ワイナリーが経営する「坐忘」@山梨県笛吹川温泉 宿泊記
毎年、この時期になると山梨県に出かけることにしています。
お目当てはぶどうとワイナリー。
無数にある観光農園の店先には様々な種類のぶどうが並び、時期によっては百花繚乱の趣。
多くの観光客がたくさんのぶどうを買い込んでいきます。
私たちもその中の1人。
圏央道が出来てからは日帰りも余裕でできるようになりましたが、あえて一泊してゆっくりするのも良いものです。
今回は、私のオススメの旅館、笛吹川温泉の「坐忘」についてレポートします。
時を忘れる「坐忘(ざぼう)」・三千坪の敷地にわずか19室
坐忘の概要
笛吹川温泉「坐忘」
〒404-0047
山梨県甲州市塩山三日市場2512
TEL:0553ー32ー0015
宿泊予約サイト一休.comから予約しました。
一休.comのサイトはこちら↓
「坐忘」とは、「時を忘れる」との意味があり、滞在中は時間の経つのを忘れてゆっくりしてほしいとの意味を込めているそうです。
なので、館内には浴室などを除いて基本的に時計がありません。
慣れないと不便と感じますが、なにしろここは三千坪の敷地にわずか19室の客室という贅沢な造。
せっかくなのでコンセプトに沿ってゆっくりしたいものです。
笛吹川の支流に専用の橋がかかっていて、それを渡ると坐忘の敷地内。
ややチェックインには早い時間でしたが、車で侵入すると宿の方々が出迎えてくれます。
車の鍵を預けるバレットパーキングシステム。ラクです。
ロビーにて。
ウェルカムドリンクとしてお茶とお菓子が供されます。ここでチェックイン。
もう部屋の準備ができているとのことでした。
「坐忘」の客室・アメニティ
本館の「庭園露天風呂付き客室」というカテゴリーの部屋に宿泊しました。
和室8畳とツインベッドルームに露天風呂が付いています。
日本庭園の池の上に張り出すように縁側が設けられた眺めの良い部屋で、2室しかありません。
人気のある部屋とのことで、早めの予約が必要です。
廊下から室内を見たところ。
部屋の入り口。さりげなく上品。
和室の床の間には生花とともにテレビと冷蔵庫。
洋室部分はフローリングです。
間接照明がいい感じ。
テラスのように池に張り出した縁側。
日本庭園全景。鯉が優雅に泳いでいます。
露天風呂はこんな感じ。右はお風呂からみた庭園です。
洗面所とアメニティ。
タオルは、ふっくらしたバスタオルとフェイスタオルがそれぞれ4枚ずつ置いてありました。
アメニティはミラ・ショーンのバス&シャワージェルと、シャンプー、コンディショナー。
きんちゃく袋の中には男性用と女性用の洗面用具が入っています。
女性用のには歯ブラシ、ブラシ、シャワーキャップ、輪ゴムとコットン・綿棒のセット。
男性用のには髭剃り用のクリームなど。
忘れちゃいけない鯉のエサ。
このカテゴリーの部屋の特権(?)として、自室にて鯉にエサをあげる権利が付与されます。
池に撒いてみると、それまで悠然と泳いでいた鯉たちが突然大興奮。
池はたちどころに厳しい生存競争の場と化します😅
不器用そうな子にあげようとしても、いつも横から取られちゃうんですよねえ。
どこの世界も生き残るのはラクではないようです。
坐忘のライブラリー
本館の2階にライブラリーと呼ばれるスペースがあります。
かなり広く、ゆったりと過ごせます。
坐忘は日本最古のワイナリーである「まるきワイナリー」と経営母体が同じで、ここではまるきワイナリーで生産されたワインを試飲することができます。
もちろんコーヒー・紅茶などのドリンクも自由に飲めます。
おつまみなどは特に置いてありません。
ワインに関する書籍や雑誌がずらりと並んでいて、ワインに対するこだわりが感じられます。
チェックイン後から夜は24時まで、朝は7時〜11時まで利用できます。
なお、午前の時間帯はワインは提供されません。
坐忘の夕食「茶料理懐石」
食事は食事処で頂きます。
それぞれの部屋ごとに専用の個室があるようで、夕朝食とも同じ部屋でした。
坐忘の夕食は「茶料理(懐石)」というコンセプトで提供されます。
茶事で供される料理のことだそうで、食後のお茶を大切に味わうためのものだそうです。
夏の終わり、晩夏に味わう茶懐石は以下の通り。
まずは1品目、一汁三菜。
最初にご飯と汁向付煮もの、焼きものが供されます。
まずは空腹を和らげる意味があるのだとか。
飲み物は、和食とワインとのマリアージュが楽しみで、まるきワイナリーのワイン4種の組み合わせをお願いしました。
1種あたり約100ml、泡・白・赤・白の順で料理に合わせて出てきます。(2000円)
最初は甲州(ぶどうの種類)種の特徴を生かしたスパークリングワイン。
2品目・煮物 鴨丸澄まし
鴨のつみれと夏野菜のお澄まし。とっても上品。
3品目・焼もの 笛吹川上流で育った天子(あまご・地方名山女魚)を備長炭でじっくり焼いたもの。
頭から骨まで食べられますが、尻尾は塩分が多いので残します。
身がふわふわで、川魚とは思えないほど柔らかく、小骨などの存在を感じませんでした。
2杯目の「いろ グラン甲州」とともに頂きます。
繊細な香りが焼き魚にぴったり。
4品目・預け鉢 鰊と茄子。
針生姜とおそうめんと一緒に。
ちなみにこれは2人分で、それぞれがお皿に取り分けて頂きます。
5品目・炭炉。 なにやら立派なお弁当箱のような器が。
開けてみると、甲州牛の炭火焼セットでした。
奥の入れ物には焼いた石が入っていて、牛肉を適宜炙って頂きます。
本日のメインディッシュでしょう。
当然のように赤ワインが出てきました。
山梨県の「甲斐ノワール」という品種を樽熟成したものです。
お肉と相性バッチリで、実に幸せ ^ ^
6品目・強肴 うざく。
うなぎの白焼きとシャインマスカットなどの酢の物。
夏らしくて爽やか。
ここでまた白が出てきました。
勝沼産のの甲州種を低温発酵させてオーク樽で熟成したものだそう。
白なのにとてもしっかりした感じ。
7品目・箸洗い 季節のものに菊一片。
やさしい味わいのお汁でした。
8品目・八寸 蓮見。
蓮の葉の上にアワビとタラコの落雁、枝豆、唐辛子などがあしらわれています。
しっかりした白ワインとぴったりでした。
9品目は食事。
焦がし湯、鮎ご飯、香の物。焦がし湯にはお米を炒って少しおこげになったものが入っています。
どこかホッとする感じのやさしい味わい。
ご飯の量もちょうど良く、完食しました。
お茶とお干菓子。
これを美味しくいただくための茶懐石です。
最後にデザートが。
「信玄アイス」の上に求肥がのったものと、モモに巨峰。
私たちは食べるのが遅く、2時間以上かかりましたが完食しました。
どれもヘルシーなので、胃にもたれる感がありません。
お料理が提供されるタイミングも適切で、心ゆくまで和食と日本ワインのマリアージュを楽しむことができました。
坐忘の温泉・朝食
温泉
温泉は撮影ができませんので簡単にレポ。
アルカリ性が強く、ややとろみのある天然温泉です。
温度は42〜45℃ほどで、そのまま利用しているようです。(好みによりますが、ちょっと熱いかも)
脱衣場には大小のタオルが積まれ、部屋からタオルを持ち出す必要はありません。
ロッカーなどはありませんので、貴重品は部屋の金庫に保管するなどして、浴場には持ち込まないほうが良いと思います。
私は5時半ごろに入浴しましたが空いていました。
この旅館は複数の部屋に露天風呂がついているのでそれほど混んでいないのかも。
朝食
食事処の入り口はこんな感じ。
風格と趣があります。
朝食にもちゃんと達筆のメニューが。
最初に運ばれてきた夏野菜のサラダ。
大根、長芋、カイワレ、じゃこなど。
ドレッシングは3種類、胡麻ポン酢・梅肉・レモン。
一の膳。
お弁当箱の中にスモークサーモン、刺身こんにゃく、出し巻き玉子、鰯の丸干し、茄子の田楽味噌などが所狭しと詰められています。
他に茶碗蒸し、あさりのお味噌汁、ご飯、香の物。
ご飯とお味噌汁はお代わりができます。
ニの重。
どーんとひょうたんが現れてまずびっくり。
これを解体すると手打ちそばのセットに変身しました。
これは信玄箱瓢簞といって、昔、武田信玄が鷹狩りの際に用いた、機能性に優れたお弁当箱なのだとか。
手打ちそばは料理長自らのお手打ちだそうです。
極めてヘルシーな朝食は、完食しても胃もたれしません。
やはり、フレンチやイタリアンなどよりは私たち日本人の体質に合っているのでしょう。
歳をとると、如実にそれを実感します。
本当は教えたくない「坐忘」、その感想
思ったより長いレポートになってしまいました。
それだけお伝えしたい情報の多い旅館です。
でも、実を言うと本当はあまり皆さんにお知らせしたくないような‥
これ以上予約が取りにくくなると困りますので ^^
実際、私たちが宿泊した「本館庭園露店風呂付き」の部屋は、何ヶ月も前に予約しないと取れません。
何が人気の秘密なのでしょうか。
独特のゆったり感ではないかと思います。
この日は満室だったはずですが、あちこちに従業員さんたちが働く姿は見えたものの、あまり他のお客さんの姿を見かけませんでした。
もちろん、ライブラリーに、大浴場に、食事処に、他の宿泊客はいるにはいるのですが、敷地が広く、建物なども余裕を持って建てられているためか距離感があるのです。
大規模な温泉旅館にありがちな混雑した感じとは無縁でした。
また、働いている皆さんのおもてなしが素晴らしい。
付かず離れず、にこやかでていねい。
過不足なく、くつろげるように配慮してくれているようでした。
さて、気になるお値段ですが。
お盆明けの週末。
大人2人、1泊2食、税金、サービス料、入湯税、プラス夕食のワインセット×2名で、約8万円の請求でした。
色々な意見があると思いますが、私は決してお高くはないと思います。
常に週末は予約で埋まっていると言う現実が、同じように考える人が多いことの現れと感じています。
我が家は決してリッチなわけではありませんが、ここにならまた来ようと思えるのです。
また一年頑張って、来年の今頃、ぶどうの採れ始める季節に来れたらいいなあと心から思っています。
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