ピアノを習っている子が練習しないのはなぜ?親がやってはいけない5つのこと|その解決方法とは
「ピアノの練習した?」「今日はまだしてないよね?」「いつになったら練習するの?」
‥お子さんに、こんな言葉をかけたことはありませんか?
ピアノを習わせている親御さんなら、一度や二度は身に覚えがあるのではないでしょうか。
せっかくレッスンに通っているのだから、家でも練習してほしい。少しでも上手になってほしい。そう思うのは親として当然のこと。
ところで私が長年子どもたちを見てきて感じるのは、「練習しない子=やる気のない子」とは限らないということです。
むしろ、「練習しなさい」と言われ続けたことで、ピアノに向かうことそのものが嫌になってしまう子も珍しくありません。
そして、ここが少し難しいところなのですが、親御さんは決してお子さんを困らせようとしているわけではなく「上手になってほしい」という気持ちがあるからこそ、つい口を出してしまうのです。
では、子どもが自分からピアノに向かうようになるために、親はどうすればいいのでしょうか。
今回は、長年の指導経験から、子どもが練習しなくなる原因と、親がやってしまいがちな5つの行動について考えてみます。
目次
子どもがピアノを練習しない理由

練習が嫌いとは限らない
子どもがピアノを練習しないときは「やる気がない」と決めつける前に、その子がどこでつまずいているのかを見ることが大切です。
具体的には以下のような理由が考えられます。
- 楽譜が読めないから弾けない
- 間違えるのがイヤ
- 通学や塾、他の活動などで疲れている
- 上達している実感がわかない
- 何を練習すれば良いかわからない
など、いずれにせよ「ピアノが嫌い」とか「練習そのものが嫌い」な訳ではないことが多いものです。
弾けないから弾かない
まずお伝えしたいのは、子どもは「ピアノがイヤだから練習しない」とは限らないということ。
例えばレッスンに行くのは嫌がらず先生の前では普通に弾いている。それなのに、家ではまったく練習しない子というがいます。
こういう場合、「‥家では遊んでばかりでちっとも練習に身が入らない( ; ; )」と親は思うかもしれません。
でも、楽譜をよく見てみると、レッスンの課題曲が何やら今までよりも難しくなっている。
片手ならなんとかなっても両手になるとどうにもならない。間違えてばかりでうまくいかない。
楽譜を見てもちんぷんかんぷんに近く、どこから練習すればいいかわからない。
つまり、こういう時の子どもは「練習をやりたくない」のではなく「自分一人ではできない」のです。
「練習しなさい」は逆効果?
「練習しなさい」という言葉がけにより、子どもにとってピアノが「自分が弾きたいもの」から「親にやらされるもの」に変わってしまうことがあります。
親の「練習した?」という言葉掛けが、
↓
「‥まだやらないの?」
↓
「昨日もやってないでしょう」
↓
「このままじゃ上手にならないよ(怒)」
‥と、ボルテージが上がっていく。
こうなると、親は「練習させている」つもりでも、子どもの側には「ピアノを見ると怒られる」という感覚が残ります。
ピアノを練習しない子の親のNG行動5選

「練習しなさい」と何度も言う
一番ありがちなのはコレ。
声かけ自体が悪いのではなく、何度も繰り返して「練習=親に言われるもの」になってしまうことが問題です。
「練習しなさい」と言われる
↓
子どもが「今やろうと思ったのに」と反発する
↓
親がさらに言う
↓
親子の言い合いになる
‥という悪循環を誘発すること必定。
ここは、「今日はどうする?」「いつピアノ弾けそう?」くらいの距離感にとどめておくのをおすすめします。
他の子と比べる
子どもを動かすために「○○ちゃんは毎日練習してるよ」「同じ時期に始めたのにあの子はもうこんな曲を弾いているってよ」
‥と言いたくなる気持ちは痛いほど分かります。
でも、これはかなり危険。
なぜなら子どもが受け取るメッセージは「練習しなければ」ではなく「私は○○ちゃんよりできない」になってしまうからです。
競争心を刺激すれば伸びる子も一部には存在しますが、むしろ少数派。
比較するなら他の子ではなく過去のその子と比べて「今日は昨日よりも練習できた」「今日もピアノの前に座れた」と寄り添うのが得策です。
できないことを責める
ピアノとは間違えるのが当たり前の難しい楽器。それなのに、間違えるたびに親に
- 「また間違えた」
- 「そこ、何回言ったらできるの?」
- 「ちゃんと楽譜を見て」
‥などと言われると、子どもは「練習すると怒られる」と感じるようになります。
特に小さな子どもは、間違いを指摘されることより「できたことを認めてもらえないこと」の方が苦しくなる場合があります。
進歩している部分を探し出し「ここは昨日よりスムーズになったね」「前は間違えてたけどスムーズに弾けるようになってきたね」と評価してあげましょう。
やる気を出してくれるかもしれません。
親が練習を管理し過ぎる
これは、ピアノを弾ける親御さんにありがちなケース。楽譜が読めるので子どもの間違いが全部わかってしまうのですね。
- 「そこ違うよ」
- 「楽譜よく見て」
- 「指が違う」
‥確かに正しいことを言ってはいるのです。
でも、子どもからすると、「弾くたびに注意される」状態になってしまいます。
こんな親御さんはまた、時間や練習を管理し過ぎようとする事も多いもの。例えば、
- 「毎日最低○分は弾きなさい」
- 「今日はこのページね」
- 「もう一回弾いて」
- 「そこだけあと10回」
など親が細かく管理しすぎると、子どもにとってピアノが「自分のもの」ではなくなってしまいます。
親はピアノの先生ではありません。
レッスンで先生が直すことは素直に聞き入れても、家で親が直すことは役割が違うと反発をかうことも。
親は管理し過ぎず応援に徹するのがおすすめです。
上手に弾けた時だけほめる
子どものピアノを聴いて「上手に弾けたね」「間違えなかったね」「今日はちゃんと弾けたね」
‥と声をかけることは、もちろん悪いことではありません。親としては、子どもを褒めているつもりでしょう。
でも、これが毎回続いていると子どもの中に少しずつ別の意識が生まれることがあります。
「間違えずに弾けたときだけ、褒めてもらえる」という意識です。
ピアノは難しい楽器であり、間違えながら上達していくものです。
なので親が「間違えたかどうか」だけを問題にし過ぎると、子どもは「できないこと」だけに目を向けるようになります。
そして「上手に弾けた時しか褒めてくれない」と感じ、間違うことを恐れるようになっていってしまいます。
それよりむしろ、
- 「前よりずっとスムーズになったね」
- 「ここ、何回も練習したんでしょう?」
- 「難しいところ、ちゃんと弾けるようになったね」
と、結果ではなく、その過程に目を向けてあげましょう。
うまくいかないところも認めてもらえると感じられれば、失敗してもまた頑張ってみようと思えるものです。
ピアノを「練習させる」から「弾きたくなる」へ

最初は小さな一歩から
「ピアノの練習しなさい」と言われても、なかなかピアノに向かわない子は少なくありません。
そんなときは、最初から「30分練習させなければ」などとは考えないことです。
むしろ大切なのは、練習のハードルを下げて、とにかく最初の一歩を踏み出させること。
- 「この4小節だけ弾いてみよう」
- 「右手だけやってみる?」
- 「5分でいいから練習してみよう」
など、最初のハードルを下げることが重要。
ピアノの練習は始めるまでが一番大変であり、一度弾き始めれば、そのまま続けられることは多いもの。
まずは「練習する」ではなく、「ピアノを開いて一回弾く」ことを目標にしてみましょう。
練習時間がなかなか取れない場合は、短時間でも効果的に練習する方法があります。こちらの記事も参考にしてみて下さい↓
お子さんがピアノの練習をしない時・できない時〜1日30分の練習でも上達する方法〜
「できた」を積み重ねる
子どもが自分から練習するようになるためには「弾くとできるようになる」という経験を積み重ねることが必要です。
例えば、
- 「昨日は弾けなかったところが弾けた」
- 「先生に褒めてもらえた」
- 「この曲を最後まで弾けた」
- いつも間違えていたところがスムーズに弾けるようになった
こうした小さな成功が、もう一度やってみようという気持ちにつながります。
応援に徹する
親がピアノの先生になる必要はありません。
親に求められているのは先生の役割ではなく、子どもの応援に徹することです。
練習内容を指示したり間違いをその場で直すのではなく、むしろ「ちょっと聴かせて」などと言いつつ子どもの演奏を聴いてあげる。
これだけでも十分です。
そして、間違いを探す代わりに「ここ、前より弾けるようになったね」「ここの弾き方、好きだな」などと伝える。
親が子どもの演奏に対して純粋な興味を示すと、子どもは俄然張り切ります。
「お母さん・お父さんに聴いてもらいたい」という気持ちが、子どもにとって強い練習のモチベーションになるのです。
「自分から弾く」を急がない
小学生、特に低学年の子どもに「毎日自分からピアノの練習を始めなさい」と求めるのは現実的ではありません。
最初は親の声かけが必要なのはどの子も同じです。
大切なのは、親が管理している状態から少しずつ手を離し、子どもに任せる手を離していける状態に移っていくこと。
「今日は何を練習する?」
↓
「何時から弾く?」
↓
「そろそろピアノ弾こうかな」
と、少しずつ主導権を子どもに渡していく。
親が「練習しなさい」と言わなくても、子どもが自分で時間を決めてピアノに向かうように仕向けていく。
そのためには、子どもが「自分でできた」という経験を焦らず少しずつ増やしていく舵取りこそが重要なのです。
それでもピアノを練習しない時に親が考えたいこと

先生に相談が必要なケースも
声掛けや応援など様々な工夫をしてみたものの、相変わらず子どもはピアノを練習しないことはあり得ます。
例えばですが、
- 家ではまったくピアノに触らなくなった
- その状態が何ヶ月も続く
- レッスンではいつも同じ注意を受ける
- ピアノの話をすると嫌がるようになった
‥こんな場合には少し注意が必要です。
習っている曲目や教本が本人のレベルに合っているのか、レッスン内容につまずいていないか、あるいはピアノそのものが負担になってはいないか。
ここは親御さんだけでの判断は難しいところ。
ぜひピアノの先生に相談してみることをおすすめします。
こんな時、先生も保護者の方とお話をしたいと考えていることは多いものです(経験アリ)。
練習しない=「失敗」ではない
子どもがピアノを練習しない日が続くと、「このままで大丈夫?」「せっかく習っているのに」と、親は不安になります
でも、ピアノを習う目的は毎日欠かさず練習することではありません。
もちろん練習は上達のために必要。
でも、子どもの成長には波があります。
練習できる時期もあれば、遊びたい時期、学校や友だちのことで精いっぱいの時期もある。
そんな波を経験しながら、ある日ふと「ピアノを弾きたい」と思うようになることがあるのです。
だからこそ、親が焦ってピアノそのものを嫌いにさせないことが何よりも大切。
長くピアノを続けるためには、「今どれだけ練習しているか」だけで子どもを判断しないことです。
今の練習量だけで、その子のピアノの未来を決めないでほしいのです。
ピアノの上達のためには、今日どれだけ練習したかより「これからも弾きたい」と思える気持ちを残しておくことの方がずっと大切なのです。
特にピアノを習い始めたばかりの小さなこどもは、まずは練習量よりもピアノを好きになることが何よりの上達の早道となるでしょう。
まとめ

ピアノを習っているのに練習しない子への接し方について、親がやってはいけないNG行動5つとその解決策をお伝えしました。
子どもがピアノを練習しないとき、「どうしたら練習させられるだろう」と考える前に「なぜこの子はピアノに向かえないのだろう」と考えてみて下さい。
「弾けないから嫌なのかもしれない」
「何を練習したらいいかわからないのかもしれない」
「間違えるのが嫌なのかもしれない」
‥そんな風に子どもの側の視点で考えてみると、親の声かけも少し変わってきます。
ピアノの練習は親子の根比べではありません。
「親が『練習しなさい』とうるさく言わなくても、子どもが自分からピアノに向かう」‥もちろんそれが理想であることは間違いない。
でも、そこまで急がなくても大丈夫です。
まずは、「ピアノを弾くと、お母さん・お父さんが喜んでくれる」「前より少し弾けるようになった」‥という小さな経験を積ませてあげること。
それが、やがて「もう一回弾いてみよう」という気持ちにつながっていくはずです。
健闘を祈ります!
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