ピアノ曲の「難易度」とは?レベル設定と基準について解説!入門から最上級まで
あなたはご自分が弾いている曲の難易度が気になったことはありませんか?
ネットのピアノ関係のトピックでは「〇〇の難易度はどれくらい?」「●●と△△ではどちらが難しいですか?』という質問が多く寄せられているのを目にします。
世の中には幾多のピアノ曲がありますが、それらの難易度を一つひとつ判定するのは非常に難しいもの。
レベルの分け方や作品に含まれる要素、演奏者の身体的条件など、複雑な物差しを必要とするからです。
本記事は、ピアノ曲の難易度とは何か、また難易度のレベル設定の一例を提示することで、微力ながら学習者の皆さんの助けとなることを目指しています。ご参考になれば幸いです。
目次
ピアノ曲の難易度とは
難易度とは
ピアノ曲の「難しさ」のことを難易度といいます。「演奏の困難さを表す指標」と考えるとわかりやすいですね。
「この作品は難易度が高い」「A曲とB曲の難易度を比較すると?」などのように使われます。
一般に、難易度の高い曲を弾いていると「ピアノ上級者」とみなされやすいため、多くの学習者が頑張って難しい作品にトライする訳です。
また「私(ウチの子)が弾いている曲の難易度は?」と気にする人が多いのも「難易度が高い曲を弾く方がエライ」という感覚のためと考えられます。
難易度評価の難しさ
一方、ピアノ曲の難易度を論じたサイトやツールはいくつもありますが、その評価は人によってまちまち。
判定者によって「難しさ」の感じ方が大きく異なるため、ピアノ作品の難易度の評価は実はとても難しいのです。
例えば、ピアノは打弦楽器(弦を叩いて音を出す楽器)であるため、体格に恵まれ、手が大きい人の方が有利であることは自明。
判定者がそれをあまり意識せず評価するなら、作品によって難易度は変わってくるでしょう。
また人により身体の使い方は違いますし、得意不得意の差もあります。テンポ設定や弾き方によっても変わってきます。
作品の難易度評価にはどうしても判定者の主観が入り込んでしまうため、曲により評価が一定しないという現象が起こる訳です。
難易度評価のものさし
ピアノ曲の難易度評価にはいくつものものさしがあります。挙げてみましょう。
- 音数
- 音域
- 調性
- テンポ
- リズム
- 音の動きの複雑さ
- 強弱とアーティキュレーション
- ペダリング
- 芸術性
‥まだまだありそうです。
ピアノ曲の難易度というものは、これらの要素が複雑に絡み合って関係してくる訳ですね。
ピアノ曲の難易度レベル設定の条件
多くのピアノ学習者とって、曲の難易度を知ることはそれぞれに合った作品を選ぶための助けとなります。
一般的なピアノ学習者の参考となるべく、以下のような条件でピアノ曲の難易度を考えることにしました。
- 日本人の平均的なピアノ学習者対象
- クラシックのオリジナルピアノ曲
- 初心者〜初中級も細かくレベル分け
本ブログの管理人「福耳」は、どこにでもあるフツーの「街のピアノ教室」の講師。
なので読者様層も、一般的かつ常識的な、いわゆる「ごく普通」の日本人学習者の方が多いのではないでしょうか?♪( ´▽`)
それゆえピアノ曲の難易度もそのような人々の参考となるべく設定しています。
なので「小学生でショパンは当たり前」とか「英雄ポロネーズなんか余裕」などといった方々のお役には立たないと存じます(笑)。
難易度を判定する曲はクラシックピアノのオリジナル曲に限定しています。
現代のピアノシーンではアニソンやポップスは非常に人気がありますが、編曲によって作品の難易度はいかようにも変わるからです。
Googleで「ピアノ曲」「難易度」で検索すると、ズラっと「難しい曲一覧」「難易度最高のピアノ曲は?」「難曲ランキング」なんて記事がヒットします。
んが、そんな作品は普通のピアノ学習者には無縁。そもそも管理人はもとより他のほとんどのピアノの先生方もンな曲は弾けませんσ(^_^;)
普通のピアノ学習者にとって必要なのはむしろ「初級」「初中級」くらいのレベルの情報ではないでしょうか。
なので、「難曲一覧」などは他のサイト様にお任せして、本ブログでは入門〜初級・初中級くらいのレベルの作品群を多く扱っています。
ピアノ曲の難易度 各レベルの基準
当ブログでは、ピアノ曲の難易度として以下のようにレベル分けしました。
もちろんこのレベル設定は管理人の経験による独断です(^○^)当然異論はあるものと考えております。
入門〜初級
レベル設定 | 学習事項 | レベル相当教本・教材 |
入門A | 片手奏・単旋律 | 「みぎて」「ひだりて」「りょうて」「どりーむ①②」「トンプソンはじめてのピアノ経本①」 |
入門B | 簡単な両手奏 | 「どりーむ③」「トンプソンはじめてのピアノ教本②」「バーナムピアノテクニック ミニブック」 |
初級A | 8分音符、6/8拍子等 | 「どりーむ④」「トンプソン現代ピアノ経本①」「バーナムピアノテクニック導入書」 |
初級B | 調性の理解、ポジション移動 | 「どりーむ⑤」「バイエル下巻」 80番前後、「バーナムピアノテクニック ①」 |
初級C | ♭系の調性、短音階 | 「どりーむ⑥」「バイエル下巻」100番前後、「ハノン」「トンプソン現代ピアノ経本②」 |
ピアノ教育界で「導入」と呼ばれる、ごく初歩の段階を2つに分離。
まだ両手同時に音が出せない、または左手は単音のみなどの段階を入門A、簡単な両手奏ができる段階を入門Bとしました。
「初級」は、いわゆる「バイエル」下巻相当と考えます。
「バイエル」下巻も中盤と終わり頃ではかなり差がありますので、このレベルを3段階に分けました。
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初中級〜中級
レベル | 学習事項 | レベル相当教材・教本 |
初中級A | ロマン派スタイル | 「ピアノの練習ABC」「ツェルニー100番」前半「ブルグミュラー25の練習曲」前半 |
初中級B | スケール各調 | 「ピアノの練習ABC」「ツェルニー100番」後半「ブルグミュラー25の練習曲」後半 |
初中級C | テクニックの習得 | 「ラジリテ」「ブルグミュラー25」修了「プレ・インベンション」等 |
中級A | ソナタ形式 | 「ツェルニー30番」「ソナチネアルバム」ギロック「こどものためのアルバム」等 |
中級B | J.S.バッハの作品 | 「ツェルニー30番」「ソナチネアルバム」中盤、バッハ「インベンション」 |
中級C | ショパンの作品 | 「ツェルニー30番」「インベンション」、平易なショパン作品 |
このレベルになると、かなり大雑把な区分けになってきます(笑)。
学習者のスタンスやピアノとの向き合い方、先生方の考え方にも様々なバリエーションが出てくるためです。
一応3段階ずつに分けてはいますが、ざっくりと初中級は「ブルブミュラー25」レベル、中級は「ツェルニー30番」レベル相当と考えていれば大きく外れることはないでしょう。
中級の終わり頃になると憧れのショパンに手が届くようになり、やる気を出す学習者が増えます。
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中上級〜上級/最上級
レベル | レベル相当教材・教本 | ショパンの代表的な作品名 |
中上級A | 「ツェルニー40番」「ソナタアルバム」「インベンション」「シンフォニア」 | 「子犬のワルツ」「ノクターンOp.9-2」 |
中上級B | 「ツェルニー40番」「シンフォニア」 | 「華麗なる大円舞曲」「幻想即興曲」 |
上級A | 「ツェルニー50番」、バッハ「平均律」 | 練習曲Op.10-12「革命」 |
上級B | ショパン練習曲 | バラード、スケルツォ、ソナタ第2番、3番 |
最上級 | リスト「超絶技巧練習曲」、ドビュッシー練習曲 | ポロネーズ「英雄」、協奏曲第1番、2番 |
ピアノの基礎基本を学び終え、いよいよ本格的な芸術作品に取り組むことのできるレベル。
参考として、新たに学ぶ学習事項はではなくショパンの代表的な作品を記しました。
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上級Bを一応「ショパン練習曲」としましたが(3つの新練習曲は除く)、全24曲中には大きなレベルの差が。
「A」の方がしっくりくるものや、逆に「最上級」にふさわしい練習曲もいくつかあります。
またバラード、スケルツォ各曲にもそれぞれ難易度の差があります。
ざっくりと「フーン、この曲なら大体このレベルなのか」と思っていただければ幸いです。
なお「最上級」の教本はリストの「超絶技巧練習曲」としましたが、『ラ・カンパネラ』で有名な「パガニーニの主題による練習曲」もこのレベルに含まれます。
‥そして世の中には最上級のさらに上をいくレベルの超難度のピアノ曲も存在する模様。
鍵盤の旅路は果てしなく続くのですね♪( ´▽`)
なお本記事の執筆にあたり、以下のウェブサイト様を参考とさせて頂きました。
ピアノ曲の難易度 まとめ
ピアノ曲の「難易度」とは何か、その判定の難しさと手掛かりになる『ものさし』、そして管理人の考える各難易度レベルの基準をご案内しました。
しつこいようですが、本記事でご紹介した「難易度」のレベル分けはあくまでも一つの私見。
本来「フツーの街のピアノの先生」である管理人などに、古今のピアノ曲のレベルを判定するような権力などありはしません(笑)。
本記事はあくまでも55年間のピアノの経験値と、40年以上にわたる指導歴から導き出した「感触」に過ぎません。
それでも、こうした指標はひとつでも多い方が参考資料が増えるため望ましいのでははないかと考えています。
本記事が、ピアノを愛する方々のために少しでもお役に立てれば幸いです。
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