ピアノの月謝の金額に込められた深いワケ
前記事の続きです。
ピアノの先生と、保護者の方々の感覚のズレは、お互いのコミュニケーションにより埋められると考えています。
ただ、ピアノ教室の月謝、レッスン料は実に様々です。
適正価格が存在しないとさえいえます。
ピアノの先生の選び方・良い先生と上達の遅れる先生の見極め方とは?
なぜ、こんなにも差があるのでしょうか。
目次
月謝の金額についてお互いに納得するために
前記事「ピアノを習うために避けては通れないお月謝(レッスン料)の話 ①」 では、ピアノを教える先生方と生徒さんの間にはかなり大きな感覚のズレがあるけれど、それを埋めるためには双方のコミュニケーションが欠かせないとお話しました。
記事に登場したお母さんも、お子さんが最初のレッスンを受ける前に先生から説明を受けて、納得されて入会されているはずなのです。
なのになぜ、このような残念な有様になってしまったのでしょうか。
いくつか考えられます。
・他の習い事と比べてみて我に返った
・他にもう少し低額なピアノ教室を見つけた
・お月謝が値上げされ、当初考えていた金額より高くなった
・レッスンシステムの問題。(年齢が上がったり、テキストが進むと金額が上がるシステム)
最初の項目は、前の記事で説明がつきますね。感覚のズレの問題です。
他を一つ一つ考えてみます。
まず、他にもう少し低額なピアノ教室を見つけた
について。
これは、よくあるケースです。
単純に「ピアノを習う」ことだけにフォーカスするなら、お安い方がいいと感じるのは自然なことです。
ただ、単純に金額だけ比べて結論を出すのはお勧めできません。
なんであれ、高額なもの・低額なものにはそれなりの理由があります。
ピアノの月謝 最高価格・最低価格はどれくらい?
Yahoo!知恵袋や「発言小町」には、ピアノの月謝に関するトピックがよく立ちます。
私も身につまされながらよく読みます。
中で、これはピアノ教室としては最低価格ではないかと感じたのは、
・30分レッスン ・1回500円×月4回=2000円/月 ・年間45〜46回
というケースです。1レッスン1コインですね。
地域にもよるとはいえ、ピアノレッスンとしてはほとんどボランティアレベルの金額です。
また最高額は文字通り青天井です。
全国的なコンクールのジャッジや、有名な音楽大学の教授などの偉い先生方につながる人脈をお持ちの先生では、
1レッスン(月謝ではありません)が10000円以上なのは普通のことです。
ちなみに、私が昔、音大時代に友人から聞いた話では、「自分の先生は1レッスン30000円〜50000円」(!)と言っていた人がいました。
ただ、これはコンクールや音大受験などの受験生の話であって、一般的な例とは言えません。
通常の習い事としてのピアノのお月謝は、千代田区や港区など都内の一等地だとやはりお高く、30分レッスン×月4回=13000円あたりの金額で教えていらっしゃる先生方のHPが散見できます。
この辺りが上限と結論づけるには資料不足ですが、一定の傾向となり得るのではないでしょうか。
月謝が高額になる要因は、
・先生の社会的地位が高い
・お教室が都心部の一等地にある
この2つがあげられると考えられます。
極端に月謝がお安いケースは注意が必要
逆に、極端にお月謝がお安いのにはどういった要因が考えられるでしょうか。
考えられるのは、
・ご自身も勉強中の学生さん
・前項にあるように、ボランティアとの立場を先生ご自身が望んでいる
この2つはありそうです。
私も学生時代から、頼まれて近所のお子さんを教えていました。
生徒さん第1号で、慣れていませんので当然多くは頂けませんでしたが、今でも懐かしく思い出されます。
また、ピアノに限らず、ボランティアで囲碁や将棋、スポーツなどを教えてくださる方々は様々なジャンルでいらっしゃいます。
ピアノでも、そういった善意のボランティアの方がいらしても不思議はありません。
さて、ここから先は少し注意が必要なケースを。
それは、
① 先生が海外に留学する直前に低額で教えるケース
これは実際にありました。
同じ音大出身で同学年の人が、当時私が住んでいた場所の比較的近くで
「1回60分×月4回で5000円/月」 という破格の金額で、銀行などに生徒さん募集の張り紙を出していたのです。
何年も前とはいえ、横浜市内ではかなりお安い金額。
これは困ったことになったと思っていたところ、ほどなくしてその先生は海外に留学されてしまいました。
張り紙を見つけてからわずか10ヶ月ばかり後のことです。
集まっていたであろう生徒さんたちは、先生が留学を予定されていたことをご存知だったのでしょうか。
今となっては知るすべもありませんが、正直、すっきりしない印象を持った出来事でした。
②ピアノ以外の楽器を専攻して音大を卒業された方がピアノを教えているケース
こちらはかなりよくあるケースです。
音楽大学には当然ピアノ以外の楽器、例えばヴァイオリンやチェロなどの弦楽器や、オーボエ、トランペットなどの管楽器、あるいは声楽科など、様々な楽器を専攻する学生さんがいます。
こういった方々が、卒業後、ピアノの先生に早変わりして教えていることがたまにあります。
なぜこんなことが可能かというと、多くの音楽大学にはピアノ課以外の学生さんに副科としてピアノの実技を履修させる制度があり、人によってはかなり上手な方もいるからです。
そのこと自体が問題というわけではありません。
お月謝が低廉で、人柄が良ければ生徒さんは集まると思いますし、ちょっと変わった視点のレッスンなど楽しいかもしれません。
ただ、ピアノ科のご出身でないことを生徒さんに説明されている先生方ばかりではありません。
ヴァイオリンや声楽を専攻されて〇〇音大を卒業された方々は、それぞれの楽器の演奏においては音大が実力を保証していますが、ピアノにおいてはその限りではありません。
もしも、入会を検討されているお教室のお月謝が、お住いの地域の標準駅な金額と比べて特に低いと感じる場合は、先生のご出身の専攻楽器を確認されることをお勧めします。
もちろん、生徒さん側がその点をご納得の上で入会されるなら問題とはなりません。
いかがでしょうか。
ピアノ教室のお月謝の金額は、様々な事情があって決定されているということがお分かりになったと思います。
次回は、生徒さんが負担に感じやすいお月謝のシステム上の問題について取り上げて参ります。
お読み頂きましてありがとうございます。
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