ピアノは姿勢が悪いと上手くならない!正しい座り方・身体の使い方6つのコツ
あなたはピアノを弾く時、自分の姿勢について意識されていますか?
そして、誰かから「演奏時の姿勢が悪い」と言われたことはありますか?
特にステージでは真横から見られることが多いため、自分で思っているよりも姿勢の良し悪しは目立ちます。
多くの場合、ピアノ上級者ほど美しい姿勢で演奏していることが多いです(例外はあります)。
逆に、姿勢がよろしくないと音に伸びがなく固い感じの演奏になってしまいます。
スポーツであれダンスであれ、高い技量の持ち主はたいてい正しい姿勢でプレイやパフォーマンスをしているもの。
ピアノも例外ではありません。
今日は以前の記事で触れた「姿勢」について詳しくお話しして参ります。
ピアノの姿勢についての参考記事↓
目次
ピアノを弾く時、姿勢が悪いと何が困るのか
そもそも、「ピアノを弾く時の姿勢が悪い」とはどのような状態のことをいうのでしょうか。
・背中が丸まっている(猫背)
・体が傾いている
・首が前に出ている
・肩が上がっている
・座る位置が前すぎる、または後ろすぎる
・椅子が高すぎる、または低すぎる
‥ざっとこんなところでしょうか。
これらの正しくない姿勢のまま練習していても、努力に反して楽器が上手く反応してくれません。
フニャフニャした頼りない音、または平板で硬い音しか得られない結果になる可能性が高いです。
なぜなら、ピアノを弾く時の姿勢と座り方
でお伝えした通り、ピアノは演奏者が鍵盤を「打鍵する」→ハンマーが弦を「打つ」ことで音を発する打楽器の一種だから。
演奏者の体も楽器の一部なのです。
さらに、これらの間違った姿勢による一番の困りごとは、何と言っても体の不調につながりかねないことでしょう。
ピアノの鍵盤を打鍵するためにはかなり強い力が必要です。
曲が難しくなってくると、1秒という短い時間の間にもたくさんの音を出す必要があり、腕や肩に負担がかかります。
上に挙げたような姿勢のままで弾いていると、肩こりや腰痛などが高い確率で起こってきます。
ただでさえPCやスマホのために首や肩に負担がかかっているのに、ピアノのためにそれらがさらに悪化する原因になってしまっては残念。
長くピアノを楽しむためには、何としても正しい姿勢を身につけていく必要があるのです。
ピアノを演奏する時の「正しい姿勢」とは
まずはピアノを演奏する際の正しい姿勢についておさらいしてみましょう。
椅子の位置と高さ
まず椅子をピアノに向かって中央に置き、座ってみます。
中央とは、アコースティックピアノなら鍵穴のある場所。
鍵穴がなければ、88鍵の鍵盤の横幅123㎝の真ん中、鍵盤の端から61.5㎝の場所になります。
中央「ド」からやや右にずれた「ミ」と「ファ」の間あたりがちょうど真ん中です。
ここにおヘソが来るように座るのが正解。
「ド」の前ですと少々左寄りになります。
(ただ、小さいお子さんの初心者の場合は中央ドの前に座った方が良い場合もあります。)
高さは、肘から手の甲までがほぼ床と平行になるように調節します。
いすにすわって、下腕を水平に曲げた肘の下の線が、白鍵の上面と同じ高さになるように。
(Miyoshiピアノ・メソード1より)
高すぎると音が浮きやすく、低すぎると鍵盤にぶら下がるような形になって力がうまく伝わりません。
お子さんの場合は身長の伸びに伴って徐々に椅子の高さを下げていく必要があるのは言うまでもありません。
腰掛ける位置
演奏者の体格や技量によって若干変わってきます。
①年齢の低い初心者‥‥足台を使うので、不安定にならないようにやや深めに腰掛けます。ももまでしっかりと座面に乗っているイメージ。
②補助ペダル付き足台を使う、小柄な初中級者‥‥補助ペダルはかなり重いので、深く座ると上手く踏めません。初心者よりやや浅めに腰掛けます。
③足台もダンパーペダルも使わない大柄な子どもや大人の初心者‥‥椅子の座面の半分くらいを使って腰掛けるイメージ
④ダンパーペダルを使う中上級者‥‥鍵盤の端から端まで使うため、骨盤の動きを妨げないようにかなり浅く腰掛けます。
これくらいのレベルになりますと、好みにもよりますが、私は座面の3分の1くらいしか使っていません。
ピアノから体までの距離
上記のように腰掛けて腕を鍵盤に乗せた時、肘が体の真横より少し前にくるような位置に椅子をセットします。
この時、肘の角度は90度より広く、100度を超えないようにセットすると適切な位置になります。
ピアノと体との距離が近すぎると肘の動きが妨げられますし、鍵盤の端まで目が行き届きません。
遠すぎると、体重がうまく腕に乗らず腰に負担がかかります。
骨盤を立てて背筋を伸ばす(重要)
背中が丸まった、いわゆる猫背になる方は多いです。
特に低学年のお子さんは、まだ骨が柔らかく筋肉も発達していないため、どうしてもぐにゃりと曲がった姿勢になりがちです。
これは自分ではわかりにくいため、保護者の方や先生が気付くたびに指摘してあげる必要があります。
目安は、背面の腰よりやや上の、ちょうど骨盤から背骨のあたり。
ここは、自然なS字カーブを描くのが理想です。
背中が丸まっている生徒さんの中には、骨盤が後ろに倒れて背骨まで丸くなる、極端に言うと「C」の字に近くなっている方がいます。
この姿勢は美しくないだけでなく首が前に出て顎が上がり、内臓が圧迫されて何1つ良いことがありません。
気がつくたびに注意してあげれば必ず改善していきます。
逆に、反り腰といってS字カーブがきつくなりすぎる方もいます。
これは骨盤が前に倒れるのが原因で、大人の方に多い印象です。
あっという間に腰痛の原因になりますので気をつけましょう。
いずれも、「骨盤を床から見て垂直に立てる」ことを意識すると改善しやすいです。
肩を上げない
人は緊張すると、どうしても肩に力が入ってしまうようです。
特に楽器はおしなべて腕を使って演奏するので、肩に力が入ることの弊害は大きいと言わざるを得ません。
ピアノの場合は疲れて長い時間練習できない、肩こりがひどくなる、などの症状が起こってきます。
ただ「肩」に関しては、比較的自分で意識しやすいのではないでしょうか。
ピアノの前に向かったら、とりあえず
「深呼吸して肩の力を抜く」ことを心がけてみて下さい。
足はかかとが床に着くように(重要)
ピアノを弾く時は、必ず足の裏全部が床にしっかりとついている必要があります。
これは、演奏者の技術や年齢には関係ありません。
足の届かないお子さんには必ず足台を使わなければなりません。
この部分をおろそかにされる先生は、ご自身が姿勢の大切さ、体重のコントロールの重要性をわかっていらっしゃらない可能性があります。
をご参考になさって下さい。
足台は、ペダル付きのものはそれなりに高価ですが、ペダルのないものならば10000円前後で買えます。
楽器を買う時に、ぜひ一緒に購入されることをお勧めします。
また、上級者になるほど、手だけでなく足も複雑に動くようになっていきます。
右足でダンパーペダルを踏み、左足は弱音ペダルを踏む。
両手で高音部を弾く時は上体が右に寄るため左足でバランスを取り、両手とも低音部を弾く時は左足で体重を支えます。
その間、多くの場合右足はダンパーペダルを複雑に踏み替え続けます。
ピアノ演奏における足の役割の大切さがおわかりいただけたのではないでしょうか。
ピアノ演奏時の姿勢で「特に」気をつけるべきこと3つ
「‥姿勢だけでもずいぶんと色々ありますねえ。大変だなあ。なかなかそこまで神経まわりませんよ」
そうですよね〜。
指を動かすのがやっとの初心者の方がこれら全てに気を配りながら練習するのは至難の業。
私見ですが、優先度の高いものから並べてみます。
1、骨盤を垂直に立てる
2、足裏がしっかり床につく
3、ピアノから体までの距離
の順でしょうか。
先生の方針によっては多少変わってくるかもしれませんが、まずはこの順序で気を配ってみて下さい。
椅子の高さや腰掛ける位置などは、一人一人の骨格や筋肉の状態、体格にも左右されるので、あまりにも標準から外れていなければ最初のうちは大丈夫かなと思います。
ピアノは、上達するのに時間のかかる楽器です。
テキストを早く進めたり難しい曲に挑戦するのも意義のあることですが、姿勢が良くないとせっかくの努力が空回りしてしまいます。
そして、上達すればするほどに姿勢の良し悪しが関係してきます。
ぜひ、ピアノを習い始めたその日から、姿勢に気をつけて練習されることをお勧めします。
そして、師事されている先生にも正しい姿勢で弾けているかどうか常に確認してみて下さい。
心ある指導者ほど、姿勢には妥協せずきちんと教えて下さるはずです。
そして、すでに中級以上の技量を持ちながら姿勢について悩んでいる方は、
「まずは骨盤を床と垂直に立てる」ことだけを意識してみて下さい。
すぐには変わらないかもしれませんが、少しずつ改善していくはずです。
あなたが快適で楽しい鍵盤の旅を続けるために、「姿勢」について意識しすぎることはないのです。
お読み頂いてありがとうございます。
(この記事は2019年公開の記事に加筆・修正を加えたものです)
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