ピアノ発表会で聴き映えのする曲とは?中級レベル|華やかで演奏効果の高い曲10選を解説
「ピアノ発表会という晴れの舞台では、できれば華やかで聴き映えのする曲を弾きたい!」
‥中級レベルに差し掛かったあなたとしては、このように発表会の曲選びにも力が入るのではないでしょうか。
ピアノ曲の中には、演奏効果が高く、実際のレベルより難しく聴こえる「聴き映えのする華やかな曲」というものがあります。
ショパンやリストの名曲を弾くにはあと一歩、かといって安全運転ばかりでも味気ない‥
そんなあなたのために、本記事では「中級レベルで弾ける華やかな聴き映え曲」を集めてみました。
ぜひご参考になさってみて下さい。
目次
「聴き映えがするピアノ曲」とは?
そもそもピアノ曲における「聴き映えのする曲」とは何でしょうか?管理人は以下の特徴を持つ曲と捉えています。
- 音数が多くボリューム感のある曲
- 演奏効果が高く華やか/派手な雰囲気の曲
- 実際のレベルより難しく聴こえる曲
聴き映え曲の第一の特徴は、シンプルに「鳴っている音の数が多いこと」。
一分間当たりに奏でられる音の数が多ければ多いほど人の耳にはボリューム感のある響きとなり、それはそのまま「聴き映えがする」印象となります。
ピアノ曲における「演奏効果の高さ」とは、上記の「音数」のほか、ある程度のテンポの速さも重要なファクター。
ゆっくりした曲よりは速い曲の方が、当然聴き映えしやすいです。
また「曲の終わり方」も大切。
静かに消え入るように終わるよりは盛り上がって終わった方が、演奏効果が高く華やかに聴こえるものです。
「聴き映えするピアノ曲」において最も重要な要素は「実際のレベルより難しく聴こえる」ことではないでしょうか。
考えてみれば、もともと高度な演奏テクニックを持つ人は何もあえて「聴き映え」などを狙う必要はありません。そのまま難しい曲を弾けばよろしいのです。
本記事の狙いはあくまでも「中級レベルでありながら難しく聴こえる華やかな曲を」をご紹介すること。
できれば「あの人/お子さん、すごい難しそうな曲弾いているわ〜」‥などのように見える・聴こえるのがベストといえましょう(^_^)v
【ピアノ発表会】聴き映えのする中級レベル曲選定の条件
ピアノ発表会における、「中級レベルで聴き映えのする華やかな曲」を選ぶにあたり、以下のような条件を設定しました。
- 難易度は「チェルニー30番」「ソナチネアルバム」などと同程度
- クラシックのピアノ曲
- 作曲者のオリジナル作品
当ブログでは、ピアノの中級レベルを「ソナチネアルバムと同等」と考えています。
管理人が考える、ピアノ曲における「難易度レベル」の定義についてはこちらの記事をご参照下さい。↓
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
本記事で取り上げるのはクラシックのピアノ曲のみ。ポップスやアニソン、映画音楽などの編曲作品はあえて除外しました。
なぜなら、それらの作品群はもともと「映えること」を狙って作曲されていることが多いもの。
人の耳に残りやすいわかりやすく美しいメロディや、キャッチーなフレーズが含まれているのはお約束。
それをそのまま弾くのは当然「映え」ますが、ピアノ講師である管理人としてはあえて時の流れに耐えうるクラシック作品に拘りました。
また、本記事で取り上げるのは作曲家本人がピアノのために作曲したオリジナル作品に限っています。
例えばショパンの「英雄ポロネーズ」などの有名曲を初中級者でも弾けるように改編した作品は含みません。
中級レベルのピアノ学習者であるあなたには、発表会というステージではぜひ本物に触れてほしいからです。
【ピアノ発表会】聴き映えのする曲 中級レベル10曲一覧
管理人が選出した、中級者がピアノ発表会で弾くのにおすすめの「聴き映えのする華やかな曲」一覧は以下の通りです。
あまたある曲から管理人が10曲を選び、比較的難易度の低いものから10曲並べてみました。
- エチュード・アレグロ(中田喜直)
- ポロネーズト短調(ショパン)
- ソナチネ(ギロック)
- 鬼あられ(湯山昭)
- タランテラ(ピエツォンカ)
- ルーマニア民俗舞曲(バルトーク)
- アルプスの夕映え(オースティン)
- ソナタK.545 第1楽章(モーツァルト)
- 夢(ドビュッシー)
- タランテラ(ヘラー)
【ピアノ発表会】聴き映えのする曲 中級レベルの解説
以下、各曲を簡単に紹介・解説します。比較的難易度の低い曲から高いと思われる曲の順番に並んでいます。
作品の日本語のタイトルとともに可能な限り原題を記載。また作曲者の氏名、不明な場合をのぞき生年と没年を記載しました。
なおピアノ曲の難易度は、テンポの設定や弾き方、演奏者の体格や手の大きさによってかなり違ってきますので注意が必要です。
エチュード・アレグロ
- 曲名:エチュード・アレグロ
- 作曲者:中田喜直(1923-2000)
- 難易度:初中級C〜中級A
- 収録:こどものピアノ曲(音楽之友社)
- 演奏時間:約2分40秒
「エチュード・アレグロ」は、その名の通りテンポの速い快活なエチュード。
中田喜直による日本の子どもたちのための作品集「こどものピアノ曲」に収録されています。
初版は昭和31年。ちなみに管理人の手元にある楽譜は昭和46年版で、価格は300円でした(笑)。
16分音符がずらっと並ぶ混雑した譜面ですが、ほとんどの音型がオクターブ内に収められているため見た目/聴いた印象より弾きやすいはず。
粒のそろった端正な音色で、リズムを崩さないように正確に弾くのがぴったり。
中間部で変イ長調に転調。ここが実にオシャレです。打って変わって『歌うように』穏やかに。ハ長調部分としっかり差をつけましょう。
テンポの変化の指示はないので遅くなりすぎない方が良いと思います。
コーダでは和音のトレモロで盛り上がった後、いったんpに。最後はグリッサンドでカッコよく決めましょう!
ポロネーズト短調
- 作品名:ポロネーズ ト短調(Polonaise g-moll)
- 作曲者:ショパン(F.F.Chopin,1810-1849)
- 難易度:初中級B
- 収録:ショパンピアノ遺作集、ピアノのためのロマン期名曲集 上巻(全音楽譜出版社)、他
- 演奏時間:約2分
ショパンの遺作のポロネーズのうち、かなり有名なものでショパン7歳の時の作品です。
「ポロネーズト短調」の解説記事はこちらからどうぞ↓
初級〜中級レベルで弾ける易しいショパン作品一覧|「初めてのショパン」におすすめ!
ところでポロネーズとは?こちらの記事がおすすめです。↓
ポーランドはショパンのふるさと|どんな国?特徴と歴史・日本との関係をピアノ講師目線で解説!
ソナチネ
- 曲名:ソナチネ(Sonatina)
- 作曲者:ギロック(W.Gillock, 1917-1993)
- 難易度:中級A
- 収録:こどものためのアルバム(ALBUM FOR CHILDREN)
- 演奏時間:約6分
ギロックによる、中級者のための新鮮かつ現代的なソナチネです。
オーケストラを思わせるような、多彩な音の響きが実に魅力的。管理人は勝手に「ギロック作品中五指に入る名曲」に認定しています(^_^)v
1、2、3楽章それぞれ映えますが、それぞれ全く違った雰囲気をまとっていて表現力の練習にもなります。
1楽章は流麗なスケールの響きが印象的。2楽章は舟歌を思わせる優雅さが特徴。どちらもソフトペダル必須です。
3楽章後半の盛り上がりは、まさに近現代のオーケストラ曲そのもの。終わり方も実にカッコ良い!
1楽章のみ単独で、または2・3楽章の組み合わせで弾くのもおすすめです。
鬼あられ
- 曲名:鬼あられ
- 作曲者:湯山昭(1932-)
- 難易度:中級B
- 収録:お菓子の世界
- 演奏時間:約1分20秒
湯山昭氏の「お菓子の世界」は、ピアノ指導者や学習者の間ではもはや知らない人は少ないでしょう。
魅力的な曲ばかりですが、うち管理人が「中級者が発表会で弾きたい聴き映え曲」ナンバーワンに認定するのが「鬼あられ」。
わずか見開き2ページのなかに様々な「映え」要素が詰め込まれており、長々と弾かなくても目立つこと請け合いです。
冒頭、2小節にわたる増4度の響きが強烈すぎσ(^_^;)ここでまず耳目を弾きます。
日本の笛や太鼓の音を思わせる音使いや打楽器のようなピアノの使い方など、どこかお祭りのような賑やかさも。
Scherzand(スケルツァンド・諧謔的に/おどけるように)の指示があるので乱暴にならないように、カラッとした雰囲気で。
最後はテンポを上げて、急速な和音の連打の後、鍵盤の一番下の音を含む強烈な不協和音でおしまい。
短いですが、ちょっとピリ辛の大人の鬼あられですね♪( ´▽`)
タランテラ
- 曲名:タランテラ(Tarantella)
- 作曲者:ピエツォンカ(A.Pieczonka, 1828-1912)
- 難易度:中級B
- 収録:ピアノコスモス2
- 演奏時間:約2分30秒
「タランテラ」とは、南イタリアの街タラントに由来すると言われるテンポの速い舞曲です。
タランチュラという毒蜘蛛に噛まれると狂ったように踊りだすためという説、あるいは毒を抜くために踊り続けなければならないという説もある模様です。
ピアノ曲業界はこの派手な舞曲が大好き。ブルグミュラーの他、ショパンやリストをはじめ多くの作曲家がタランテラを作曲しています。
本項の作曲者ピエツォンカについてはあまり参考資料が残っていませんが、比較的平易な割に上手に聴こえるタランテラとして「聴き映え曲」のひとつに選定しました。
イ短調→イ長調→イ短調→イ長調ときて再びイ短調に戻り、わかりやすく盛り上がるコーダのあとはジャーンと派手に終わります。
中間部は前後と差をつけるように甘やかに歌いましょう。ここは多少テンポを落とした方が良いと思います。
全体的に、右手は忙しいですが左手の動きはシンプルなため、耳で聴くよりずっと弾きやすいお得な曲。
あくまでも舞曲なので賑やかになりすぎないように、右手高音のきらびやかさを感じながら弾くと素敵です。
ルーマニア民俗舞曲
- 曲名:ルーマニア民俗舞曲(Rumänische Volkstänze)
- 作曲者:バルトーク・ベーラ(Bartók Béla, 1881-1945)
- 難易度:中級B
- 収録:全音ピースNo.584
- 演奏時間:約5分
ルーマニア民俗舞曲第1番「棒踊り」についてはこちらの記事に詳しいです↓
ピアノ発表会におすすめ!大人向きオシャレなピアノ曲 初中級レベル10選|中高生にもぴったり!
6つの短い舞曲の組曲である本作品。5番と6番は通常続けて演奏されます。
5番はテレビ番組「ビフォーアフター」で使われたので知っている人も多いはず。6番は超盛り上がりますね。
1曲だけ弾くなら初中級レベルでOKですが、6曲全部弾くとなるとなかなか大変。
おすすめは5番と6番を含む3〜4曲を選んで演奏すること。
その場合はNo.1,5,6、またはリリカルで美しい3番を加えてNo,1,3,5,6がおすすめです。
アルプスの夕映え
- 曲名:アルプスの夕映え(Alpenglühen Op.193)
- 作曲者:エステン(T.Oesten. 1813-1870)
- 難易度:中級B
- 収録:全音ピアノピース029、先生が選んだピアノ発表会名曲集④
- 演奏時間:約4分40秒
「中級レベルで聴き映えのする曲」といえば真っ先に頭に浮かぶのがこの曲「アルプスの夕映え」。タイトルからして映えています。
アルプス山脈の頂上付近、白く積もった万年雪が夕陽に映えて赤く染まる、荘厳な光景を想像しましょう。インスタ映えもしそうです。
テンポの変化と強弱の振れ幅が大きなポイントです。
冒頭のトレモロはppから1小節でクレッシェンドしfzへ、3小節目でmf、4小節目にはディクレシェンドしてpへ。このニュアンスの変化はとても大切です。
9小節目から長いクレッシェンドで盛り上がっていき、13小節目からやっと本題が.。
速度表示はLento。pesante(ぺザンテ・重々しく)、pomposo(ポンポーソ・華麗に)と指示があるので慌てずに雄大な雰囲気で。
その後も強弱やテンポの変化を見逃さずに表現していきましょう。自然とゴージャスで華やかな曲に仕上がっていくはずです。
注意すべきはペダリング。和音で弾く箇所が多いため、気分良く踏んでいると音が濁って美しくありません。
楽譜を参考にこまめに踏み替えつつ、ご自身の耳で最適な踏み替えポイントを探してみて下さい。
先生が選んだピアノ発表会名曲集④にも収録されています。
ソナタK.545 第1楽章
- 曲名:ソナタK.545 第1楽章(SonateK.545 1st mov.)
- 作曲者:モーツァルト(W.A. Mozart,1756-1791)
- 難易度:中級C
- 収録:モーツァルト ソナタアルバム(各社)
- 演奏時間:約3分
ロマン派や近・現代の華々しい曲たちの間に混じるモーツァルトのソナタ。場違いでは?とお感じのあなた。
モーツァルトはロココの時代の芸術家。華やかでないわけがありません。ただし、ロマン派のようにペダルで音を増幅させることができないため難しいのです。
このハ長調のソナタはモーツァルトのピアノ作品の中でも超有名。比較的易しいソナタの筆頭であり、よく発表会でも演奏されます。
端正かつシンプルな第一主題、軽やかな第二主題。展開部はドラマチック、ヘ長調で再現する第一主題は新鮮です。
スケールとトレモロはコロコロと転がるように、アルペジオはキラキラと輝かしく。長いトリルは音数を決めて揃えた方が綺麗です。
この名曲を安定したテンポで弾きこなせたなら、あなたはもう立派なピアノの名手。
ロマン派の曲の多い(と思われる)発表会では目立つこと間違いありません!
夢
- 曲名:夢(Rêverie)
- 作曲者:ドビュッシー(C.A.Debussy.1862-1918)
- 難易度:中級C〜中上級A
- 収録:ドビュッシー ピアノアルバム(全音楽譜出版社・他)全音ピアノピース200、先生が選んだピアノ名曲120選 II
- 演奏時間:約4分
本項10曲中唯一のゆっくりな曲。ドビュッシー若かりし頃、まだ作曲家として無名だった頃の作品です。
タイトル「夢(rêverie)」は「夢想」とも訳されます。
眠っているときに見る夢『dream』ではなく、目覚めているときに心に去来する「夢想」、様々なかたちの「夢」と解釈できそうです。
幻想的で文字通り夢見るような雰囲気、美しいメロディたち、オシャレな和声などなど、誰が聴いても「素敵な曲」(*´∀`*)。
特に大人の中級〜中上級レベルの学習者におすすめしたい魅力に溢れています。
「夢」の曲なので大音響で弾くのはふさわしくありませんが、消え入りそうな弱々しい音も似合いません。
特に左手広範囲のアルペジオ上で右手が朗々と歌い上げる場面などとてもドラマチック。たっぷりと音を響かせるのが似合います。
この曲で語られる物語は、場面が切り替わるごとに様々に変化します。高く低く、甘く優しく‥
それぞれの「夢」のかたちを、ひとつひとつていねいに紡いでいきましょう。♪( ´▽`)
「先生が選んだピアノ名曲120選II」にも収録されています。
タランテラ Op.85-2
- 曲名:タランテラ(Tarantella Op.85-2)
- 作曲者:ヘラー(S.Heller,1813-1888)
- 難易度:中級C〜中上級A
- 収録:全音ピアノピース048
- 演奏時間:約3分
再び登場のタランテラ。こちらはユダヤ系ハンガリー人作曲家でピアノ教師でもあったS.ヘラー作曲のものです。
ヘラーはショパンやシューマンと同世代。彼らと同じように当時のパリで人気を博しました。
ショパンと違ってこの当時の男性作曲家としては長生きだったため、壮年期には国際的名声を得て大出世。恵まれた生涯を送りました。
多くのピアノ曲を作曲しましたが、現在伝わっているのは中級者向けの練習曲集とこのタランテラぐらい。
ただ近年再評価されつつあるので状況は変わっていくかもしれません。
タランテラOp.85-2はとても華やかな作品。ド派手な曲を弾きたい方には特におすすめです。
テンポが速いだけでなく、アクセントやsfなどの指示が多いのでパワフルかつインパクトがあります。
終盤、左手のアルペジオ上で右手重音が高らかにメロディを歌い上げる箇所など輝かしくゴージャスそのもの。わざわざcon brio(コン・ブリオ/華やかに)と指示があります。
ラストに向かってさらにテンポを上げて華々しく駆け抜けましょう!
譜読みも演奏も易しくはありませんが、頑張って取り組む価値のある作品だと思います。
以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓
まとめ
中級レベルで聴き映えのする華やかな曲を厳選してご紹介しました。
ここに上げた10曲はどれも本来のレベルより難しく聴こえる要素を持っていますが、実際のところ普通の中級曲よりはやや難し目σ(^_^;)
人より「映え」るためには、やはりそれなりの努力は必要なのです。
それでもその演奏効果は抜群であり、弾き切った暁にはあなたは大きな満足感を得られることでしょう。
ご健闘を祈ります!
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