ハロウィンにおすすめのピアノ曲10選|不気味で怖いミステリアスな雰囲気の曲を難易度順に解説!
10月31日はハロウィンですね。
最近は日本でもハロウィンの習慣はすっかり定着し、各地でイベントが開かれているのはご存知の通り。
そして今、この時期に合わせてハロウィンパーティをするピアノ教室が増えているのです。
そこで、本記事ではハロウィンが近づく季節、9月〜10月にかけて行われるピアノ発表会やパーティーにぴったりの曲をご紹介することに。
入門レベルから中上級者クラスの演奏者までカバーした10曲をセレクトしました。
ハロウィン・ピアノパーティは、子どもたちばかりでなく大人のピアノ愛好者も楽しめるオシャレなイベント。
ぜひご活用下さいね!(^○^)
目次
「ハロウィンにおすすめのピアノ曲」選定の条件
ハロウィンはもともと、11月1日のキリスト教の聖人にお祈りを捧げる「万聖節」の前日に行われる、西洋世界のお祭り。
悪霊を追い払い、先祖の礼をお迎えするための大切な儀式の日です。少し日本のお盆に似ているとも言われますね。
このことを頭に入れた上で、以下の条件により「ハロウィンにおすすめのピアノ曲」を選定しました。
- ハロウィンにふさわしいタイトルを持つ
- 怖い雰囲気やミステリアスなイメージを掻き立てる作品
- クラシックのピアノソロ向けのオリジナル作品
ハロウィンらしいタイトル
ハロウィンにふさわしいピアノ曲のタイトルとは?以下の言葉が含まれていることが多いものです。
「おばけ」「魔法」「魔女」「骸骨」「ゆうれい」etc.。昨今では「鬼」も重要なワードですね。
まずはこれらの言葉を含む曲をピックアップしました。
怖い雰囲気やミステリアスなイメージ
また、タイトルに直接これらの言葉が含まれていなくても、不気味で怖い雰囲気を持つ曲は多いもの。
「怖さ」「恐怖」だけでなく、ミステリアスなイメージを掻き立てる作品もチョイスしました。
さらに「妖精」などこの世ならぬものの存在もまたハロウィンぽい。特に女の子には「妖精」のコスプレは人気ですね。
ピアノソロのためのオリジナル作品
ハロウィンといえばコスプレ。
なので、一般的に「ハロウィンにぴったりのピアノ曲」というと「ハリポタ」や「鬼滅の刃」など映画・アニメの主題歌などを編曲したものが中心となりがちです。
が、メジャーなアニメ曲などは他ブログ様にお任せし、本ブログではあくまでも「ソロピアノのためのオリジナル作品」にこだわりました。
気軽なパーティーだけでなく、格調高い舞台での発表会や演奏会にも耐えるような選曲を目指したつもりです。
ハロウィンにおすすめのピアノ曲 一覧
入門から中上級レベルまでをもカバーした「ハロウィンにおすすめのピアノ曲」一覧は以下の通りです。
- おばけの足あと(ギロック)
- おばけやしきロック(クレーエンビュール)
- 魔女のダンス(カープ)
- 荒れ果てた舞踏室(ギロック)
- 妖精の踊り(グリーグ)
- 骸骨達の陽気な行進(平吉毅州)
- 煙突の中のおばけOp.81-10(クラック )
- まぼろしの騎士(ギロック)
- 風の精Op.109-15(ブルグミュラー)
- 鬼火Op.51-2(マクダウェル)
結果、アメリカ勢が強いということに。
やはりハロウィンパーティーの盛んなお国柄ということでしょうか(^○^)
逆に邦人作曲家は平吉毅州のみ。おそらく、今までは日本にハロウィンが定着しきっていなかったためと考えられます。
ハロウィンにおすすめのピアノ曲 入門〜初級レベル
以下、比較的難易度の低い曲から高いと思われる曲の順に各曲を解説します。本項では入門〜初級レベルの作品をご紹介します。
作品の日本語のタイトルとともに可能な限り原題を記載。また作曲者の氏名、不明な場合をのぞき生年と没年を記載しました。
なおピアノ曲の難易度は、テンポの設定や弾き方、演奏者の体格や手の大きさによってかなり違ってきますので注意が必要です。
本ブログの「難易度」設定についての詳しい説明はこちらの記事に詳しいです↓
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
おばけの足あと
- 曲名:おばけの足あと(Spooky Footsteps)
- 作曲者:ギロック(W.Gillock, 1917-1993)
- 難易度:入門B
- 収録:はじめてのギロック(ACCENT ON SOLOS・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約50秒
原題の「spooky」とは「幽霊が出そうな」とか「薄気味悪い」という意味。直訳すれば「不気味な足あと」ということでしょうか。
曲冒頭の指示も「Slowly, mysteriously(ゆっくりと謎に包まれたように)」。
つまり曲のタイトルの意味は「何だかよく分からないけれど薄気味の悪い足あと」といったところ。
というわけで、この曲は元気よく弾くべきではありません。
ppで始まるものの強弱の振れ幅大きく、途中には悲鳴のような不協和音が‥(;´д`)
ゆっくりだけれど聴く人を怖がらせるように弾きましょう(^○^)
「はじめてのギロック」には、この曲のほか「ハロウィンの魔法使い」「真夜中のふくろう」などの「ハロウィンぽい曲」が収録されています。
「おばけ」の曲の演奏には、男の子にも女の子にも使えるこんなフードをかぶってみては?
おばけやしきロック
- 曲名:おばけやしきロック(Haunted House Rock)
- 作曲者:クレーエンビュール(D.Kraehenbuehl, 1923-1997)
- 難易度:初級A
- 収録:ピアノの広場1(SUPPLEMENTARY SOLOS1・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約50秒
「haunted」とは「取り憑かれた」とか「呪われた」「幽霊のよく出る」などの意味の形容詞です。
ディズニーランドのアトラクションに「ホーンテッド・マンション」というのがありましたが、あれはまさに「幽霊屋敷」。
「haunted house」も同じような意味ですが、この曲のタイトルには「ロック」が付きます。おばけやしきの中でロックのコンサートでも行われているのでしょうか‥。
「with spirit(活気をもって)」の指示が。ロックですのである程度のテンポの速さが必要です。
イ短調の冒頭、下降する左手は怪しげなムードたっぷり。スタッカートは鋭すぎないほうが合います。
途中、17小節目から突如響く強烈な不協和音が聴く人を驚かせます。幽霊がシャウトしているのでしょうかσ(^_^;)
最後はロックらしく不安定な和音で曲を閉じます。音が消えた後もたっぷりと余韻を取りましょう。
魔女のダンス
- 曲名:魔女のダンス(Witche’s Dance)
- 作曲者:カープ(D.Karp)
- 難易度:初級B
- 収録:ピアノ・スプラッシュ!1(SPLASH OF SOUNDS1・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約45秒
速度表示はPresto e misterioso(非常に速く、ミステリアスに)。2/2拍子の舞曲です。
テンポが速いので不気味さよりも活発さ、快活さを感じさせます。
17小節からのリズムがとてもオシャレ。魔女による奇妙なダンスを想像してみましょう。アクセントを見落とさないように!
フレーズとフレーズの間の四分休符が詰まった感じにならないように。
鍵盤を端から端まで使うため、難しくない割に聴き映えがします。ハロウィンの時期だけでなく、通常の発表会曲としてもおすすめ。
荒れ果てた舞踏室
- 曲名:荒れ果てた舞踏室(Deserted Ball Room)
- 作曲者:ギロック(W.Gillock, 1917-1993)
- 難易度:初級C
- 収録:叙情小曲集(LYRIC PRELUDES IN ROMANTIC STYLE・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分15秒
なんとも印象的な曲です。ギロック本人による「演奏への助言」があまりにも素晴らしいのでそのまま引用します。↓
‥成熟した女性が、今はうらぶれてしまったある部屋に一人で戻ってきているのを想像してください。そこは、かつて多くの人が集う華やかな舞踏室で、若くて美しい彼女はいつも魅力をふりまいていました。目の前にある現実と彼女の記憶にある幻影とが交差して、心は千々に乱れています。引き裂かれてくすんでしまったカーテンが、まるで幽霊でもすーっと出てくるように動いて、私達にはワルツを奏でるまぼろしのオーケストラのか細い音楽が聞こえてきます。‥
‥私が書きたかったことが全て書かれています(笑)。
廃墟となった舞踏室。左手のテーマは古びたチェロの音でしょうか。歌うように、すすり泣くように響きます。
ワルツのリズムも切れ切れで、今にも途絶えてしまいそう。最後は幻影が消え去っていくように音も消えていきます‥。
難しい曲ではありませんが、小さなお子さんよりも年齢を重ねた大人の方にふさわしい作品です。
ハロウィンにおすすめのピアノ曲 初中級レベル
妖精の踊り
- 曲名:妖精の踊り(Elverdans Op.12-4)
- 作曲者:グリーグ(E.Grieg, 1843-1907)
- 難易度:初中級B
- 収録:抒情小曲集 第1集(Lyriske smastykker No.1・音楽之友社)
- 演奏時間:約1分
北欧では、古くからの土着の信仰や伝説がまだ残っているといわれます。そして「妖精」の存在も伝承として人々の間で語り継がれてきました。
ノルウェー出身のグリーグは、民族音楽から大きな影響を受けた「国民学派」の作曲家として活躍。
特に愛する祖国の自然や文化を音楽で表すことに熱心で、「抒情小曲集」というピアノ作品はその代表的なものです。
「妖精の踊り」は、「抒情小曲集」の中で最も平易で弾きやすい作品。
非常にテンポが速く、軽やかに飛び回る妖精の様子が描かれています。
グリーグについて詳しく知りたい方はこちら↓
グリーグとはどんな作曲家?プロフィールと作品年表まとめ|ノルウェーの国民楽派の生涯とは
ピアノのためのロマン期名曲集、先生が選んだピアノ名曲120選 Iにも収録されています。
骸骨達の陽気な行進
- 曲名:骸骨達の陽気な行進
- 作曲者:平吉毅州(1936-1998)
- 難易度:初中級B
- 収録:南の風(カワイ出版)
- 演奏時間:約1分10秒
本項で選んだ10曲中、唯一の長調の曲。「骸骨」と「陽気な行進」というミスマッチな2つのワードが融合した魅力的な作品です。
カクカクとぎこちない動きで無言の行進をする、骸骨達の行列を思い浮かべて下さい。骨と骨がぶつかるような、無機的な音が聞こえてきませんか?(^○^;)
この曲はリズムが命。最初から最後まで正確なテンポで、しっかりと刻んでいきましょう。
ほとんど全ての音にスタッカートが付いていますが、四分音符に付いているものと八分音符のそれとはできれば区別したいところ。
最後の小節は、音と休符両方にフェルマータが付いています。
硬く澄んだ音色で骨ーん、違ったコツーンと響かせたのち「シーン」とした間を取ってみてはいかがでしょう。
煙突の中のおばけ
- 曲名:煙突の中のおばけOp.81-10(Das Gespenst im Kamin Op.81-10)
- 作曲者:クラック (T.Kullak, 1818-1882)
- 難易度:初中級B
- 収録:こどもの生活(KINDERLEBEN・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約2分
クラック は19世紀ヨーロッパの作曲家・ピアニスト。ポズナン大公国(現在のポーランド)で出生し、ドイツ帝国にて没しました。
チェルニーに師事してピアニストとして活動し、また作曲家として膨大な作品を残しました。リストから作品の献呈を受けています。
「煙突の中のおばけ」はとてもユーモラスな作品。煙突の中を行ったり来たりするおばけの様子が表現されています。
なぜかおばけ関係の曲に多いイ短調で始まりますが、途中ハ長調に転調し、舞曲風のさわやかな旋律が流れます。
幽霊と、煙突の家の主がダンスを踊ってでもいるのかな?
先生が選んだピアノ名曲120選にも収録されています。
まぼろしの騎士
- 曲名:まぼろしの騎士(Phantom Rider)
- 作曲者:ギロック(W.Gillock, 1917-1993)
- 難易度:初中級B
- 収録:叙情小曲集(LYRIC PRELUDES IN ROMANTIC STYLE・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約40秒
ギロックから3曲目。phantomとは「まぼろし」「幻影」「幽霊「などの名詞と「幻影の」という形容詞。
「Mysteriously; terrifying(神秘的に; ゾッとするような)とありますので、「荒れ果てた舞踏室」より幽霊み(笑)が強いと解釈できそうです。
この曲は2小節がひとつの単位となっています。
1小節目でmpからffまで分散和音で盛り上がり、2小節目で四分音符の和音を刻みます。
力強く、決して急がないように。これら2つのパッセージを対照的に弾くと効果的です。
フェルマータをたっぷり取ったあと、最後はペダル無しで低音から高音まで一気に駆け上がり、音は消えて幻の余韻だけが残ります。
寂しげな舞踏室とは違い、幽霊とはいえ「騎士の曲」ですのでやはり迫力があり、短いですが演奏効果はたっぷり。
幽霊となっても誰かを守り続ける、激しくも哀しい騎士の物語を語って下さいね。
ハロウィンにおすすめのピアノ曲 中級〜中上級レベル
風の精
- 曲名:風の精(Les Sylphes Op.109-15)
- 作曲者:ブルグミュラー(J.F.F. Burgmüller, 1806-1874)
- 難易度:中級B
- 収録:ブルグミュラー18の練習曲(18 Études de genre Op.109)
- 演奏時間:約1分35秒
「Les Sylphes(シルフ)」とは、神話に登場する風を司る精霊で、空気の要素を持ち目に見えない存在。そして姿を現す時には美しい少女の容姿をしているといわれます。
というわけでこの曲はひたすら軽やかに、優雅な舞曲として演奏するのがぴったり。
特徴的な右手の速い三連符は硬く澄んだ音で。シルフの羽のようにキラっキラっと高いところで光を反射します。
中間部の「cantabile(歌うように)」の部分は少しテンポを落としてたっぷり歌を歌いましょう。
時々巻き起こる、気まぐれなシルフの風との対比をはっきりと描き出すと綺麗です。
ハロウィンだけでなく、一般の発表会やパーティーにも映えるキラキラ感や華やかさを楽しんで下さい(^○^)
鬼火
- 曲名:鬼火(Will o’ the Wisp Op.51-2)
- 作曲者:マクダウェル(E.Macdowell, 1861-1908)
- 難易度:中上級A
- 収録:森のスケッチ(WOODLAND SKETCHES・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分30秒
マクダウェルは、ニューヨークに生まれてヨーロッパで研鑽を積み、帰国したのち音楽教師やピアニストとして活躍したアメリカを代表する作曲家の一人。
ドビュッシーと同時期にパリ音楽院で学んだせいか、作品には印象主義的な要素がみられます。
さて鬼火といえば日本のお墓に出るイメージですが、欧米でも沼地などに出現して旅人を道に迷わせたり底無し沼に導いたりする存在。
マクダウェルの「鬼火」は、いくつもの小さな炎がちろちろと明滅しながら跳び回る様子を描いた、怪しげな雰囲気たっぷりの幻想的な曲。
あちこちに「Senza rallentare(テンポを遅くしないで)」とわざわざ指示があります。最後まで高速で一気に駆け抜けましょう。
ハロウィンパーティーのラストを飾るにふさわしい、妖しくも繊細な炎たちの美しさを表現して下さい♪( ´▽`)
先生が選んだピアノ名曲120選 II にも収録されています。
以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓
まとめ
ハロウィンにぴったりの、ちょっとダークでミステリアス、ファンタジックなピアノ曲たちをご紹介しました。
ところで、こういった不気味なイメージのピアノ曲というのは、なかなか普段は演奏されないものではないでしょうか。
発表会などでも、通常は明るく華やかな雰囲気の作品が好まれる傾向にあり、暗くて恐ろしげな曲たちが日の目を見ることは少ないもの。
そこで9月〜10月の時期の発表会などでは、ハロウィンを意識したミステリアスな雰囲気の曲に積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
衣装もちょっとコスプレを意識するなどすれば目立つこと請け合いです。
どうぞ楽しいハロウィンを。Happy Halloween!♪( ´▽`)
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