ヤマハ音楽教室と個人ピアノ教室の違いとは|メリットとデメリットから考えるおすすめは?
ヤマハ音楽教室は、国内で2900会場、総生徒数35万人を超える一大音楽産業組織。
駅前などのアクセスの良い地域に教室があり通いやすいこと、大手ならではの安心感やブランドイメージから、子供にピアノを習わせようと考える多くの保護者が教室選びの筆頭候補に挙げています。
ヤマハの音楽教育には定評があり、上原ひろみさんなどの国際的なアーティストを輩出しています。
一方、私を含む個人主催の小さなピアノ教室には「ヤマハから移ってくる」生徒さんの姿が途切れることはありません。
ヤマハ音楽教室に入会した子供たちや保護者の方が心から満足しているなら、このような現象は起こらないはず。
何らかのミスマッチが起きているといえそうです。
本稿では、ヤマハ音楽教室と個人ピアノ教室はどこが違うのかを比較検討。
ヤマハ音楽教室はどんな人におすすめなのか検証してみることにしました。
これからお子さんにピアノを習わせようと考えているあなたのお役に立てば幸いです。
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目次
ヤマハ音楽教室と個人ピアノ教室の違い
基本条件比較
ピアノを習い始めることの多い5歳前後のお子さんの保護者が教室選びをする際に気になるポイントをまとめてみました。
個人のピアノ教室は条件が様々ですので、ボリュームゾーンと思われる数字を入れています。
ヤマハ音楽教室 「幼児科」 | 個人のピアノ教室 | |
レッスンのスタイル | 10名程度までのグループレッスン✳︎1 | 個人レッスン |
レッスン時間 | 1時間 | 30分程度 |
月額レッスン料(税込) | 7150円 | 5000〜7000円 |
施設費・冷暖房費など | 地域により660円〜3300円/月 | 月謝に含まれることが多い |
レッスン回数 | 40回/年間 | 39回〜45回程度/年間 |
レッスン時の使用楽器 | エレクトーン | アップライトピアノ又はグランドピアノ |
講師 | 学歴・専攻楽器問わず独自基準により採用 | 音楽大学(短大)ピアノ科卒業 |
教材費 | 入会時8360円・半年ごとに5940円 | 入会時1500円〜5000円程度✳︎ |
カリキュラム | ヤマハオリジナルカリキュラム | 講師による |
欠席時の振替レッスン | なし | 講師による |
✳︎1 保護者同伴 ✳︎2 冊数により変化・以後教材更新ごとに新規購入
ヤマハ音楽教室の特徴
- 10名程度までのグループレッスン
- 使用楽器はエレクトーン
- 独自カリキュラムにより全国同一のレッスン内容
- 講師の学歴は様々
ヤマハ音楽教室「幼児科」の最大の特徴は、ピアノを使わずエレクトーンによるグループレッスンを行うことです。
「きく」「うたう」「ひく」「よむ」「つくる」というキャッチフレーズの通り、レッスンではまず「聴く」ことを重視。
これは、4・5歳児は聴覚の発達が特に著しいという理由によるものです。
「耳から音楽という情報を取り入れ、口に出して歌ってからそれを鍵盤上に落とし込む」という順番でレッスンが行われるわけです。
つまり、4・5歳児へのレッスンでヤマハが重視しているのは、何よりも聴覚を鍛えること。
使用楽器がエレクトーンなのは、この段階ではまだピアノの演奏力そのものを求めていないからです。
従って、一般のピアノ教室で行われる「ピアノに向かう正しい姿勢」「腕の脱力」「譜読み」などの指導はありません。
まずは、「みんなで音楽を楽しむこと」に主眼を置いたレッスンであると言えそうです。
講師の学歴は様々で、必ずしも音大のピアノ科の卒業生とは限りません。
ただ採用基準とカリキュラムはしっかりしていて、生徒は全国どこでも一定以上のレベルのレッスンを受けることができます。
個人ピアノ教室の特徴
- 個人レッスン
- 使用楽器はアップライトピアノ又はグランドピアノ
- 講師により指導法・カリキュラムは様々
- 音楽大学(短大)ピアノ科卒業
個人レッスンのピアノ教室の条件は実に様々なので、一般的なピアノ教室を例にとってみました。
個人のピアノ教室で使用する楽器はほぼ間違いなくアコースティック(生)ピアノ。
多くの先生がグランドピアノでレッスンをしています。
音楽大学のピアノ科、または国立大学の教育学部音楽科を専攻し、卒業している方が多いです。
ピアノ演奏に必要なのは譜読みの力なので、楽譜を読むということにある程度時間を割いて指導します。
また、クラシックピアノでは、美しい音を出すために弾くときの姿勢や、打鍵の時の「脱力」ができているかどうかが重要ですのでその辺りにフォーカスしたレッスンをしていきます。
ただ、講師の質はまちまち。音大卒の学歴を持っていても専攻楽器がピアノとは限りません。
この辺りは入会前の問い合わせの時に確認する必要があります。
ヤマハ音楽教室のメリットとデメリット
メリット
- 幼児が飽きないための工夫がされたレッスンプログラム
- 幼稚園・保育園以外のお友達ができる
- 譜読み指導がないので幼児の負担が小さい
- 引越しをしてもヤマハ音楽教室のある地域なら同一カリキュラムで学べる
- 楽譜に頼らない演奏ができるようになる
ヤマハのレッスンは、幼児のことをよく考えてプログラムされているようです。
幼児は飽きっぽいので、次々に課題が変わるヤマハのレッスンはゲーム感覚で楽しく参加できそう。
また、まだ文字が読めない幼児には「譜読み」はかなり負担なのも事実。
譜読みを後回しにすることで、聴覚が伸びる時期にひたすら耳を鍛え、楽譜に頼らない演奏者になれるという期待も持てます。
引越ししてもカリキュラムが変わらないのも魅力ですね。
デメリット
- 月額費用が割高
- グループレッスンなので進度が子供と合わないことがある
- 欠席時の振替えレッスンができない
- 「覚えて弾く」クセがつき、譜読みの力が伸びにくい
- 姿勢、タッチ、脱力が初期からは学べず、ピアノ特有の美しい音が出せなくなることがある
ヤマハのレッスンに参加するには、毎月施設費を支払う必要があります。
施設費が地域により様々で、都心の綺麗な建物内の教室は高く、地方に行けば安くなるようです。
毎月のことですので注意が必要。また教材費も半年ごとにきっちりかかってきます。
グループレッスンは楽しいものですが、子供によっては合わないケースもあります。
進度が早く「ついていけない」、逆に「物足りない」という声は多いもの。
またグループレッスンですので振替が一切できません。
ヤマハ音楽教室幼児科の最大の難点は「楽譜を読む」ことを後回しにすることです。
「読譜はあとからでも学べる」との判断のようですが、子供は記憶力が良いので新しい言語である楽譜を読むよりは弾き方を覚えた方がラク。
なので一向に譜読みができるようにならず、「難しい曲を弾けるけれど楽譜が読めない」子が出てくるのです。
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さらに、レッスンでエレクトーンを使うことで「打鍵」に対する意識がどうしても甘くなります。
物理的・瞬間的に音を出すピアノと違い、エレクトーンの音は電気信号ですから適当な弾き方をしていても音はちゃんと鳴ってくれます。
ピアノではこうはいきません。
またクラシックピアノの生命である「姿勢」「脱力」「タッチ」を学ぶのが後回しになるため、生徒によってはかなり難しい曲を弾いているのに音色がにごって美しくないという事態に。
こうなってしまってから個人のピアノ教室の門を叩く保護者は少なくありません。
ミスマッチの原因はこの辺りにあるのですね。
ヤマハ音楽教室をおすすめしたい人
ヤマハ音楽教室の幼児科では、「楽譜を読む」「正しい姿勢でピアノを弾く」ことは学べません。
ヤマハ音楽教室は、どちらかというとクラシックピアノの演奏者よりもポピュラーピアノの演奏者を育てたいように感じます。
耳で音を判断していわゆる「耳コピ」したり、伴奏付けをしたり、初対面の人とセッションしたりする能力は、クラシックピアノを習っていても身につきません。
逆に、正しい姿勢、美しい音でピアノを奏でたり、ショパンやリストの難曲を弾きこなす力は幼児科のレッスンの延長線上にはありません。
YAMAHAという世界的なピアノのブランドを持ちながら、なぜヤマハ音楽教室がこのような経営戦略をとっているのかはなかなか興味深いものがありますね。(^_−)−☆
結論を申しましょう。
ヤマハ音楽教室幼児科は、モーツァルトやショパンの名曲を演奏するような、クラシックピアノの入門には向きません。
ポピュラーやロック、ジャズなどの領域で、楽譜に頼らないキーボード奏者としての演奏力を養成したいなら、ヤマハ音楽教室はぜひおすすめしたい教室です。
ヤマハ音楽教室と個人ピアノ教室。
あなたがお子さんにどんな音楽と親しくなって欲しいと望むかによって、選択肢は変わってくるのです。
まとめ
- ヤマハ音楽教室幼児科の特徴は、エレクトーンを使った10名程度までのグループレッスン
- ヤマハ音楽教室では「聴く」「歌う」「弾く」「読む」の順番で音楽を学ぶ
- 月額レッスン料のほかに660円〜3300円の施設費が必要
- 「譜読み」を後回しにするため幼児の負担は小さいが、「ピアノが弾けるのに楽譜の読めない子」が出てくる
- レッスンにピアノを使わず姿勢・脱力・タッチの指導がないため、ピアノ特有の美しい音が出せなくなる恐れあり
- クラシックピアノの入り口には不向き。ポピュラー、ロック、ジャズなどに親しみたいならおすすめ
上のような検証結果にはなりましたが、物事には例外というものがあります。
ヤマハ音楽教室幼児科の出身でありながらクラシックのピアニストとして活躍している人も存在するのではないかと思います。
ただ、それは前述の理由により一般的な話ではありません。
ご家庭の教育力やご本人の努力、たまたま担当講師がクラシックピアノ演奏への理解が深い人だった、などの条件が重なったのではないでしょうか。
もちろんクラシックのピアノ曲のみが名曲というわけではありません。
TwitterやYouTubeなどのSNSの発達により、楽譜に頼らずに演奏できる能力は今や憧れです。
そんな力を身につけるならヤマハ音楽教室はうってつけ。教室選びの筆頭候補になることでしょう。
ぜひ、お子さんにあった形で音楽を楽しんで頂ければと思います。
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