ポーランドはショパンのふるさと|どんな国?特徴と歴史・日本との関係をピアノ講師目線で解説!

ポーランドは「ピアノの詩人」ショパンの生まれた国。

初めてショパンの曲を弾くことになったあなたは、「ポーランド」という国のことは知っていますか?

‥そんなにくわしくは知りませんよね。

でもショパンを上手に弾きたいと願うなら、ぜひポーランドのことを知っていた方が良いと思います。

ポーランドはショパンのふるさとであり、彼が心から愛した祖国だからです。

 

この記事を読めば、あなたは少しだけポーランドにくわしくなることができるに違いありません。

ぜひ、あなたがショパンの曲を弾くための参考にして下さいね。

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ポーランドはこんな国

基本情報

正式な名称 ポーランド共和国
首都 ワルシャワ
言語 ポーランド語
宗教 カトリック
大統領 アンジェイ・ドゥダ
面積 312.2万㎢(日本の約4/5)
通貨 ズウォティ(1ズウォティ=約30円・2023年1月)
国歌 「ドンブロフスキのマズルカ」
盛んなスポーツ サッカー

 

ポーランドは、バルト海に面した東ヨーロッパの国

西はドイツ、東はウクライナとベラルーシ、北東はロシアの飛地と接しています

EU(ヨーロッパ連合)の一員ですが、通貨はユーロではなく「ズウォティ」です。

 

ポーランドは大統領と首相のいる共和制の国で、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国

ポーランド語はアルファベットを使いますし、宗教はキリスト教のカトリック。東欧よりも西欧の文化圏に属しています。

国歌がマズルカ!なのはさすがショパンを生んだ国。

おもな産業は製造業で、食品・飲料、自動車、電子機器、金属製品などを輸出しています。

外務省/ポーランド共和国基礎データ

地理

ポーランドの湖

「ポーランド」とは「平原の国」という意味。その名の通り、国土のほとんどが「北ヨーロッパ平野」に属する広大な平原です

南部の一部だけが山岳地帯で、深い森が多く、ヘラジカやバイソンなどの大型野生動物の住みかになっています。

 

また湖の多い国で、国内に9,300もの湖があります。

湿原も多く、最も大きな「ヴィエブジャ大湿原」は、日本の釧路湿原の10倍以上の面積があります。

これらの湿原にはたくさんの水鳥が住んでいて、特に多いのがコウノトリ。

なんと全世界のコウノトリの1/4がポーランド国内で繁殖するのだそうです。

気候

バルト海に面した北西部は「温帯気候」でわりと温暖。

南の山岳地帯に近づくほどに寒くなり、冬場には河川が凍る「亜寒帯気候」となります。

 

一年を通して降水量は少なめ。日本のようにまとまった雨が降り続くことは少なく、あまり傘を持ち歩く習慣がないそうな。

緯度が高いので夏はなかなか陽が沈まず、夏至のころは21時近くまで明るいのも特徴。

北ヨーロッパらしい、湿度の少ないさわやかな気候といえそうです。

有名人

ショパン以外のポーランドの有名人にはどんな人々がいるでしょうか?

ポーランドの有名人
  • ニコラウス・コペルニクス(地動説を唱えた天文学者)
  • マリ・キュリー夫人(ノーベル物理学賞・科学賞受賞者)
  • ヨハネ・パウロ2世(第264代ローマ法皇)
  • レフ・ワレサ(政治家・元大統領)
  • ロマン・ポランスキー(映画監督・『戦場のピアニスト』他)

 

上記の超有名人のほか、スポーツ分野にも著名人が多くいます。

女子テニス選手で元世界ランキング2位のアグニエシュカ・ラドワンスカ氏、サッカー選手のロベルト・レヴァンドフスキ選手、男子柔道アトランタオリンピック金メダリストのパウエル・ナツラ氏などが有名です。

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ポーランドの音楽

ショパンの像

ポロネーズとマズルカ

ポロネーズとマズルカは、両方ともにポーランドに古くから伝わる民族舞踊。以下のような特徴があります。

ポロネーズ
  • フランス語で「ポーランド風」の意味
  • 3/4拍子・貴族的で優雅な雰囲気
  • もともとは貴族の行進曲としての位置づけ
  • ヨーロッパ各国の宮廷に取り入れられ、上流階級の人々が舞踏会などで踊るように

 

マズルカ
  • ポーランド貴族の間で流行し、庶民にも行き渡った舞曲
  • ポーランド民謡の歌が付き、バグパイプの伴奏などで踊られた
  • テンポの速い3拍子で2拍めまたは3拍めにアクセントが置かれる
  • ワルツよりも野性味があり、即興的な踊り

 

ショパンは、これら二つの民族舞踊に芸術的な要素を与え、クラシックの名曲として確立させました。

もしもショパンがいなかったなら、ポロネーズもマズルカも「遠い国の知らない舞曲」のままだったかもしれません。

ショパンの有名曲トップ10とその解説記事はこちらからどうぞ↓

ショパンの有名ピアノ曲作品10選|曲の難易度と背景/特徴・演奏上の注意点を年代順に解説!

ポーランドの音楽家

ポーランドの有名な音楽家をあげてみましょう。

  • フレデリック・フランソワ ・ショパン(19世紀の音楽家・「ピアノの詩人」)
  • テクラ・バダジェフスカ(『乙女の祈り』作曲者)
  • イグナツィ・パデレフスキ(ポーランド共和国首相・ピアニスト・作曲家)
  • カロル・シマノフスキ(作曲家)
  • アルトゥール・ルビンシュタイン(ピアニスト)

 

あなたも知っている「乙女の祈り」は、バダジェフスカがなんと17歳の時の作品。

アルペジオ(分散和音)が主体の印象的なメロディがだんだんと装飾的に、きらびやかに変奏されていく作品で、初心者の憧れの曲となっています。

 

ルビンシュタイン(1887〜1982)は、ポーランドが生んだ20世紀の代表的なピアニストの1人。

特にショパンの作品の演奏では、当時最も優れていると評されていました。

かくいう私、福耳も、このルビンシュタインの演奏によるショパンを「レコード(CD以前の音楽媒体)」でよく聴きました。

当時「ショパンといえばルビンシュタイン」とまで言われていたものです。懐かしいなあ‥(´∀`*)

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ポーランドの歴史

ポーランド国旗

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、戦争が始まりました。

ポーランドはウクライナからの避難民を世界で最も多く受け入れ、大きな役割を果たしています。

ポーランドは、歴史的にロシアとは敵対関係にあり、反ロシア感情がとても強いのです。

ポーランドの歴史をざ〜っと簡単におさらいしてみました。

966年 ピアスト王朝の成立(建国)
1025年 ポーランド王国に(国境の確定)
1386年 ヤギェウォ王朝の成立(黄金期)
1569年 ポーランド=リトアニア共和国の誕生
18世紀 戦争や内戦によって国力が衰退
1772年 第一次ポーランド分割
1795年 第三次ポーランド分割によりポーランド国家消滅(ロシア帝国に支配される)
1807年 ナポレオンによりワルシャワ公国建国
1815年 ポーランド立憲王国成立(ロシア皇帝がポーランド国王を兼務)
1830年-1831年 「11月蜂起」・鎮圧
1918年 第一次世界大戦終結、独立回復
1939年 ナチス・ドイツとソ連軍によるポーランド侵攻によりポーランド分割(ナチスによる支配)
1945年 第二次世界大戦終結、ポーランド人民共和国に(ソ連による支配)
1980年 独立自主管理労組「連帯」結成
1989年 民主化の実現
1999年 NATO(北大西洋条約機構)加盟
2004年 EU(欧州連合)加盟

 

ポーランドの歴史はとても複雑。

とてもここで全てお伝えすることはできませんが、ピアノ講師目線で見ると重要なのは太字の部分です。

 

1795年、ポーランドはロシア帝国、プロイセン王国、オーストリアの三強国によって分割され、地図上から完全に消えてしまいました。

ショパンが生まれた1810年には「ポーランド」という国は存在していなかったことになります。

「ショパンはポーランドの作曲家」と思っている人には、ちょっとビックリですよね。

 

さらに1830年、ショパンが20歳の時に「11月蜂起」(ロシアからの独立を求めての反乱)が起こりました。

翌年には鎮圧され、ワルシャワは陥落。

その報を聞いたショパンは絶望し、練習曲Op.10-No.12「革命」が作曲されたと伝わっています。

ポーランドの人々

ワルシャワ市街

気質

ポーランドの人々には、強い愛国心があります

何度も国土を分割されたり、侵略され圧政に苦しんだりしているので、「自分たちの国を守りたい」という気持ちがとても強いのです。

ショパンも例外ではありません。

長くフランスという外国に暮らし、引越しを繰り返す彼ですが、故郷であるポーランド(この時はポーランド立憲王国)のことをかた時も忘れることはありませんでした。

 

ショパンに限らずポーランドの人々は心に熱い情熱を秘めていて、強国に侵略され支配されていても決してあきらめないのです。

不利な立場であっても何度でも戦いを挑み、国が破壊されても抵抗し続け、ついに1918年に独立を回復。

さらに1989年に民主化を成し遂げ、自由を勝ち取りました。

その情熱には圧倒されるものがあります。

 

そのほかのポーランド人の特徴は、マジメで働き者が多く教育水準が高いこと。

またIT教育にも熱心で、2014年に開かれた「国際コーディング大会」ではポーランドのチームが優勝しました。

日本との関係

ポーランドは、ヨーロッパのなかでも群を抜いた親日国。ちゃんと理由があります。

  • 日露戦争で敵国ロシアを撃破
  • ロシア軍の一員として戦ったポーランド軍人を手厚く待遇
  • 1920年代初頭、日本政府と日本赤十字社がポーランド孤児を受け入れ、ポーランドまで送り届ける
  • リトアニア領事杉原千畝(すぎはら・ちうね)氏による「命のビザ」発給により、ユダヤ系ポーランド人が日本経由で第三国に脱出成功

 

これらの理由によるものか日本語学習の歴史は長く、1919年にワルシャワ大学に日本語学科が開かれ、現在でも高い人気を保っているのだとか。

また、映画監督のアンジェイ・ワイダ氏は、クラクフに「日本美術・技術博物館」、通称『マンガセンター』を開設。

ここでは浮世絵を含む日本の文化財のコレクションを数多く公開しています。

 

さらに、治安がよく親日感情が高いため「トヨタ自動車」「ブリヂストン」「味の素」などの大手企業をはじめとする約300社以上がすでに進出。

日本人会と日本大使館、ポーランド商工会の主宰による「日本祭り」が開かれるなど、草の根レベルでの交流が盛んになっているようです。

まとめ

ワルシャワ旧市街

  • ポーランドは東ヨーロッパの国で、EUとNATOの加盟国
  • 西はドイツと、東はウクライナやベラルーシと国境を接している
  • 国土の大部分は平原で湖が多く、豊かな自然に恵まれている
  • ショパン以外にも多くの有名人がいる
  • 何度も強国に侵略され、分割されて国土を失ったり圧政に苦しんだりという悲しい歴史を持つ
  • 強い愛国心とともに反ロシア感情を持っている
  • 親日国で、日本との関係は深い

 

ショパンのふるさとであるポーランド。

愛国的で、強国の支配に負けない強い心を持った国だということがわかりました。

親日国というのもうれしいですね。

日本のアニメも人気で、日本語を学ぶ人が多いのはそのせいだという説もあります。

 

ポーランドについて、知れば知るほど興味がわいてきますよね。

コロナがおさまってまた海外旅行に行けるようになったら、ぜひ訪ねてみたいと思いませんか?

それまでは、新しく勉強することになったショパンの曲を、じっくり味わってみてくださいね。

この記事が、少しでもあなたのお役に立てばうれしいです。

 

この記事は以下のページを参考にしました↓

外務省/わかる!国際情勢vol.22ポーランド

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