「ピアノを習っているのに楽譜が読めない人」にならないために

突然ですが、あなたは(あなたのお子さんは)ピアノの楽譜が読めますか?

「‥はい? ピアノを習って何年にもなりますから。当然読めますが、何か」

と、即座に答えることのできるあなたはとてもラッキー。

なぜなら、「ピアノを習っているのに楽譜が読めない」人が少なくないからです。

私の教室に入会される生徒さんのうち、ピアノの経験者は約半数。

そして、それらの生徒さんの中に時々見られる「楽譜が読めないピアノ学習者」。

何年も習っているのに、自分の出している音の名前がわからない・誰かに手助けしてもらわないと新しい曲が弾けるようにならない。

ピアノ経験者の中にはそんな方々が実はかなり多いのです。

 

「‥アレ?私(の子ども)はちゃんと読めているかしら(汗)」

「譜読み好きじゃないけどちゃんと弾けてますけど?何が問題?」

 

そんなあなたにこそこの記事をオススメします。

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あなた(のお子さん)が楽譜を読めているかチェックしましょう

ピアノ経験者の中には、かなりの割合で楽譜が読めない・読むのが非常に苦手な人が混じっている。

このことに気づいたのは割と最近のことです。

楽譜が読めていない時に現れる症状

かなり上手にピアノが弾ける人(お子さん)でも、弾く力に比して読譜力が弱い場合、以下のような症状が出ます。

 

・譜面台に楽譜を広げていてもほとんど見ていない。

常に鍵盤を見ながら弾く癖がついています。

 

・同じ箇所を何度も弾き直しする。

正しい音が譜面では判別できないため、記憶している音を耳で探しているのです。

 

・指遣いが不正確

同じ曲でも、弾くたびに指遣いが変わります。

楽譜ではなく、音の記憶を頼りに弾いているからです。

 

・リズムがあやふや。

音価(音の長さ・曲中、その音を押さえるべき時間の長さ)がわかっていないので、感覚とカンに頼って弾いています。

 

・決まったテンポ(速さ)でしか弾けない

速いテンポで弾くことで、何となく弾けた気になっています

ゆっくりにすると弾けなくなります。

 

・両手なら弾けるのに片手では弾けない。

両手の動きのコンビネーションによって曲を記憶して弾いています。

 

いかがでしょうか。

いずれも譜読みの苦手な生徒さんに特有の症状です。

もちろん譜読みだけが原因とは限りませんが、上のような症状が出ていたら要注意といえます。

譜読みが苦手だと何が困るのか

「‥いくつか当てはまるような(汗)。マズいかなあ」

「でも、ちゃんと弾けてるし、弾いてて楽しいし。何が問題なの?」

はい。

読譜力が弱く上にあげた症状が出ていると、以下のような不都合が生じます。

常に鍵盤を見ながら弾く癖

楽譜を見ないので、先生が書き込んで下さった注意事項を忘れてしまいます。

したがって音やリズムの間違いを指摘されてもなかなか直せません。

同じ箇所を何度も弾き直しする

音楽というものは常に時間の流れに乗って紡ぎ出されていくものです。

弾き直す癖がついていては音楽的とはいえません。

指遣いが不正確

毎回違う指遣いで弾くのはミスタッチの元です。

手の動きも安定せず、荒っぽい演奏になりがちです。

リズムがあやふや

弾くたびに違ったリズムになる方もいます。

中には、ほとんど作曲しているかのような人も‥

テンポを落としたり片手だと弾けない

「両手で速く弾けるんだからいいじゃん」と言う方がいますが、そうははいきません。

それは、正しく弾けているとは言えません。

人前での演奏など、緊張する場面で破綻しがちなのはこのようなケースです。

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高い読譜力はピアノ学習者にとって最強の武器

「はあ、譜読みが苦手だと色々ソンだってことですね。じゃあ、譜読みが得意だとどんな利点があるんでしょうか?」

はい、大アリです!

譜読みが得意な生徒さんは進度が早い

読譜力があるとより多くの曲に挑戦できるため、当然ながらテキストが早く進み、結果的に上達が早くなります。

私の教室ではブルグミュラー〜ソナチネ程度の曲ですと、

①譜読みに1週間 ②間違った箇所の修正や強弱、フレージングなどの指示・提案で1週間 ③3周目で暗譜

といった具合に、2〜3ページの曲が3週間ほどで仕上がります。

これは、曲のレベルが上がるほどに差が開いてきます。

レッスン内容にも差が‥

音や指遣いの間違いを修正するのに何週間もかかってしまうと、それらが直る頃には生徒さんが曲に飽きてモチベーションが下がってきます。

そうなると練習量が落ちて演奏が荒れてきますので、不本意ながら適当なところで切り上げるようなレッスンになってしまいます。

そこへいくと、譜読みがすぐに終われば、より曲の内容や音楽的な要素にフォーカスしたレッスンが受けられます。

 

例えば「ココの音が違うよ、そこの指遣いが違うよ、こっちのリズムも直してね」といったレッスンは卒業。

「このフレーズはこっちでは形を変えて違う調性で使われているね。どう弾いたらいいと思う?」

「この曲が書かれた時代は〜だったの。だからこんな風に弾いたらどうかな?」

といったように、生徒さんにも考えさせるようなレッスンが受けられるようになるというわけです。

より難しい曲への挑戦も

発表会のような場面では、読譜力の必要な難しい曲は、安定して譜面の読める生徒さんに渡したいと感じます。

読譜が進まないと何しろ弾けませんので、難しい曲を出すのは冒険です。

 

また、生徒さんが自分で弾きたい曲を選んで弾いてくることもできます。

譜読みが得意な方の中には、時々こちらが驚くような難しい曲を「練習してみたので聴いて下さい」と、持ってくる人がいます。

彼らの成長を感じられて、とても嬉しいものです。

このように、読譜力があれば様々な可能性が広がっていきやすいのです。

譜読みの力こそは、クラシックピアノ学習者にとって最強の武器といえます。

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今からでもできる読譜力の鍛え方

だからといって、現在譜読みに自信のない方が落ち込む必要はありません。

読譜能力は特別な才能ではなく技術ですから、後からでも鍛えることが可能。

私の教室で読譜の弱い生徒さんに行っている「治療」をご紹介します。

自分の出している音を常に意識する

譜読みが苦手な人は、しばしば自分が弾いている音が何なのかわかっていないことがあります。

いくら譜読みが苦手とはいえ、全く読めなくてはピアノは弾けませんから、最初に曲に取り掛かる時にはある程度読めていたはず。

それが、弾いているうちに目から情報を取るよりも記憶に頼って弾くようになっていきます。

 

耳と記憶力が良い人は、実は譜面を読むより覚えた方がラクなのです。

脳のクセとでも言いましょうか。

極端な言い方をすると、脳内の得意分野を使って曲を覚え、弾いている気がします。

したがって、全曲が弾ける頃にはもうほぼ暗譜ができているというわけです。

 

ただこのやり方では読譜力は伸びていきません。

まずは自分の出している音を常に意識して弾くようにするのが第一歩です。

片手ずつ弾きながら音の名前を口に出す

次に、脳に少々負荷をかけます。

譜読みの時に使った「音を読む努力」を、曲が弾けるようになっても意識して続けて下さい。

具体的には、「片手ずつ弾きながら音の名前を声に出す」のが効果的です。

音が取れるなら、歌えるともっと良いです。

 

最初は大変かもしれませんがそのうち慣れます。

曲全部でこの練習は大変ですので、一部の苦手なところだけで良いと思います。

すぐに効果が出ると言うものではありませんが、必ず読譜力は改善していきます。

ランクをおとした易しい曲を数多く練習する

さらに、特に譜読みが弱い生徒さんには特別メニューを組みます。

読譜力を育てるには、譜読みの練習に特化した易しい曲を数多く譜読みするのが一番効果的。

普段習っている曲とは別に、2ランク以上レベルを下げたテキストを使って、毎週多めに宿題を出します。

譜読みに慣れてもらうのが目的です。

 

「症状」が重く、ト音記号や拍子記号の意味さえわからない人には「ぴあのどりーむ」などの初心者用の教材を出すこともあります。

中にはショックを受ける方もいますが、読譜力は一朝一夕には育ちません。

段階を追って少しずつ身につけて頂くしかありません。

できれば初心者のうちから努力を

このように、ある程度弾けるようになってから読譜力を育て直すのはかなり大変です。

できればピアノを始めてすぐ、初心者のうちから「読譜力を身につける」ための努力をして頂くのが実は一番の早道。

それには先生の指導方針が譜読みを意識したものである必要があります。

 

実は、生徒さんに読譜力を身につけさせるのはかなり大変なことです。

なので、中にはこの部分をあっさりカットして「弾く楽しさ」だけを強調する先生もいらっしゃるのが現実。

関連記事↓

「良い」ピアノの先生と「上達の遅れがちな」ピアノの先生

もしもあなたの先生がこのようなタイプなら、教室を変わるのも一つの選択肢かもしれません。

「ピアノを習っているのに楽譜が読めない人」にならないために・まとめ

まとめてみましょう。

楽譜が読めているか否かのチェックポイント

・譜面を見ながら弾いているか

・音を探すかのような弾き直しをしていないか

・指遣いやリズムが弾くたびに変わることはないか

・リズムが曖昧ではないか(音価がわかっているか)

・テンポをゆっくりにしたり片手ずつにすると急に弾けなくなったりしないか

高い読譜力を持つことの利点

・進度が早い

・音楽的な内容まで踏み込んだレッスンを受けられる

・より難しい曲ややりがいのある曲に挑戦できる

読譜力の鍛え方

・常に自分の出している音を意識する

・苦手な箇所は音の名前を口に出して歌いながら練習

・易しい曲をたくさん弾いて譜読みに慣れる


クラシックピアノを学ぶ人にとって、読譜力すなわち譜読みの能力がいかに重要かお分かり頂けたと思います。

この記事を読んで下さったあなたが高い読譜力を手に入れられることを願っています。

長くピアノを楽しむために、たくさんの素晴らしい楽曲に自らアクセスできるようになるために。

 

お読み頂いてありがとうございます。

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