中学受験生はいつまでピアノを続けるのがよいでしょうか

 

横浜市内の私の教室には、毎年必ず中学受験を考える生徒さんがいます。

多くのピアノを習う小学生と保護者の皆さんにとって、中学受験は避けては通れないテーマ。

特に首都圏では教育熱心な保護者の方が多く、そういったご家庭のお子さんは高い確率でピアノを習っています。

 

ある程度の練習時間を確保しないと上達がしにくい楽器であるピアノと、過酷とまで言われる首都圏の中学受験。

なんとか両立させつつ受験も成功させたいとお考えの皆様に、ピアノをいつまで続けるのが良いのか、ケースごとにメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。

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ピアノと中学受験は両立できます

首都圏の中学受験率

1都3県の6年生は294,199人と昨年の6年生より9,771人増加しています。〜中略〜 四谷大塚では入試結果をふまえ、今年の受験生は50,500人、中学受験率は17.2%と推定しています。

(四谷大塚 2019中学入試結果分析資料集より)

17.2%の中学受験率ということは、首都圏の小学校6年生の約5.8人に1人の割合で中学受験をするということですね。

かなり高い数字といえます。

 

私は横浜市内で2人の子どもを育てながら仕事をしていますが、2人ともに中学受験をさせました。

校区では、6年生のクラスの3分の1くらいの子が受験していた印象です。

ピアノ教室に通う小学生では、若干この数字が高くなる印象です。

地域のピアノ教師仲間の集まりでも、ほぼ全員が中学受験生の生徒さんを持っていました。

ピアノは塾も勧める習い事

私が子ども2人をそれぞれ受験させた時は、近くの中学受験塾に通わせました。

そして、その塾では、「習い事をどれか一つ残すならピアノを」と説明会でお話が。

ウソじゃありません。ホントです。(必死)

良い気晴らしにもなり、しかも10本の指全部を動かすことで脳が鍛えられるのだとか。

特に算数に良い影響があるとのことでした!

ピアノを続けることで脳が鍛えられ、算数の成績も上がるとしたら素晴らしいではありませんか。😄

私立の女子中学校ではピアノが弾けて当たり前!?

ピアノを弾く両手

 

ここからは私の実感です。

特に女子校を目指す女の子は、可能な限りピアノを続けた方が良いと思います。

なぜなら、入学後、ハイレベルな女子校ほど「ピアノが弾けて当然」という雰囲気があるそうなのです。

特に音楽の授業は、ある程度のピアノ演奏力と楽典の知識はあるものとして進められると複数の生徒さんが言っていました。

 

私自身は公立中学出身なので確たることはわかりませんが、一部の女子校の文化祭などのピアノ演奏レベルから推し量るに、確かにそのとおりかもしれないと思ったものです。

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ピアノをいつまで続けるか・ケース別メリットとデメリット

とはいえ、やはり中学受験は大変です。

そしてピアノの練習にはそれなりに時間がかかります。

両立させようと無理をして、虻蜂取らずになってしまっては目も当てられません。

一部の器用な子をのぞいて、やはり勉強に集中した方が良い時期というのはあります

 

具体的にいつまでピアノを習わせ、いつ頃から勉強に専念させるのが良いのでしょうか。

主なケースを考えてみましょう。

ケース①・3年生の1月まで

首都圏の多くの中学受験塾では、新学年の始まりは2月です。

小学校3年生の2月から4年生のカリキュラムが始まるということです。

 

このケースでは、3年生の1月いっぱいでピアノを終わらせて2月から早くも受験体制に入ることができます。

すっきりと気持ちの切り替えができますが、丸3年もブランクができてしまうので、受験が終わった後でピアノを再開することはなかなか難しいでしょう

あまりピアノに興味がわかないお子さんに向くケースです。

ケース②・4年生の1月まで

もう1年ピアノを続けて、塾の新5年生から勉強に専念するケース。

①と同じく、お子さんがそれほどピアノという習い事にこだわりがない場合に向いています。

やはり2年後にピアノを再開することは、ご本人の強い意志がないと難しい気がします。

ケース③・5年生の秋まで(一般的なケース)

私が中学受験生の母をやっていた時の実感として、5年生の秋からは急に勉強のレベルが上がった気がします。

カリキュラムの密度が増し、テストの頻度は上がり、しかも日が短く寒くなっていきます。

お弁当の回数も増えていったような。

保護者の方々が「そろそろピアノを辞めさせて勉強に専念させようかしら‥」と考え始めるのに自然な時期。

ご本人の負担も重くなってきて、親子で「ピアノをやめる」ことについてのコンセンサスが得られやすいです。

 

この場合でも中学でピアノを再開するのは1年半のブランクがあり、けっこう大変ではあります

それでもご本人次第では可能ではないかと私は思います。

 

ケース④・5年生の1月まで

もう少し頑張って、新6年生が始まる直前まで続けるケース。

ここまで来ていれば、1年のブランクですみます。

ご本人次第ではありますが受験終了後にピアノを再開することは可能と思います。

ただ、小学校卒業、中学入学などで忙しく過ごすうちに部活などが始まってそちらに興味が移り、結局やめてしまう方も一定数います。

ケース⑤・6年生の夏まで(推奨)

秋以降に受験に集中できる期間もあり、しかも受験終了後にピアノを再開するのが比較的容易

私が個人的にオススメしたいのはこちらのケースです。

半年間だけならブランクによる遅れも取り戻すことは可能ですし、ピアノの先生に相談して「休会扱い」とさせて頂くことも。

6年生前半まで両立するのはやや大変ですが、ある程度の集中力のあるお子さんなら十分可能です。

ケース⑥・辞めずに続ける

受験直前の1〜2ヶ月お休みすることもありますが、基本的にピアノをやめないまま受験に突入するケース。

2月上旬に受験が終わるとすぐに何事もなかったかのようにピアノに向かい、春休み中にたっぷり練習することができます。

ブランクがないので、中学生の間に大きく力を伸ばすことができる、ある意味理想的なケース。

ただ誰にでも可能というわけにはいきません。

ある程度自分をコントロールすることのできる、器用で集中力のあるお子さんに向いています。

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中学受験することをピアノの先生に相談してみましょう

グランドピアノのある部屋

 

上に書いたように、私は

いったんピアノ教室を退会するなら5年生秋・続けるなら6年生秋まで頑張って半年間休会」が1つの目安となると考えます。

もちろんこれはあくまで目安であり、誰にでも当てはまるというわけではありません。

今までの私の経験から得られたひとつの考え方と捉えて下さい。

 

ただ、それにはピアノの先生のご理解とご協力が必要です。

どうしても5年生の秋以降は勉強が大変になっていきますので、ピアノにかけられる時間は減っていきます。

当然先生は練習が不足してきているのにお気づきになるでしょう。

 

そんな時、受験することを隠す必要はまったくありません。

首都圏のピアノ教室の先生は、ほとんど受験に反対などはされないと思います‥多分。

多分というのは、過去に一度「中学受験するならもう来て頂かなくて結構です」と断られたという生徒さんが私の教室に移ってきたことがあったからです。

今時ずいぶんとキビシイ先生がいらっしゃるものだなあと思いました。

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ピアノの先生を変えたいと思ったら

ピアノをやめる時・その伝え方

 

そのような事例は一部の例外と思うことにして、思い切って相談してみて下さい

何しろ、今はピアノの先生はむしろ小学生の数に比べて多すぎるくらいなのです(笑)

先生によっては、レッスン回数を減らしたり、曲数を減らすなど配慮して下さると思います。

 

また、時間をかけなくとも集中することで練習時間を減らしつつ乗り切る方法もあります。↓

お子さんがピアノの練習をしない時・できない時〜1日30分の練習でも上達する方法〜

 

ピアノを続けながらの中学受験を成功させるなら、先生のご理解とご協力は欠かせません。

ぜひ先生を味方につけて、厳しい受験生活を乗り切って下さい

 

受験後の中学生活でピアノの実力を大きく伸ばすコツ

最後に、受験によって中断していたピアノを、中学生になってからも続けていきつつ、しかも実力を大きく伸ばすコツをお伝えしましょう。

 

ピアノのレッスンをできるだけ早く再開する

まず、受験が終わって進学先が決まったら、出来るだけ早くピアノの先生に連絡し、レッスンを再開することが大切です。

 

首都圏の中学受験は、多くの場合2月の第1週目までにほとんど終わります。

うまくいけば、2月の中旬にはピアノを再開できていると思います。

そうすればブランクを最小限におさえ、最後の小学校生活を楽しみながら春休みを有効に活用することができます。

春休みは大抵時間の余裕がありますので、ここである程度遅れを取り戻すことも可能です。

先生との距離を意識的に縮めてみる

レッスンを再開したら、積極的に先生に質問したり、少し練習時間を増やしたりして、先生との距離を縮めることを考えてみましょう。

中学受験を機にピアノをやめてしまう生徒さんも多い中、戻ってきてくれたあなたのお子さんに対して、先生はとても嬉しく、頼もしい気持ちになっているハズです。

この機を逃す手はありません(笑)。

ぜひ「やる気のある子が戻ってきてくれて嬉しいわ」と思わせるくらいに賢く立ち回ってみて下さい。↓

ピアノの先生との賢いお付き合い・より熱心な指導を受けるための虎の巻

 

先生との信頼感を育んで、より内容の濃いレッスンを受けられるようになればしめたもの。

中学受験時のブランクを早々に埋めることは難しくないでしょう。

受験を機に「なんとなく」ピアノをやめてしまうのはソン

ありがちなのは、やっと受験を終えた開放感に浸ってピアノにさわらないまま時間が経ってしまうこと。

こうなると、先生に連絡してレッスンを再開するのがおっくうになってしまいます。

せっかく小学校高学年まで続けてきたピアノを「なんとなくおっくうになって」辞めてしまうのはとてももったいないです。

こういうケースは意外と多いので、ぜひ「なんとなくやめてしまう」というような残念なことにならないように、ちょっとだけ早めに動いてみて下さい。

 

まとめは極めてシンプル。

受験が終わったらただちに先生に進学先の報告とレッスンの再開をお願いする。

これこそが、今後のピアノ人生を決める鍵となるといっても過言ではありません。

 

子どもは、小学校高学年から中学生の間に驚くほど色々な力が伸びます。

ピアノも例外ではありません。

伸び盛りの大切な時期に、ぜひピアノを続けて頂ければと思います。

それは、ピアノがそのお子さんの長い人生の素敵なパートナーとなれるかどうかを左右します。

 

中学受験は間違いなく子どもを成長させます。

成長しつつあるあなたのお子さんに、音楽が共にあるようお祈りしています。

 

お読み頂いてありがとうございます。

(この記事は2019年公開の記事に加筆・修正を加えたものです)

 

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