マズルカとはどんな舞曲?特徴とワルツとの違い|ショパンにとってマズルカの意味とは?

マズルカを弾いたことはありますか?

ピアノの先生から「次はショパンのマズルカをやってみましょう」と言われたとしましょう。

あなたはマズルカについて詳しく知っていますか?

「ええと、3拍子の舞曲だよね」。はいはい、それから?「‥‥(・・?)」‥ですよね。わかります。

 

ショパンのマズルカは有名ですが、じゃあマズルカってどんな曲?ワルツとどう違うの?と聞かれてはっきり答えられる人は多くありません。

この記事を読めば、あなたは他の人よりもマズルカについてほんの少し詳しくなることができます。

あなたが初めてのマズルカを上手に弾くために、参考にしてくれたら嬉しいです。

ポーランドとマズルカについての説明はこちらの記事も参考になります。↓

ポーランドはショパンのふるさと|どんな国?特徴と歴史・日本との関係

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マズルカとは

楽譜の上のピアノの置物

マズルカの特徴

マズルカとは、ポーランドの民俗舞踊のひとつ。3拍子の、独特の「マズルカリズム」を持つ舞曲です。

もともとはポーランドの一地方「マゾフシェ」に古くから伝わる民族音楽で、歌詞を持ち、歌と踊りが一体化した独自性を持つのが特徴でした。

日本の各地方にも、その土地に古くから伝わる民謡や踊りがありますが、それと同じですね。

マズルカのイメージとしては、まさに「ポーランドの田舎の踊り」。素朴で土の匂いのする、農民たちのためのダンスです。

マズルカの種類

マズルカにはいくつもの種類がありますが、主だったものは以下の3つです。

  • マズル
  • クヤヴィアク
  • オベレク

 

マズル

男女が組になって踊ることが多い、社交のための舞曲。付点のリズムに特徴があります。

曲調は活発で意気揚々としていて、高揚感あふれる勇壮な雰囲気。ポーランド国歌「ドンブロフスキのマズルカ」はこのマズルです。

クヤヴィアク

クヤヴィ地方の民謡で、素朴でゆったりとした歌謡的な舞曲。

どちらかというと強いリズムは伴わず、切なげでメランコリックな雰囲気です。

オベレク

非常にテンポの速い活発な舞曲。くるくると目まぐるしく回転するような動きが特徴の踊りです。

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マズルカとワルツの違い

人形

マズルカとワルツ。どちらも3拍子の舞曲ですが、違いはどこにあるのでしょうか。

  • アクセントの位置
  • 発祥
  • 舞曲としての雰囲気

 

一番大きな違いはアクセントの位置です。

ワルツのアクセントはよく知られるように1拍目。いわゆる「ズンチャッチャ」ですね。

それに対して、マズルカでは2拍目または3拍目にアクセントが置かれます。

マズルカは民俗舞踊としての性格が強く、地方によって様々なバリエーションがあります。したがってその特徴的なリズムを表現することは外国人には易しいことではありません。

ちょうど、日本の民謡や演歌の「こぶし」のようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。

 

ポーランドの民俗舞踊であるマズルカは、素朴な農民たちの踊りでしたね。

それに対して、ワルツはドイツやオーストリア発祥の舞踏曲。18世紀にはウィーンの宮廷でも踊られるようになり、大いに流行しました。

 

上流階級の人々に愛されたワルツは、やがて優雅で貴族的な雰囲気をまとっていきます。

どこまでも素朴な民俗舞踊であったマズルカとの大きな違いです。

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ショパンのマズルカ

ヨーロッパの田舎

原点

ショパンにとって、マズルカとはどんな存在だったのでしょうか。

その原点は十代の半ばごろの夏休み、友人の家のあるシャファルニアという村で過ごしたことです。

農民たちの様子を見てその生活に触れ、収穫祭などで踊られるマズルに一緒に参加して楽しみました。

ショパンのマズルカ、その発想の根源はこのシャファルニアでの生活があったことは間違いありません。

意味

祖国ポーランドをこよなく愛したショパンにとって、マズルカは特別な意味を持っていました。

ショパンは生涯で60曲近くものマズルカを作曲しています。これはショパン作品のジャンルとしては最多です。

ごく若いうちからマズルカを書き始め、最晩年に絶筆となったのもマズルカでした。

 

ショパンにとってマズルカは、飾らない普段着の自分を表現できる素材でした。

生涯に渡って描き続けた、ショパンの日記のようなものだったといえます。

マズルカにはポロネーズのような豪華さやエチュードのような華やかさはありませんが、ショパンの素直な気持ちが込められています。

PTNAサイト「ショパン 音のエッセイ・マズルカを味わう」

特徴

ショパンのマズルカの発想はポーランドにありましたが、作曲に関しては独自の道を切り開きました。

大きな特徴は、3つの舞曲を組み合わせてひとつの舞曲として融合させたことです。

ショパンは3種類の踊りの特徴をうまくとらえ、かつて見聞きしたリズムや旋律を採り入れていきました。

さらに彼独自の表現を磨いて、素朴な民俗舞踊を芸術作品として昇華させたといえます。

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まとめ

ポーランドの湖

マズルカという舞曲の特徴と種類、ワルツとの違い、さらにショパンの作品におけるマズルカの意味についてお伝えしました。

まとめてみましょう。

  • マズルカはポーランドの民族舞踊。独特の「マズルカリズム」を持つ
  • マズルカの種類は主に3つ。マズル、クヤヴィアク、オベレク
  • マズルカとワルツの違いはそのリズム。ワルツは1拍目に、マズルカは2拍目または3拍目に強拍が置かれる
  • ショパンにとってのマズルカの原点は十代の頃のシャファルニアでの体験
  • マズルカはショパンが生涯綴った日記のようなもの
  • ショパンのマズルカは、3種類の舞曲を組み合わせてひとつの曲としたもの。独自の表現を用いて芸術の域に高めた

 

ショパンのピアノ曲に憧れる人は多いですが、マズルカは今ひとつ地味な存在。

それは飾らない普段着のショパンであり彼の肉声だから。ショパンの等身大のつぶやきであり、彼自身の心のうつろいでもあったからでしょう。

この記事が、初めてショパンのマズルカに挑戦するあなたのご参考になれば、こんな嬉しいことはありません。

ショパンについての詳しい記事はこちら↓

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