ピアノ発表会におすすめ!大人向きオシャレなピアノ曲 初中級レベル10選|中高生にもぴったり!
大人が発表会で弾くのにふさわしいクラシックのピアノ曲が少ない!‥そんなふうに感じたことはありませんか?
ストピで映えるようなポピュラー系の曲は楽譜ショップにたくさん並ぶようになってきた昨今ですが、クラシック系の曲となると必ずしもそうとばかりもいえないのが現状。
いかにも子ども子どもした曲はイヤだし、かといってシニア向きの「懐かしい日本の歌」などもちょっと‥というわけで、困っていた方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、大人や中高生が発表会で弾くのにぴったりの、オシャレでちょっとカッコいいピアノ曲を集めてみました。
レベルは初中級レベル程度を想定しています。
ピアノという楽器に慣れて、少々難しい曲にも挑戦できるようになってきたあなた。
発表会は複数回に出演、ストピデビューを果たしたりなど、徐々に自信や手応えを感じ始めているのではないでしょうか。
そんなあなたの曲選びの参考にして頂ければ幸いです。
大人の初心者にふさわしいオシャレなクラシック曲にはどんなものが?こちらからどうぞ↓
【ピアノ発表会】大人のためのオシャレなクラシック曲 初級レベル10選|中高生にもおすすめ!
目次
大人向きのオシャレなピアノ曲 初中級レベルの条件【ピアノ発表会】
ピアノ発表会で「大人や中高生の初心者が演奏するのにふさわしい初中級レベルの曲」を選定するにあたり、以下のような条件を設定しました。
- 「ツェルニー100版練習曲」「ピアノの練習ABC」「ブルグミュラー25の練習曲」程度
- クラシックピアノのために書かれたオリジナル曲
- 音の響きや雰囲気が洗練されていて大人が弾くのにふさわしいと感じられること
ピアノ曲の難易度を詳しく解説した記事はこちらから↓
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
本記事の狙いは「大人や中高生の初中級者が発表会・ストピなどで演奏するにふさわしい曲」のご紹介。
レベルは表にある通り「ブルグミュラー25の練習曲」程度としました。
世に「大人のための」と銘打ったピアノ曲集はあまたありますが、その多くは映画やポピュラー曲の編曲であることが多いもの。
またクラシックであってもピアノ曲ではなくオーケストラ用の有名曲をピアノ曲に編曲していることも。
本記事では、本格的にクラシックピアノを学ぶ大人の方々を応援すべく、編曲ものではない、作曲家のオリジナル作品の紹介にこだわりました。
そして、全体的に音の響きが洗練されてオシャレっぽいと感じられる曲を選んだつもりです。
結果的にクラシック曲としては比較的新しい曲が多く入りましたが、大人の演奏意欲を妨げない選曲ができたと自負しています♪( ´▽`)
大人向きのオシャレなピアノ曲 初中級レベル一覧【ピアノ発表会】
初中級レベルに差し掛かった大人や中高生のピアノ学習者が、発表会などで演奏するのにぴったりの「オシャレなピアノ曲」一覧は以下の通りです。
管理人が上の条件設定に従って10曲を選び、比較的難易度が低いと思われる曲から順番に並べました。
- 悲しいワルツ(中田喜直)
- アラベスク・センチメンタル(ギロック)
- 風(ギロック)
- 夢の庭で(池田奈生子)
- ムーンライト・ガーデン(G.オースティン)
- 舟歌(ブルグミュラー)
- はじまり(野平一郎)
- 甘い夢(チャイコフスキー)
- チョコ・バー(湯山昭)
- ルーマニア民俗舞曲 第1曲「棒踊り」(バルトーク)
大人向きのオシャレなピアノ曲 初中級レベルの解説【ピアノ発表会】
以下、各曲を簡単に紹介・解説します。比較的難易度の低い曲から高いと思われる曲の順番に並んでいます。
作品の日本語のタイトルとともに可能な限り原題を記載。また作曲者の氏名、不明な場合をのぞき生年と没年を記載しました。
なおピアノ曲の難易度は、テンポの設定や弾き方、演奏者の体格や手の大きさによってかなり違ってきますので注意が必要です。
関連記事↓
ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
悲しいワルツ
- 曲名:悲しいワルツ
- 作曲者:中田喜直(1923-)
- 難易度:初中級A
- 収録:こどものピアノ曲(音楽之友社)
- 演奏時間:約1分50秒
「こどものピアノ曲」は中田喜直の有名な曲集ですが、のっけから「‥ん?子ども向きじゃん。なんでここに?」と思われることでしょうσ(^_^;)
実は当曲集の中で「悲しいワルツ」と題されたこの曲だけは、唯一大人向き。
同じメロディが伴奏の形を変えて何度も現れるシンプルなワルツですが、へ長調ですので普通に弾いては決して悲しそうに聴こえません。
主題はすべてpです。スタッカートはすべてごく控えめにして、柔らかい雰囲気を表すようにしましょう。
中間部で少し感情が動きます。多声をしっかり弾きわけて下さい。主題に戻る前には充分に間を取ります。
ラストはrit.することなく、懐かしい想い出が遠くへ去っていくように終わりましょう。
透明感、虚無感、すべてを受け入れるかのような諦念‥そんな雰囲気をイメージしつつ、どこかほろ苦い優しさを表現できると素敵です。
アラベスク・センチメンタル
- 曲名:アラベスク・センチメンタル(Arabesque Sentimentale)
- 作曲者:ギロック(W. Gillock,1917-1993)
- 難易度:初中級A
- 収録:ピアノピース・コレクション(PIANO PIECE COLLECTION1・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分30秒
「アラベスク・センチメンタル」は「感傷的なアラベスク」。
「アラベスク」とはアラビア風の装飾模様のこと。そこから転じて、音楽用語としては装飾的で幻想的な内容の音楽を指します。
また左右の手がつる草のように交差し、音と音が複雑に絡み合う様を表現しているともいえます。
そんな訳でこの曲は最初から終わりまで優雅で華麗な装飾品のよう。
メロディ以外の音形はすべて「quasi arpa(ハープのように)」の指示に従い、途切れることなく曲を飾って下さい。
25小節目からのソプラノは2つの音のフレーズを右手と左手でつないで弾きます。いずれも最初の音にテヌートが付いているのに注目。
ラストは大胆に盛り上げてから、最終音のppをひそやかに落とすように弾きましょう。
風
- 曲名:風(Windy Weather)
- 作曲者:ギロック(W. Gillock,1917-1993)
- 難易度:初中級A
- 収録:アクセント・オン1(ACCENT ON1)
- 演奏時間:約1分10秒
「アクセント・オン」は、理論の学習と応用を一冊で学ぶことのできるギロックの補助教材。
「弾く人をピアニストになった気分にさせる」「10本の指と88の鍵盤を使って弾いていると感じさせる」ことを大切にする、ギロックらしいオシャレな曲集です。
ハ短調「風」は、嵐の予兆を感じさせるような、どこか不穏な風の様子を描いた曲。
決して難しいテクニックは使われていないのですが、鍵盤を幅広く使い、ペダル全開での全音音階など難しく聞こえる要素がたっぷり。
近・現代の様式で描かれています。拍子にとらわれず、テンポを自由に揺らし強弱の幅も大きめにとって、奔放な風の様子を表現して下さい。
8小節目と16小節目のグリッサンドは弾きにくいですが「holding back(テンポを落として)」の指示があるので決して慌てなくても大丈夫。
最終音(CE♭GC)にはペダルは使用しません。あえてあっけなく、悪戯っぽく終わってみては?
夢の庭で
- 曲名:夢の庭で
- 作曲者:池田奈生子
- 難易度:初中級B
- 収録:花色パレット(全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分50秒
桜、アイリス、バラ、ひまわり、紫陽花など、花をイメージした曲を中心とした曲集「花色パレット」。
「夢の庭で」は、それらの花々が咲き乱れる楽園の様子を描いた、華やかでオシャレなワルツです。
『ここは様々な花が咲き、果実が実る楽園。人々は光にあふれる園で、自由に平和に暮らしています』とは作曲者のイメージ。
scherzando(スケルツァンド・戯れるように)の指示がありますので、自由気ままに、はしゃいだような明るさや無邪気な雰囲気を持って弾くとぴったりです。
69小節目以降のテンポの移り変わりはとても複雑。
ritした後のフェルマータは十二分に間をとります。その後はSlowlyとありますのではっきりわかるようにゆっくりと。
71小節目で再びたっぷりフェルマータした後、元のテンポに戻ったかと思うとまたpoco rit.へ。
ラストは、いつまでもこの美しい幻影が続いてほしいと願うかのように、余韻たっぷりに締めくくって下さい。
ムーンライト・ガーデン
- 曲名:ムーンライト・ガーデン(Garden in the Moonlight)
- 作曲者:G. オースティン(Glenda Austin)
- 難易度:初中級B
- 収録:ロマンティック・ダイアリー(ROMANTIC DIARY・全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分50秒
グレンダ・オースティンはアメリカのミズーリ州出身の作曲家・音楽指導者。あのギロックの愛弟子であり、彼の作品の演奏者としても知られています。
「ロマンティック・ダイアリー」は、2022年11月に第1版第1刷が発行されました。まさに出来立てホヤホヤの新しい曲集です。
どれも素敵な曲ばかりですが、なかでも「ムーンライト・ガーデン」は作曲者のお気に入り。
静かでゆったりとした3拍子と、テーマを彩る内声部の半音階によって、月明かりに照らされる庭園の幻想的な様子が描き出されます。
全曲ペダル使用の指示がありますが、踏みっぱなしにすると音が濁りやすいので注意が必要です。
主題に添えられた「teneramente(テネラメンテ)」は「優しく」「愛情を込めて」の意味。
月の夜、誰か大切な人と一緒にお庭を散歩をするようなつもりで演奏してみてはいかがでしょう?(^○^)
舟歌
- 曲名:舟歌(Barcarolle Op.100-22)
- 作曲者:ブルグミュラー(J.F.F. Burgmüller, 1806-1874)
- 難易度:初中級B
- 収録:ブルグミュラー25の練習曲(25 Études faciles Op.100)
- 演奏時間:約2分
ブルグミュラー25の練習曲中、最も大人向きの曲。ピアノ学習者がおそらく最初に出会う、本格的な舟歌となるかもしれません。
舟歌の定番は「左手は波、右手は船頭の歌う歌」。特にヴェネツィアのゴンドラの歌をイメージすることが多いので、波とはいえ大きく揺れることはなく、あくまでも穏やかに船は進みます。
この曲のペダリングはなかなか難しいです。踏み過ぎると音が濁りますし踏まないとパサつきます。色々と工夫してみましょう。
「舟歌」では多くの発想標語が用いられています。
dolce(ドルチェ・甘く)、leggiero(レッジェーロ・軽やかに)、cantabile(カンタービレ・歌うように)、lusingando(ルジンガンド・心地よくさせるように)、perdendosi(ペルデンドシ・消えてゆくように)。
ひとつひとつの言葉の持つ意味を、揺れる8分の6拍子に乗せて、どこまでも優雅に大人の船の旅の物語を綴って下さい。
39小節目からのコーダでは、左手和音の一番上の音が浮き上がるように気をつけます。
最後は、ゴンドラが霧の中を遠ざかっていきやがて見えなくなるかのような、そんな幻想的な光景を思い浮かべてみてはどうでしょう。
ブルグミュラーは各社から出版されています。おすすめは東音企画のもの。
全曲見開きで譜めくりなし、2種類のスラー表記により原典版表記と演奏するときの解釈とがひと目でわかります。
音楽の友社New Editionは春畑セロリ氏の解説が秀逸で、こちらもおすすめ。
はじまり
- 曲名:はじまり
- 作曲者:野平一郎(1953-)
- 難易度:初中級C
- 収録:音の旅(音楽之友社)
- 演奏時間:約55秒
東京藝術大学修士課程を修了後パリ国立高等音楽院で学び、内外で活躍する演奏家・作曲家の野平一郎氏によるピアノ曲集「音の旅」。
フランス式エスプリといった感じの近代的な響きの作品が多く、「こどものためのピアノ曲集」と謳ってはいますが内容はやや難解。
なかで最初の一曲目「はじまり」は、端正で透明感あふれる美しい序曲です。
メロディが重なり合いながら左右の手で紡がれて行きます。多声感を意識して、ご自身の耳で音をよく聴きながら弾いて下さい。
柔らかく歌い上げるよりも、どちらかというと繊細なガラス細工のように、キラキラと硬質な音色が合いそう。
最後の小節のフェルマータは充分に伸ばして余韻を表現します。
わずか2ページと短いですが、他の様々な曲と組み合わせたプログラムを作って「音の旅」の「はじまり」を表現するのも素敵ですね。
甘い夢
- 曲名:甘い夢(Sweet Reverie Op.39-21)
- 作曲者:チャイコフスキー(Tschaikovsky, 1840-1893)
- 難易度:初中級C
- 収録:こどものためのアルバム(ALBUM FOR THE YOUNG Op.39・全音楽譜出版社・音楽之友社)
- 演奏時間:約2分
「甘い夢」と題されたこの曲には、チャイコフスキーの叙情的でロマンチックな面が特に強く表現されています。
「夢」は、dreamではなく「reverie」。寝ているときに見る夢ではなく起きている時に心にうかぶ「夢想」と考えられます。
冒頭、右手の上行するメロディに対して左手が下降していることに注目しましょう。
左手内声裏拍の8分音符が長すぎたり短すぎたりすることのないように注意が必要です。
17小節目からは左手がmfでメロディを担当します。marcato(はっきりと)の指示があるので最初の主題との違いを表現しましょう。
21小節からは左手の半音階下降形を右手が追いかけます。ここはfで、一音一音にアクセントも。乱暴にならないように盛り上げるのはなかなか難しいですね。
決して派手ではありませんが、学ぶ要素の多い曲です。大人のレパートリーにぴったりですのでぜひトライしてみて下さいね。
先生が選んだピアノ発表会名曲集④にも収録されています。
チョコ・バー
- 曲名:チョコ・バー
- 作曲者:湯山昭(1932-)
- 難易度:初中級C
- 収録:お菓子の世界(全音楽譜出版社)
- 演奏時間:約1分10秒
テンポの速いジャズピアノ曲のような、短くもオシャレな曲。不協和音が派手に響き渡り、インパクト十分です。
「この曲の一体どこがチョコ・バー・なのか?」という疑問はさておき、起伏の多い強弱記号や細かいアーティキュレーションの指示に従ってカッコよく弾いて頂きたいものです。
ダンパーペダルは控えめにして、甘さよりもほろ苦さを感じる、大人のチョコレートの雰囲気が出ると素敵ですね。
なお作曲家は「ラテンアメリカ的な明るさが欲しい」と解説しています。
そういえばチョコの原料となるカカオ豆は中南米で多く採れる模様。だからチョコ・バーなのかな?
ルーマニア民俗舞曲 第1曲「棒踊り」
- 曲名:第1曲「棒踊り」(Der Tanz mit dem Stabe)
- 作曲者:バルトーク・ベーラ(Bartók Béla, 1881-1945)
- 難易度:初中級C
- 収録:ルーマニア民俗舞曲(Rumänische Volkstänze, 全音ピースNo.584)
- 演奏時間:約1分
バルトークが1815年に作曲したピアノ組曲で、作曲者自身によって管弦楽にも使われています。
当時ハンガリー王国の一部であったトランシルヴァニア地方の民謡を採譜し題材として用いており、親しみやすい旋律や演奏効果の高さからバルトーク作品の中でも人気。
全6曲のうち、初中級レベルの方が人前でさらっと演奏するなら第1曲目がおすすめ。約1分で弾けてそれほど難しくはなく、盛り上がって終わるのでお得感があります。(^_^)v
「棒踊り」と題されていますが、実際にどんな踊りなのかは資料がなく不明。
ただ独特の何か引きずるような曲調から、棒(スティック)状のものはかなり重かったのではと予想σ(^_^;)力強く、男性的な踊りだったのかもしれません。
スタッカート、テヌートなどアーティキュレーションに細かい指示があるので注意しつつ、ルーマニア民謡にふさわしい民俗的情緒が出せると良いですね。
以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓
まとめ
大人や中高生が、発表会や駅ピアノなど、人前で演奏するのにふさわしいオシャレな曲10選をご紹介しました。
初中級者向けの曲は数多くありますが、「オシャレなピアノ曲」という条件設定のため、どちらかというと近・現代の作曲家の作品が多く並ぶ結果となりました。
ただ、2.「アラベスク・センチメンタル(ギロック)」や4.「夢の庭で(池田奈生子)」などはロマン派の様式を用いて作曲されています。
どれも素敵な作品ばかりなので、それぞれの作品の持つ雰囲気を味わいつつ、じっくりと取り組んで頂きたいと思います!
本記事がお役に立てれば幸いです。
ピアノ発表会で初中級者が目立つにはこんな曲がおすすめ!こちらからどうぞ↓
【ピアノ発表会】初中級レベルで目立つ曲 10選|難しく聴こえるおすすめ曲をピアノ講師が解説!
ピアノの先生マッチングサービスが利用できるようになりました!
簡単な質問に答えると、AIがあなたにぴったりのピアノの先生を5人ほどマッチングしてくれます。↓
ご相談までは無料なので、気軽に入力してみると楽しいですよ!(^○^)