【ピアノ発表会】大人のためのオシャレなクラシック曲 初級レベル10選|中高生にもおすすめ!

大人のピアノ学習者が年々増えています。「ピアノは子どもの習い事、塾に通うようになったらピアノは卒業」‥なんてのは昔の話。

ピアノを扱ったマンガや映画の影響もあり、ピアノを習うことは大人のオシャレな趣味として確立されつつあります。

ところが、長年の我が国の慣習により、ピアノ発表会という場においては大人が弾くのにふさわしい曲ばかりではないのが実情。

特に初級レベルでは題名が全部ひらがなばかりとか、「お花」「お庭」などの「お」のついた幼児語っぽい言葉が使われていたりとか‥

「私(オレ)たちが発表会で弾けるクラシックの曲が少ない!」とお感じの向きもあるのでは?

本記事ではそんな大人のピアノ初心者たちのお悩みに応えるべく、あなたが発表会で胸を張って演奏できるオシャレな曲を集めて解説しました。

ぜひ参考になさってみて下さい。

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【ピアノ発表会】大人向きのオシャレな曲/初級レベルの条件

紫陽花と楽譜

ピアノ発表会で「大人や中高生の初心者が演奏するのにふさわしいクラシック曲」を選定するにあたり、以下のような条件を設定しました。

  • いわゆる「バイエル」後半〜終了レベル
  • タイトルが幼稚でないこと
  • 音の響きや雰囲気が洗練されていて大人が弾くのにふさわしいと感じられること

 

ピアノ曲の難易度を詳しく解説した記事はこちらから↓

ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで

本記事の狙いは「大人の初心者が発表会で演奏するにふさわしい曲」のご紹介。

技術的に平易でありながら子どもっぽくはない、オシャレな雰囲気の曲を選びました。

 

そのためにはまずはタイトルから。

なぜか初級レベルの曲に多い、題名が「ぜんぶひらがな」な曲は全て除外。日本語として、常識的な漢字表記された曲のみを選びました。

またこれも初級レベル曲に多いのですが、「お花」など幼児語っぽい「お」の付いた曲、「おばあさんの」「おじいさんの」などの言葉も除外。

さらに「小さな」とか「リトル〜」など、子どもを想起させるような言葉が使われた曲も外しました。

 

そして、全体的に音の響きが洗練されてオシャレっぽいと感じられる曲を選んだつもりです。

結果的にクラシック曲としては比較的新しい曲が多く入りましたが、大人の演奏意欲を妨げない選曲ができたと自負しています♪( ´▽`)

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【ピアノ発表会】大人向きのオシャレな曲/初級レベル一覧

アップライトピアノ

大人や中高生のピアノ初心者が発表会で演奏するのにぴったりの「オシャレなクラシックピアノ曲」一覧は以下の通りです。

管理人が上記の条件設定に従って10曲を選び、比較的難易度が低いと思われる曲から順番に並べました。

  1. 森の夜明け(J. ジョージ)
  2. 夏色のときめき(池田奈生子)
  3. 吟遊詩人の歌(J. ジョージ)
  4. シンプルなワルツ(D. アレキサンダー)
  5. ララバイ(デロ=ジョイオ)
  6. 秋のスケッチ(W. ギロック)
  7. アングレーズ(L. モーツァルト)
  8. サラバンド(W. ギロック)
  9. ささぶねの航海(平吉毅州)
  10. コラール(E. アブラミアン)

 

本記事では大人や中高生が人前で演奏するのに適当な曲を選んでいます。なので、ダンパーペダルはほぼ必須。

バロック期の作品である8.「アングレーズ」以外、全ての作品でペダルを使用して弾くのが望ましいです。

初級レベルとはいえ、ペダルを踏むことによって厚みのある響きが得られ、演奏のグレードが上がります。ぜひトライしてみて下さい。

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【ピアノ発表会】大人向きのオシャレな曲/初級レベルの解説

ピアノ発表会のステージ

以下、各曲を簡単に紹介・解説します。比較的難易度の低い曲から高いと思われる曲の順番に並んでいます。

作品の日本語のタイトルとともに可能な限り原題を記載。また作曲者の氏名、不明な場合をのぞき生年と没年を記載しました。

なおピアノ曲の難易度は、テンポの設定や弾き方、演奏者の体格や手の大きさによってかなり違ってきますので注意が必要です。

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森の夜明け

  • 曲名:森の夜明け(Forest Dawn)
  • 作曲者:J.ジョージ(Jon Paul George, 1944-1982)
  • 難易度:初級A
  • 収録:森の夜明け(全音楽譜出版社)
  • 演奏時間:約1分10秒

 

「森の夜明け」は、20世紀のアメリカの作曲家J.ジョージによる初級者用ピアノ曲集。現代的な感性と豊かなイマジネーションにあふれた魅力的な曲集です。

タイトルをいただく作品「森の夜明け」は、少ない音数とゆっくりとしたテンポにより神秘的な森の夜明けの情景を描き出します。

朝もやのたちこめる森の樹々、朝露に濡れた下草、ひんやりとした空気感などをイメージしながら演奏してみては?

 

両手ともト音記号の音域なので透明感のある響きが得られるはず。

左手の「ラ(A)」音を⑤指でずっと保持したまま伴奏を弾かなければならないため、手の小さい演奏者には向きません。やはり大人むけの曲ということ。

指示通りAs though dreaming(夢ごこちで)、独特の世界観を表現できると良いですね。

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夏色のときめき

  • 曲名:夏色のときめき
  • 作曲者:池田奈生子
  • 難易度:初級A
  • 収録:虹色パレット(全音楽譜出版社)
  • 演奏時間:約1分10秒

 

「夏色のときめき」と題されたこの作品、作曲者による英題は「Waiting for Summer」。

季節は初夏でしょうか。来たる夏への期待と憧れを感じさせるような素敵な曲です。

 

『青く澄んだ海、晴れ渡った空の下では、人魚たちが波に揺られながら、この夏のプランを楽しそうにおしゃべりしています』とは作曲者のイメージ。

左右の手の対話を楽しむように、軽やかに楽しげに演奏して下さい。ペダルは音が濁るのを避けるため最小限に留めます。

左手一拍目の八分音符が滑って「くっついて」しまわないように、また左手から右手への受け渡しがスムーズに流れるように気をつけましょう。

吟遊詩人の歌

  • 曲名:吟遊詩人の歌(Troubadour’s Song)
  • 作曲者:J.ジョージ(Jon Paul George, 1944-1982)
  • 難易度:初級B
  • 収録:ピアノの広場(SUPPLEMENTARY SOLOS1・全音楽譜出版社)
  • 演奏時間:約50秒

 

吟遊詩人とは、中世ヨーロッパ社会において詩曲を創作し、各地を渡り歩いて楽器を奏でつつ歌った人々のこと。

特に原題のtroubadour(トルバドゥール)は、主に12世紀後半の北フランスで、騎士道や宮廷劇を主題として歌い歩いた歌手たちのことを指します。

物悲しくも美しいメロディは、まさに切々と物語を語りかけるかのよう。

フレーズと呼吸を意識して、人の声で歌われる「歌」を表現して下さい。

全曲ペダルを使った方が演奏効果が上がります。メロディが濁らないように踏み変えを工夫しましょう。

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シンプルなワルツ

  • 曲名:シンプルなワルツ(Valse Semplice)
  • 作曲者:D. アレクサンダー(D. Alexander, 1947-)
  • 難易度:初級C
  • 収録:ピアノ スプラッシュ!(SPLASH OF SOUNDS1・全音楽譜出版社)
  • 演奏時間:約1分15秒

 

アメリカの教育音楽作曲家の中からもう一曲。D. アレクサンダーは、中高生や大人向きの初級〜初中級レベルの曲を多く作曲しています。

「シンプルなワルツ」はとても美しい曲。

クラシックのピアノ曲というよりポピュラー曲に近く、ト長調→変ロ長調→ハ長調→再びト長調への転調がなんとも魅力的です。

 

左手の短いフレーズの上に右手のメロディが淀みなく流れるように、爽やかに歌って下さい。

ワルツですのでアクセントはあくまでも一拍目にあります。

テンションのきいた右手の和音はこの曲の特徴の一つ。オシャレな響きを味わいつつ、決して急がないように演奏しましょう。

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ララバイ

  • 曲名:ララバイ(Lullaby)
  • 作曲者:デロ=ジョイオ(N. Dello=Joio, 1913-2008)
  • 難易度:初級C
  • 収録:ピアノのためのやさしい四期の名曲集1
  • 演奏時間:約1分30秒

 

「ララバイ」は子守歌(唄)。本来は子どもを寝かしつけるための「歌の曲」です。

なので、物静かで抑揚が少なく、最後は消えていくように終わるものがほとんど。

この曲は「子どもの組曲」という曲集の第5曲ですが、小さな子どもを寝かしつけるのはむしろ大人の役目ですね(^_−)−☆

 

右手の三度の和音によるメロディ奏は、このレベルとしてはなかなか難しいもの。

テンポはゆっくりで良いので、決して慌てずに穏やかに子守歌を歌って下さい。

最後の小節は、楽譜に指示はありませんがペダルを使って「消えていくように」減じていくと、求める効果が得られます。

また最終音にはフェルマータが欲しいところ。ご自身の耳でよく音を聴きながら静かに締めくくりましょう。

秋のスケッチ

  • 曲名:秋のスケッチ(Autumn Sketch)
  • 作曲者:ギロック(W. Gillock, 1917-1993)
  • 難易度:初級C
  • 収録:叙情小曲集(LYRIC PRELUDES IN ROMANTIC STYLE/24 SHORT PIANO PIECES IN ALL KEYS)
  • 演奏時間:約1分

 

「叙情小曲集」のタイトルの原題は「ロマン派様式による叙情的前奏曲/全調による24の短いピアノ曲集」。

その名の通り、ロマン派の形式に沿って作曲された全調による前奏曲集であり、どれも2ページ以内の短い24の曲によって構成されています。

「秋のスケッチ」冒頭の指示は「Moving subtly」。subtlyとは「微妙に」とか「繊細に」などの意味です。

全曲を通して2音〜4音程度の短いフレーズから成り立っていますが、これらがバラバラに聴こえることのないように気をつけたいもの。

8小節目の「linger」は「躊躇する」とか「ためらう」といった意味。rit.と同義と思われます。また25小節目「expressively」は「表情豊かに」です。

中間部のメランコリックな美しさはギロックの全作品中でも特筆もの。

優雅にして繊細、憂愁に満ちて叙情的な、そんな大人のロマンティシズムを表現できたら素敵ですね。

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アングレーズ

  • 曲名:アングレーズ(Anglaise)
  • 作曲者:L.モーツァルト(L. Mozart, 1719-1787)
  • 難易度:初級C
  • 収録:プレ・インベンション(全音楽譜出版社)
  • 演奏時間:約1分

 

作曲者L.(レオポルド)モーツァルトは、あのW.A.(ヴォルフガング・アマデウス)モーツァルトの父で作曲家、ヴァイオリニストです。

息子の天才にいち早く気付くだけの音楽的才能を持ち、ヴォルフガングと姉のナンネルを優れた音楽家へと育てあげました。

 

「アングレーズ」とはバロック時代の舞曲で、2拍子系の軽やかなリズムが特徴です。

舞曲らしい優雅さとバロックの繊細さを併せ持った曲なので、決して乱暴にならないように。

四分音符にはスタッカートが付いていますが、むしろノン・レガートを意識するくらいにして短く跳ねすぎないようにしましょう。

この曲ではペダルは使いません。チェンバロやハープシコードなどの音色をイメージしながら弾くとぴったりです。

サラバンド

  • 曲名:サラバンド(Sarabande)
  • 作曲者:ギロック(W. Gillock, 1917-1993)
  • 難易度:初級C
  • 収録:こどものためのアルバム(ALBUM FOR CHILDREN)
  • 演奏時間:約2分

 

ギロックの作品中最も人気のある「こどものためのアルバム」から一曲採用しました。

管理人の個人的な意見ですが、この作品集は子ども向きの曲ばかりではありません。

なかでも「サラバンド」などは完全に大人のための曲。なので「子どものためのアルバム」という曲集タイトルは、どうなのかなあσ(^_^;)

 

「サラバンド」とは、バロック音楽における3拍子の舞曲。ワルツやメヌエットなどと違い、ゆったりとして荘重な雰囲気を持っています。

この曲のポイントは、なんといっても遅いテンポを維持しながらメロディを優雅に歌い上げること。

四分音符と十六分音符の組み合わせは、ついつい転んだり早まったりしがちなので注意しましょう。

ペダリングは、特にメロディ部分ではハーフペダルのような微妙な操作が必要。また中間部ではソフトペダルが必須になります。

あくまでも優雅に、それでいて堂々と演奏して頂きたいと思います。

ささぶねの航海

  • 曲名:ささぶねの航海
  • 作曲者:平吉毅州(1936-1998)
  • 難易度:初級C
  • 収録:虹のリズム(カワイ出版)
  • 演奏時間:約1分15秒

 

平吉毅州「虹のリズム」は、日本人作曲家による初級〜中級レベルまでのピアノ曲集における金字塔。

1979年に刊行されて以来、あまたのピアノ学習者に愛されてきました。

「こどものためのピアノ曲集」と銘打たれていますが、大人にこそふさわしい曲がいくつも含まれています。

「ささぶねの航海」もそのひとつ。子どもがささぶねで遊ぶというより、大人がそれをやさしく見守るかのような繊細な舟歌です。

 

左手の伴奏が二声になっており、このレベルとしてはなかなか難しいかも。

2拍目と5拍目の四分音符にはテヌートが付いています。波に乗って揺れているような気持ちで弾きましょう。

15〜16小節目の左手はこの曲のモチーフのひとつ。ペダルを踏みっぱなしにして音を響かせるような効果を狙って下さい。

最後はささぶねが見えなくなるまで見送るような、そんな気持ちで弾いて頂ければと思います。

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コラール

  • 曲名:コラール ニ長調(Choral D-Dur)
  • 作曲者:E. アブラミアン(E.Abramian, 1923-1986)
  • 難易度:初級C〜初中級A
  • 収録:ピアノコスモス1(全音楽譜出版社)
  • 演奏時間:約1分40秒

 

アブラミアン(アブラミャン)はジョージア(グルジア)生まれの作曲家です。

トビリシ音楽院でピアノと作曲を学び、その後モスクワのアルメニア文化施設でさらに作曲を学んでアルメニアの伝承音楽の研究に力を注ぎました。

ロマン派の様式の中にジャズ風の要素を取り入れるなどの自由な作風が特徴で、「コラール」はまさにそんな曲。

教会での祈りの際に歌われるコラール(賛美歌)の形をとりながら、モダンジャズのような複雑なテンションを持つ和音進行によって曲は進みます。

 

最初はuna corda(ソフトペダル使用)にてひそやかに。途中からtre corda(ソフトペダル解除)の指示があるので、そこから一気に盛り上げていきましょう。

f(フォルテ)と指示されている箇所も、あくまでも「賛美歌」なので乱暴にならないように、敬虔な雰囲気で。

ひとつひとつの音をよく響かせつつ、刻々と変わる和音の複雑な動きを楽しみながら演奏して下さい。

最後から2番目の小節、3拍目の音は特に印象的です。大切に「ためて」最終音につなげましょう。

こんなオシャレでスタイリッシュなコラール、聴いた神様もきっとびっくりですね♪( ´▽`)

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以下のサイトでは各曲の難易度検索ができます↓

ピティナピアノステップ課題曲検索

まとめ

ト音記号と花

大人や中高生がピアノ発表会で演奏するのにふさわしい、初級レベルのオシャレな曲を10曲ご紹介しました。

 

管理人の主催するピアノ教室にも、最近は大人の初心者や中高生になってからピアノを習い始める生徒が出てきています。

そんな生徒たちが困るのが発表会。

まだ初級レベルなので弾ける曲は多くなく、それでいて幼稚なタイトルや内容の曲はちょっと‥というわけで、曲選びは悩みの種。

彼らにふさわしい曲はないかとずっと探求を続けてきたものです。

本記事は同じお悩みを持つ学習者やピアノの先生方を応援するつもりで書いてみました。

もしもお役に立てたならとても嬉しいです(^○^)

 

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