすめ!
「ピアノの詩人」ショパン。
ピアノを学ぶ人にとって、ショパンはいつだって憧れです。
いつかはショパンの曲が弾けるようになりたいと願いつつ、そこに至るまでのハードルの高さを超えられず挫折する人も‥(涙)
それほどにショパンの作品は難しく、高嶺の花と感じる人は多いもの。あなたもその一人なのではありませんか?
しかし!そうと決めつけるのは早過ぎます。よくよく探せばあるのですねこれが。
そう、初級レベルの学習者でも手の届く、「易しいショパン」といえる曲たちは確かに存在するのです。
あまり知られているばかりとは言えないけれど、どれもショパンらしい魅力にあふれた作品ばかり。
この記事を読めば、あなたの「初めてのショパン」にぴったりの曲がきっと見つかるはず。ご期待下さい!(^○^)
目次
「易しいショパン作品」選定の条件
易しいショパン作品について解説する上で、以下の条件で作品を選びました。
- オリジナル作品
- 遺作を含む
- ショパンらしさ
オリジナル作品
本記事で扱っているのは、全てショパン本人がピアノのために作曲したオリジナル作品のみです。
例えば「別れの曲」などの有名曲を、初心者でも弾けるように編曲したものは含みません。
遺作を含む
「遺作」とは、作曲者の死後出版された作品のこと。
ショパンは遺言として、自らが作品番号を付けた作品(Op.65「チェロ・ソナタ」まで)以外は焼却してほしいと言い残していました。
そのため、これらの遺作の一部はショパンの意思に背いて発表されたとして、あえて楽譜に収められずにいたという経緯を持つものも。
本記事ではそれらの遺作もれっきとしたショパン作品としてご紹介しています。
ショパンらしさ
本記事でご紹介した作品のうち7曲は「ショパン ピアノ遺作集(全音楽譜出版社・関孝弘氏解説)」から採りました。
この楽譜には他にもいくつか「知られざるショパン 」の易しい作品が収められていますが、管理人の独断により「ショパンらしい」と感じた作品のみ取り上げることとしました。
「ショパン ピアノ遺作集」は解説が詳しく、おすすめです。
易しいショパン作品一覧
初級者でも手の届く「易しいショパン」の曲一覧は以下の通り。
ショパンのピアノ作品約250曲のうち、初級〜中級レベルまでの作品の一部を難易度順にご紹介します。
- ギャロップ・マルキ
- 春 Op.74-2
- 24の前奏曲 Op.28-7
- ポロネーズ ト短調
- 24の前奏曲 Op.28-4
- ワルツ イ短調
- カンタービレ
- ソステヌート
- マズルカ Op.68-3
- コントルダンス 変ト長調
結果、「前奏曲 Op.28」の2曲以外は遺作が並ぶこととなりました。
ショパンの生涯をまとめた記事はこちら↓
ショパンとはどんな作曲家?プロフィールと年表まとめ|ピアノの詩人の生涯とは
易しいショパン作品の解説
以下、各曲を簡単に紹介・解説します。比較的難易度の低い曲から高いと思われる曲の順番に並んでいます。
作品の日本語のタイトルとともに原題と難易度、可能な限り作曲年を記載しました。
なおピアノ曲の難易度は、テンポの設定や弾き方、演奏者の体格や手の大きさによってかなり違ってきますので注意が必要です。
ピアノ曲の難易度を解説した記事↓
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
ギャロップ・マルキ
- 作品名:ギャロップ・マルキ(Galop Marquis)
- 作曲年:1846
- 難易度:初級B〜C
- 収録:ショパン ピアノ遺作集(全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分10秒
現存するショパンの作品中、最も演奏難易度が低いと思われる曲のひとつ。
「ギャロップ」とはもともと馬の駆け足のことであり、音楽用語としては二拍子系の舞曲を指します。
「マルキ」とはショパンの恋人兼保護者でもあったジョルジュ・サンドという女性の愛犬の名前。
このほか彼女はディブという犬も飼っており、この曲はそのワンちゃんたちに捧げられています♪( ´▽`)
♭が4つ付く変イ長調(途中変ニ長調に転調)であるということ以外は極めてシンプルで他愛ないこの作品、初心者のお子さんでもそれほど苦労なく弾くことができるでしょう。
ただ左手がギャロップらしく跳躍するので、その点だけ手の小さい子は大変に感じるかもしれません。
春 Op.74-2
- 作品名:春 Op.74-2(Wiosna [Printemps] Op.74-2)
- 作曲年:1838
- 難易度:初級C
- 収録:ショパン ピアノ遺作集、やさしい四期の名曲集②(全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分10秒
ショパンは生涯に17のポーランド語の歌曲を作曲しています(Op.74)。
「春」はそのうちのひとつで、ショパン自身がこれをピアノ曲に編曲したものが比較的有名になり、現代まで伝わっています。
シンプルな8分の6拍子の伴奏の上に、ト短調の寂寥感あふれるメロディが切々と歌われるこの曲は、ショパンらしい繊細な情緒たっぷり。
原曲の歌詞は、ポーランドの春の美しさを歌いながらも内なる孤独と向き合う内容。
演奏上も左手⑤指で音を抑えながらから淡々と伴奏を弾かなければならないため、小さな子どもより大人の初心者におすすめ。
「ショパン遺作集」のほか、「やさしい四期の名曲集②」にも収められています。
前奏曲 Op.28-7
- 作品名:24の前奏曲 Op.28-7(24 Préludes Op.28-7)
- 作曲年:1838-1839
- 難易度:初中級A
- 収録:各社
- 演奏時間:約1分
ショパンの「24の前奏曲7番」と聞いてピンとこなくても、耳にすればおそらく知らない日本人は少ないのでは。
それくらい有名になった、いわゆる「太田胃酸」の曲です(^○^)
他ブログ様でよく「誰でも弾ける」とか「バイエルでOK」などと紹介されていますが、どうしてどうして。
ショパンらしい左手の跳躍あり、右手3度や6度の重音移動あり、オクターブ奏必須で一度に押さえる音数も多く、ペダル操作も必要なので耳で聴くほどには簡単ではありません。
やはりさすがは気難しいショパン様ご本人が納得し、作品番号を付けて世に送り出した作品。一筋縄ではいかないのです。
全曲続けて演奏されることを前提として書かれた「24の前奏曲」の中で、間奏曲的にすっきりと弾かれるべきこの曲、ヨタヨタ弾いては胃がもたれそう。
ブルグミュラーくらいは弾ける力をつけてから挑戦するのがおすすめです。
ショパンプレリュード パデレフスキ版↓
ナショナル・エディション エキエル版↓
ポロネーズト短調
- 作品名:ポロネーズ ト短調(Polonaise)
- 作曲年:1817
- 難易度:初中級B
- 収録:ショパンピアノ遺作集、ピアノのためのロマン期名曲集 上巻(全音楽譜出版社)他
- 演奏時間:約2分
ショパン7歳の時の作品。17歳ではなく7歳です、念のため。
すでにポロネーズの何たるかを彼は完全に理解していたようで、わずか7歳で作曲したショパンのケタ外れな天才ぶりが窺えます。
ポロネーズについての説明はこちらの記事からどうぞ↓
ポーランドはショパンのふるさと|どんな国?特徴と歴史・日本との関係をピアノ講師目線で解説!
「ポーランドのモーツァルト」の異名はダテではないのですね。
ショパン初期の作品の中でも堂々としてきらびやかな宮廷舞踊の要素たっぷりなこの曲、初中級〜中級者の発表会曲にぴったり。
派手に聴こえる割に実はそれほど難しくはないので、かなりお得な曲と申せましょう(^○^)
「遺作集」のほか、「ロマン期名曲集」にも収められています。
前奏曲 Op.28-4
- 作品名:24の前奏曲 Op.28-4(24 Préludes Op.28-4)
- 作曲年:1838-1839
- 難易度:初中級C
- 収録:各社
- 演奏時間:約2分
24の前奏曲からもう一曲。
明るく穏やかな7番とはうって変わって、陰鬱で内省的な、まさにショパン作品の真髄といった感じの作品です。
右手の簡素なメロディを支える左手の和音は、複雑な進行を繰り返しながら精神の深みへと近づいていくようで、いやが上にも心が揺さぶられます。
技術的にはとても平易。
細かい指の運びが必要な「ポロネーズト短調」の方が華やかに聴こえますが、この曲の魅力はテクニカルな面にはありません。
ショパンの孤独な魂にどこまで寄り添えるかが問われています。
ワルツイ短調
- 作品名:ワルツ イ短調(Valse)
- 作曲年:1843?
- 難易度:初中級C
- 収録:ショパン ピアノ遺作集(全音楽譜出版社)、ショパン ワルツ集 遺作付(音楽之友社)他
- 演奏時間:約2分40秒
ショパンのワルツの中では最も弾きやすい作品。
何しろイ短調で、ショパン作品には珍しく調号がありません。それだけでも何か親しみが湧いてくる気がしませんか?♪( ´▽`)
とはいえ左手の跳躍や憂愁に満ちたメロディ、繊細な装飾音符など、ショパンらしい要素がたっぷり。
途中イ長調に転調するところなども、ほのかな希望など感じさせて演奏者のショパン心をくすぐります。
初中級者のための「初めてのショパン」曲としておすすめです。
カンタービレ
- 作品名::カンタービレ(Cantabile)
- 作曲年:1834
- 難易度:初中級C〜中級A
- 収録:ショパン ピアノ遺作集、パデレフスキ編 ショパン全集XVIII 小品集(ヤマハミュージックメディア)
- 演奏時間:約1分
カンタービレ(Cantabile)とは「歌うように」との意味。曲の冒頭にそのように記されているのがタイトルの由来です。
自筆譜は失われてしまっており、どんな状況や事情で作曲されたかは全く不明です。
わずか14小節という短さですが、叙情的で甘いメロディ、長いフレーズ、左手の和音の進行など、ショパン作品らしい魅力に満ちた曲。
短いので取り組みやすいはずです。ブルグミュラーやソナチネに飽きてきた初中級〜中級者のモチベーションアップにおすすめ♪( ´▽`)
「ショパンピアノ遺作集」のほかパデレフスキ版「小品集」、全音楽譜出版社「やさしい四期の名曲集下巻」にも収録されています。↓
ソステヌート
- 作品名:ソステヌート,<ワルツ?> 変ホ長調(Sostenuto[Valse?])
- 作曲年:1840
- 難易度:中級B
- 収録:ショパン ピアノ遺作集(全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分50秒
3拍子のワルツの形式を持った曲ですが、実際にワルツの意図を持って書かれたかどうかは不明。
曲の冒頭に「ソステヌート(Sostenuto・音を保持して抑えた速度で)」と指示があるだけです。
ただ弾いてみればワルツであることは自明。しっとりと穏やかでありながら、ショパンらしい音の響きが印象的です。
中間部、左手でメロディを担当する箇所は、どこかワルツOp.34-2のイ短調のワルツを思い起こさせます。
変ホ長調のどこか物悲しい明るさ、「叙情的」「瞑想的」などの言葉の似合う、大人のワルツと申せましょう。
マズルカOp.68-3
- 作品名:マズルカ ヘ長調 Op.68-3(Mazurka F-dur Op68-3)
- 作曲年:1827または1830
- 難易度:中級B
- 収録:先生が選んだピアノ発表会名曲集④(YAMAHA)、パデレフスキ編ショパン全集X マズルカ(ヤマハミュージックメディア)、他
- 演奏時間:約1分40秒
ショパンのマズルカの中では易しく弾きやすい作品。マズルカについての説明はこちらからどうぞ↓
マズルカとはどんな舞曲?特徴とワルツとの違い|ショパンにとってマズルカの意味とは?
ポーランドはショパンのふるさと|どんな国?特徴と歴史・日本との関係をピアノ講師目線で解説!
遺作ですが、しっかりとマズルカのリズムが表現されています。ワルツとの違いをしっかり出して演奏したいもの。
重なった音はズレたりブレたりすることなくしっかりリズムを刻みましょう。
ヘ長調の素朴さと、ショパン作品らしいオシャレ感が同時に表現できたら素敵ですね。
先生が選んだピアノ発表会名曲集④にも収録されています。
コントルダンス 変ト長調
- 作品名:コントルダンス 変ト長調(Contredanse)
- 作曲年:1827?
- 難易度:中級C
- 収録:ショパン ピアノ遺作集(全音楽譜出版社)、パデレフスキ編 ショパン全集XVIII 小品集(ヤマハミュージックメディア)
- 演奏時間:約2分
コントルダンスとは英語の「カントリーダンス」をフランス語風に発音したもの。もともと「田園舞曲」と訳されていました。
要は「田舎の踊り」。とはいえイギリスの宮廷舞曲として流行し、フランスにも広まりました。
18世紀には男女が組になって踊る社交ダンスの一種として人気となり、大いに踊られたようです。
さてショパン唯一のコントルダンス、♭6つの変ト長調。しかも途中から♭7つ付く変ハ長調にσ(^_^;)。あんまり見かけませんよね。
実際のところ技術的にそれほど難しくはないのですが、譜読みが少々大変かもしれません。
それでも甘い旋律やどこまでも優雅な曲調などが極めて魅力的で、弾いた人はみな大好きになること請け合い。
柔らかな陽射しを浴びながら楽しげに踊る人々の姿が見えてくるかのような、牧歌的な明るさを持つショパン作品です。
以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓
まとめ
ピアノ初級者〜中級レベルまでの学習者でも取り組める、易しいショパン作品についてお伝えしました。
とかく難しいイメージのあるショパンのピアノ曲。
でもここに挙げた作品のように、高速パッセージや複雑な指運びの必要のない、平易な曲も探せばあるのです。
そして、易しいとはいえ、どれもショパンらしい独創性やインスピレーションにあふれた作品ばかり。
初級〜中級の学習者であるあなたも、ぜひショパンの持つエッセンスを味わって頂きたいと思います!
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