ピアノのあがり症と共存するには?緊張しても演奏を楽しむ方法|それでも震えてしまうあなたへ
ピアノ演奏における「あがり症」に悩む人は多いもの。
本番に慣れるため、人前で弾く練習をした。呼吸法も試した。睡眠やカフェインにも気をつけた。
それでも本番になると、手が震えてしまう‥そんな経験を重ね、「もう何をやってもダメなのでは?」と感じている方もいるかもしれません。
でも、ここで考え方を少し変えてみましょう。
それは、あがり症を完全になくす必要はない、ということです。
目指すのは、緊張しない自分ではありません。緊張していても弾ける自分です。
震えていても演奏を続け、ミスをしても音楽に戻る。そのためには、あがり症を敵として消そうとするのではなく、共存するという発想が大切です。
この記事では、緊張してもピアノを楽しむための具体的な考え方と実践法をお伝えします。
あがり症克服のための具体的な方法はこちら↓
ピアノのあがり症を克服するには?本番で実力を発揮するための7つの方法|今日から実践可能!
目次
ピアノのあがり症と共存するには

緊張を消す必要はない
人前でピアノを弾くたびに手が震え、暗譜は飛ぶし演奏はハチャメチャ。「いったいいつになったら緊張しなくなるのだろう」‥(T_T)
わかります。
前記事で紹介した対策を色々と試しても上のような状況に陥ると「自分は何をやっても克服できないのでは」と、ますます本番が怖くなることも。
しかし!ここで目標を変えてみて下さい。実は、本番で緊張を完全に消す必要はないのです。
「震えてはいけない」と思うほど、私たちは手の震えや心臓の鼓動を気にします。
そして「また震えている」「このままでは弾けない」「失敗するかもしれない」と不安が膨らみ、さらに緊張するという悪循環に陥ってしまうのです。
大切なのは、緊張を完全に消そうとしないこと。
手が震えても、心臓がバクバクしていても、ピアノを弾くことはできます。
「緊張を消す」のではなく、「緊張していても弾く」ことを目標に変えてみましょう!まずはその一歩が、あがり症との共存につながります。
震えていてもピアノは弾ける
本番で手が震え始め、さらに鼓動が速くなり、呼吸が浅くなり、指先の自由がきかない感覚に陥る。
「まずい」「もうダメだ」「また失敗する」‥これが今までのあなた(私もです)のパターンでした。
しかしながら、ここでぜひ思い出して頂きたいことがあります。
「身体が緊張していることと、ピアノを弾く力とは別の問題だ」ということです。
手が震えていても、あなたがこれまで積み重ねてきた努力まで消えるわけではありません。
大切なのは、震えを止めようとすることではなく、震えながらでも次の音を弾くことです。
「震えている。でも私は弾ける」と何度も経験するうちに、震えへの恐怖は少しずつ小さくなっていくはずです。
小さな成功を重ねる
あがり症に悩む人は、本番が終わると「○回間違えた」「大事なところでミスをした」「緊張でうまく弾けなかった」などとできなかったことばかりを振り返りがち。
ここは、評価する基準を変えてみましょう。
「途中で指が震えた。でも止まらなかった」「大事な音を外した。でも次のフレーズへ進めた」「頭が真っ白になった。でも弾き続けられた」‥これらも立派な成功です。
『緊張した状態でも最後まで演奏できた』という小さな成功を、一つずつ自分の中に積み重ねていきましょう!
緊張してもピアノを弾く方法

段階的な緊張体験を積む
ここからは実用編。実際にどうすれば良いのかを解説します。
その第一は、「わざと緊張する状況を作り出し、弾く」練習をすること。
単に人前でピアノを弾く機会を多く持つだけでなく、段階を踏んでレベルを上げていくやり方です。例えば。
- レベル1 ぬいぐるみや人形を観客に見立てて弾いてみる
- レベル2 スマホで録音(録画)する
- レベル3 家族の誰かに聴いてもらう
- レベル4 友人に聴いてもらう
- レベル5 ストピや駅ピアノ巡りをする
などなど。
このほかにも例えばスタジオやホールを借りて弾いてみる、ピアノの先生に本番の雰囲気で聴いて頂く、などの方法が考えられます。
ポイントは「緊張しないようにする」のではなく「緊張していても弾けた」という成功体験を積むことです。
止まらず弾く練習
これはピアノ講師としての立場から強くおすすめしたい練習方法。
普段の練習では、間違えるととかく止まって弾き直したり、そこだけ練習したくなったりしますが、あえてそれをやめてみるのです。
本番対策として「間違えても絶対に止まらずに最後まで弾き切る」練習を別に行いましょう。
派手に外しまくろうが指がもつれようが、とにもかくにも最後まで弾く!と覚悟を決めて弾き切る。コレだけでもかなり緊張するものです。
さらにおすすめなのが以下のオプション。
- 途中から弾き始める練習
- わざと数小節間飛ばして続ける(拍数は維持する)練習
- 暗譜なら「再開する場所」を数箇所決めておく
これらにより、「一度でも間違えたら演奏が終わってしまう」という恐怖を和らげることができるようになるはずです。
逃げ道を作っておく
「逃げ道」とは何か?それはいわば危機管理です。例えば、
- 途中でわからなくなったらそこは捨てて次のフレーズへ移動する
- 片手だけになっても拍は維持し、戻る機会を伺う
- 一瞬止まっても呼吸を整えて再開すれば良い
- 暗譜が不安なら手の届くところに楽譜を置いておく
- パニクりそうになったらテンポを落とす
などなど。
大切なことは、「失敗したらどうしよう」ではなく「失敗したらこうする」と方針を決めておくのです。
コレだけで本番への心理的負担を減らすことができます。
そもそもピアノで失敗したところで、人類の祖先と違って身の危険はありませんしね♪(´ε` )
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ピアノのあがり症はなぜ起こる?本番で実力が発揮できない理由|「緊張」を医学的に考えてみた
自身でコントロール可能な目標設定
あなたは本番での目標を「うまく演奏すること」としていませんか?
しかしながら本番がどうなるかは事前にはわからず神のみぞ知る、です。コレでは不安は増すばかり。
本番前の目標を「うまく弾く」「間違えないように弾く」など演奏そのものではなく、演奏中の「行動」に設定してみましょう。
- 主題をきれいに歌わせる
- 低音の響きを聴きながら弾く
- フレーズの処理をていねいに
- 和音のかたまりを意識する
などなど。他にも色々考えられますね。
要は、演奏が成功したかどうかを『自分でコントロールできる目標にする』ことがポイントです。
ピアノの本番との向き合い方

完璧を目指さない
あがり症と共存するためには、それができる人の真似をすれば良いのです。
そして「あがり症と共存できる人が持っている本番への考え方」は、あがり症に悩む人とは少々違うもの。
ここはぜひ彼らに倣い、心構えの転換を行いましょう。
それは、「ピアノの本番は、練習の成果を採点(ジャッジ)される場所ではない」という意識です。
特に大人のピアノ学習者は、発表会=上手に弾かなければならない場面と捉えがち。
しかし、決してそんなことはありません(コンクールを除く)。
発表会やイベントの本番は、完璧な演奏やたゆまぬ努力を証明する場所ではなく「今の自分の音楽を人に聴いてもらうための場所」なのです。
ミスも演奏の一部と割り切る
もちろん、ミスを減らすための練習は必要です。しかし、ミス=演奏全体の失敗ではありません。
ミスをしても大事な音を外しても、そこから音楽を続けること自体が演奏する力である、と考えてみてください。
一音外しても、その後に音楽を続けられる。テンポが乱れても戻せる。一瞬頭が真っ白になっても立て直せる。
これらもすべて「演奏する力」の一部です。
本番では、ミスを恐れて立ち止まるよりも、「ミスも演奏の一部」と割り切り、最後まで音楽を届けることを大切にしましょう。
あがる自分を受け入れ音楽に戻る
本番中に手の震えや心臓の鼓動に気づくと、「またあがってしまった」とばかり意識が自分の身体へ向かってしまいます。
そして「震えを止めなければ」「このままでは弾けない」と考えるほど、演奏そのものから気持ちが離れてしまう結果に。
そんなときはまず「今、自分はあがっている」と認めましょう。
そして、震えを消そうとするのではなく、意識を音楽の中の具体的なものへ戻すのです。
例えば「次の一音をどんな音色で弾くか」「左手の伴奏をよく聴く」「このフレーズの終わりまで歌わせる」といったように、『今この瞬間にできること』へと意識を集中します。
あがっていても、音楽に戻ることはできる。
「緊張をなくす」のではなく、緊張に気づくたびに何度でも音楽へ意識を戻す。
その繰り返しが、本番で自分を立て直す力になります。
ひとりで抱えない
色々と提案してきましたが、それでも思うにまかせないことはあります。あがり症は「もっと頑張れば治る」というほど単純なものではないからです。
本記事のテーマは「あがり症と共存する」というものですが、それは一人で耐え忍んだり苦痛をガマンするということではありません。
例えば以下のような症状がある場合には、別のアプローチが必要な場合もあると思われます。
- 本番が近づくと極端な動悸がするなどして息苦しい
- 毎回手の震えにより演奏が成立しない
- 恐怖のあまり人前で弾くことを避けるようになった
- 本番後も強い自己否定が続く
このような場合には、決して一人で抱え込まないことが大切です。
ピアノの先生に相談することはもちろん、必要に応じて臨床心理士や医療機関などの専門家に相談する勇気を持つことも選択肢のひとつ。
あがり症を克服できないことは恥ではありません。あなたの意思や心が弱いから克服できないのでもありません。
緊張の強さには、その人の気質や過去の失敗体験、本番に対する考え方など、さまざまな要素が関わります。
助けを求めることは、克服を諦めることではありません。自分に合った方法を見つけるための、大切な一歩なのです。
まとめ

あがり症と共存するためのアイディアをお伝えしました。
ピアノのあがり症を克服しようと努力していても、本番ではやはり緊張し、手が震えることもあるでしょう。そんなとき「またダメだった」と考える必要はありません。
あがらない人になる必要はありません。あがっても弾ける人になれば良いのです。
そのためには、本番中に震えを止めることばかり考えないこと。
「手が震えている」と気づいたら、次の一音の音色に意識を向ける。左手の伴奏を聴く。フレーズの終わりまで歌わせる。ミスをしても、そこで演奏を終わらせず、次の音楽へ進む。
そうして音楽に意識を戻します。何度も何度でも。
緊張することもまたあなたの一部です。
緊張したままでも、自分の出している音を聴き、曲の流れを感じることはできる。
震えを消すことより、今この瞬間の音楽に関わり続けること。それが、緊張していてもピアノを楽しむための、最も具体的で確かな方法なのです。
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