マンションでピアノを弾くのは非常識?「騒音」vs「許容範囲」それぞれの声まとめ|結論は?
ピアノの音に関してネット上に定期的に立つトピックに「マンションでのピアノの音」問題があります。
「上階の住人が毎日ピアノを練習していてうるさく感じる。なんとかならないでしょうか」といった意見が代表的。
逆に、
「ピアノの練習音がうるさいと言われたが、規約を守って弾いているつもり。横暴ではないか」
というような、弾く立場からの発言もあります。
マンションに生(アコースティック)のピアノを置いて練習することは非常識なのかどうか。
これは、それぞれのマンションの規約のほか、住んでいる人々の意識や周辺環境にも左右される複雑な問題です。
本稿では、マンションでのピアノの音に悩む人々、気を遣いながらも苦情にさらされて苦しむ人々、それぞれの声をまとめて傾向を分析。
そして、ピアノを教えるものとして私なりに結論を導き出しました。
マンションでのピアノの音問題に関してのひとつの指標となればと考えています。
目次
「マンションでのピアノは非常識」の声
「マンションでのピアノの音は騒音であり非常識」と考える人々は少なくありません。
ネットの掲示板やYahoo知恵袋などの書き込みからそうした声を拾ってみました。
「マンションでの生ピアノの音はただの騒音。どうしても弾きたければ郊外の一戸建てに住むべき」
「マンションでピアノを弾くなら防音室を作って欲しい。無理な人はピアノを弾く資格なし」
「なぜ電子ピアノにしないの?意味がわからない」
「夕食どきに弾かれて困っている。テレビの音も聞こえず辛い」
「ピアノの音はとにかく迷惑。1分たりとも弾いてもらいたくない」
「ピアノ可だからといって弾き放題は困る。節度を持って欲しい」
「毎日弾いているので苦情を言ったら逆ギレされた。同じような人の意見をまとめて管理組合に掛け合おうかと考えている」
「他人に迷惑をかけて平然としていられる神経が謎。ピアノを弾く人には自分勝手なタイプが多い気がする」
ちょっと強引な決めつけ(^^;)から切実なものまで、様々な声が集まりました。
まとめると次のようになります。
- マンションでピアノの音をそのまま出すのは非常識。弾くなら防音室を作るべき
- 電子ピアノかサイレント機能をつけてヘッドホンを使って弾いて欲しい
- 規約を守っていれば当然のように弾いて良いと言うものではない。節度と気遣いが欲しい
- 苦情を言っても改まらないので、管理組合に規約の変更を申し出る意思がある
一部の極端な意見を除き、音を出す立場の者として真摯に受け止めなければならないと感じました。
「マンションでのピアノは許容範囲」の声
次に、マンションでのピアノ練習について苦情を受けて悩んでいる人や、ピアノの音くらいなら許容範囲と考える人の声を拾ってみました。
「『ピアノ演奏可』のマンションで苦情を言われるのは心外。当然弾く権利があるのでは?」
「実家のマンションではピアノやヴァイオリンをそのまま弾く家が多かったが問題が起きたことはなかった。昔はもっと大らかだったのに」
「今時、マンションでピアノを弾く家は多い。気にする人はちょっと神経質なのでは」
「簡単に防音室を作れというけれどお金がかかりすぎて無理‥」
「やっとピアノ可の物件を見つけたのに苦情を言われるのは辛い。ピアノの音が苦手なら『ピアノ不可』の物件を選ぶべきだったのでは?」
「それを言うなら複数の子供が遊ぶ物音や深夜の洗濯機、大音量のテレビやオーディオの音が気になる。なぜいつもピアノだけが悪者になるのか」
なんだか恨み節も聞こえてきますね(;´д`)
「マンションでピアノを弾くことは許容範囲」と考える人々の意見をまとめると次のようになります。
- 『ピアノ可』と定められたマンションでは、演奏時間などの規約を守って弾くなら認められるはず
- 以前よりも音を気にする人が増えた気がする。世知辛くなった‥
- ピアノ以外にも様々な生活音の問題もある。音に関してはある程度お互い様なのでは?
- 本格的な防音は百万円単位のお金がかかり手が出ない。節度を保って弾いているつもりなのに苦情を言われ辛い
規約で「ピアノ可」のマンションを選んだのに苦情を言われて悩んでいる人は少なくありません。
少し高い分譲価格・家賃なのにこんなはずじゃなかったと頭を抱えるケースが多い印象。
また、最近は以前よりも人が家にいることが増えて、他人の出す音に対して不寛容になっていると言う側面はありそうです。
マンションでピアノを対策せずに弾くのは「非常識」
私は、「なんらかの防音対策なしにマンションでピアノを弾くのは、例え管理規約で定められた演奏時間を守っていたとしても非常識のそしりを免れない」と考えています。
以下にその理由を挙げてみました。
- 一戸建てと違い、建物の壁や床を共有するマンションは隣家や階下に音が直接伝わる
- ピアノの音は生活音よりも一般的に大きいとされる
- ピアノは打楽器としての側面があり、打鍵が床に振動音として響く性質がある
- 音が直接伝わる
マンションでのピアノの音は、一戸建てとは全く違います。↓
アップライトピアノの置き場所|マンションでの注意点とおすすめは?一戸建ての2階は大丈夫?
マンションは壁や床を共有しているため、一戸建てよりも音が伝わりやすいのです。
ピアノに限らず、足音や話し声、洗濯機などの音も響きやすいといえます。
- ピアノの音は生活音より大きい
ピアノの音は一般的な生活音より大きいことがわかっています。
以下は東京都環境局のウェブサイトから拾った数字。単位はデシベルです。
音の大きさ(デシベル)
日常生活音のいろいろ
家庭用設備 エアコン約41~59 温風ヒーター約44~56 換気扇約42~58 風呂又は給排水音約57~75
家庭用機器 洗濯機約64~72 掃除機約60~76 目覚まし時計約64~75 電話のベル音約64~70
音響機器 ピアノ約80~90 エレクトーン約77~86 ステレオ約70~86 テレビ約57~72
その他 犬の鳴き声約90~100 子供のかけ足約50~66 ふとんをたたく音約65~70 車のアイドリング約63~75 人の話し声(日常)約50~61 人の話し声(大声)約88~99
ご覧のように、ピアノの音は生活音を上回っています。
ステレオやエレクトーンなどよりも強く、犬の吠え声より少し弱い程度。
私を含め、ピアノを弾く人はやはりこの現実を受け止める必要があります。
従って「ピアノ可」のマンションで、規約に定められた演奏時間を守って弾くのは当然のこと。
そして、いくら規約時間内だからといって、例えば朝10時から夜の8時までは弾き放題、のわけがありません。
節度を持った練習時間の他に、ある程度の防音対策は必要です。
- ピアノは打楽器の一種
ピアノは張った弦をハンマーで物理的に叩いて音を出す打楽器の一種。
打鍵の衝撃が直接振動となって建物に伝わる性質を持っています。
このため、空気を介して音が伝わるギターなどの弦楽器よりも音が響きやすいといえます。
さらに上の項で挙げた、壁や床を隣家・階下と共有するというマンション特有の事情も考慮すると、やはりピアノの音を負担に感じる人が多いのもうなずけます。
以上の点から、防音対策なしにマンションでピアノを弾くことはおすすめできません。
幸い、現在ではメーカー各社が知恵を絞り、多くの方法を組み合わせればかなり高い効果が期待できます。
状況により色々な対策をとることが可能ですので、色々と研究の余地がありそうです。↓
ピアノをマンションに設置するためのマナーとは?消音ユニットなしでトラブルを回避するコツ
まとめ
- マンションでピアノを弾くのは非常識と考える人は、管理規約を守るだけでなくなんらかの防音対策をして欲しいと考えている
- マンションでのピアノの音は許容範囲と考える人は「ピアノ可の物件ならば可能」と判断している
- マンションで対策なしにピアノを弾くのは非常識のそしりを免れない
- ピアノの音は生活音よりも強く、また打楽器の一種であるため壁や床を他家と共有しているマンションでは打鍵音が直接響きやすいため
マンションでピアノを弾くことについて、「それは非常識だよ派」vs「それくらい許容範囲だよ派」それぞれの声のまとめと私なりの結論をお伝えしました。
私はピアノ教える仕事をしていますので、「ピアノの音は許容範囲ですよ」と言いたい気持ちはゼロではありません(すみません汗)σ(^_^;)
でも、自身がマンションに住んでいた時、逆の経験をしたことがあるのです。
私自身はマンションの規約を守ってピアノを弾いていましたが、そんなのどこ吹く風とばかり、夜子供を寝かしつける時間(21:30〜)になって弾き始める人の階下に住んでいたことがありまして。
なので、音に悩む人の辛さはよくわかっているのです。
いつかそんな経験も記事にまとめたいと思っています。
ピアノの音に悩む人が少しでも減ってくれればと願っています。
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